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第二章:第十話:三人の家族のカタチ

 

第二章:第十話:三人の家族のカタチ

 

・・・・・・

 

二人がメートヒェンのところに行くと少女はクマのヌイグルミで遊んでいた。

 

「クマちゃん〜♪」

 

「おはよう、メーヒ」

 

「おはよう♪パパ、ママ」

 

「おはよう、メーヒ♪」

 

「ヌイグルミで遊んでるのか?」

 

「うん♪クマちゃんと遊んでたの♪」

 

ヴィント達からの初めてのプレゼントは、メートヒェンのお気に入りになっていた。

三人は朝食を取り、一息ついた後、三人で首都観光をする事にした。

 

「メーヒの服も買わないとな…」

 

「うん、メーヒには可愛い服を着せてあげないとね♪」

 

「おようふく買うの?」

 

「えぇ、メーヒに似合う可愛いの買いましょうね〜」

 

「うん♪」

 

二人は手を繋いで出口に向かう。

 

「本当に仲良くなったよな…」

 

「ヴィオッ、早く!」

 

「パパッ、早く♪」

 

「今行く…」

 

ヴィントはメートヒェンの横に並び、(クマのヌイグルミを抱きしめてるので手は繋げない)先を促す。

 

「クマさんを連れてくの?メーヒ」

 

「うん♪いつでもいっしょなの♪」

 

「パパとは手を繋がなくていいの?」

 

「あっ、そっか…う〜ん」

 

アプリルの言葉を聞き、真剣に考え始めるメートヒェンを見てヴィントは苦笑する。

 

「あとでリュックみたいなのを買って、いつでもクマを連れて行けるようにしようか…」

 

「ホントに♪」

 

「あぁ、どうせずっと手放さそうだし、これから旅する時に片手がふさがってるのも大変だろうしな…」

 

「やった〜♪パパ、だいすきっ♪」

 

メートヒェンはヴィントの足に抱きつく、メートヒェンに手を放されたアプリルの手が空中でさまよっている…その様子は哀愁を漂わせる…

アプリルはメートヒェンに尋ねる。

 

「メーヒ、ママのことは…?」

 

「ママもだいすきっ♪」

 

「メーヒッ、ママも大好き♪」

 

二人はひしっと抱き合う。すると

 

「アンタら一体何してんのよ?」

 

「さぁ、何なんでしょうね…一体…」

 

店の出入り口でホームドラマを繰り広げている二人を見てシュヴァンゲレが呆れた口調で尋ね、ヴィントも何?この寸劇は…と考えながら見ていた。

 

・・・・・・

 

三人は宿を出て、首都を観光する。

今はメートヒェンを真ん中に右手にヴィント、左手にアプリルがそれぞれいる。

クマのヌイグルミはメートヒェンの背中のリュックにいて、頭と手足がぴょこっとリュックから出てる。

お店の人に頼んで、ヌイグルミの手足と頭がリュックから出るようにしてもらったのだ。

 

「ふんふふ〜ん♪」

 

「機嫌良いな、メーヒ」

 

「そりゃあそうでしょ、リュック買ってもらって、パパとママとお出かけしてたらご機嫌になるよ♪」

 

「それもそうか…親子で出掛けてるからか…俺がメーヒぐらいの頃は城の中で独りだったけ…あんま良い思い出ないわ、リルは?」

 

「う〜ん、村の子達と追いかけっことかかくれんぼとか、かな…、ヴィオは本当に独りぼっちだったの?」

 

「城の中に友達なんかいないし、アザ出てきてから従兄弟とは仲悪いし…母さんぐらいかな、遊んでくれたのは…」

 

「そうだったんだ…」

 

「気にするなよ、俺は今幸せだからさ…」

 

「そうだね…大切なのはこれからだよね。」

 

三人がその後もいろいろと見て歩いていると…

 

「げっ」

 

「ん?」

 

「なっ」

 

「またお前達か…」

 

「えっ、あぁぁ〜」

 

「?」

 

ヴィントは呆れ、アプリルは指を差して驚き、メートヒェンは何が起きたか判らず首を傾げる

ロート、ゲルプ、ブラウの三人と出くわした。

 

「俺達は何も悪さしてないぞっ」

 

「まだ何も言ってねぇよ…」

 

「っていうか、そいつは?娘?」

 

「馬鹿、計算が全然合わないだろ、多分妹とか…」

 

「パパ、ママ、この人たちだ〜れ?」

 

「「「・・・、パパッ、ママッ」」」

 

三人はメートヒェンの衝撃的発言に大声を出して固まった。

 

「う〜ん、この人達はパパとママを逢わせてくれた人達かな?」

 

「良い言い方をすればな…」

 

「ふ〜ん、いい人たち?」

 

「悪い人達、メーヒは近くに寄るなよ。」

 

「は〜い」

 

「ちょっと待てっ、俺達はあれから悪事を働いてねーよ!」

 

「そうだ、しばらく大人しくする事にしたんだっ!」

 

「あぁ、堅気に戻ろうかと思ってな。」

 

「二人目の発言が些か気にはなるが、コイツ等に手を出さないなら見逃してやるよ…」

 

「だから、手なんか出さねーよ。」

 

「殺されたくねーからな…」

 

「というか、そいつは?」

 

「メーヒはね、メートヒェンって言うの♪メーヒってよんでね♪」

 

「メーヒね…」

 

「殺すぞ?」

 

「名前を呼んだだけでっ!?」

 

「ヴィオ…」

 

「冗談だ。」

 

「お前の冗談は笑えないぞ…」

 

六人は適当に話した後に別れ、ヴィント達は太陽が真上にきたので昼食を取ることにした。

 

・・・・・・

 

三人はレストランの料理を楽しむと、店から出てきた。

 

「ごはん、おいしかったの♪」

 

「あぁ、美味かったな…」

 

「そうだね♪」

 

「ママのお料理とかおなじくらいおいしかった♪」

 

「ママの料理?」

 

「きっとエルテレさんだろ、そういえば、リルの手料理食ったこと無いな…リルの手料理を食べてみたいな…」

 

「メーヒも食べたいっ!」

 

「う〜ん、良いけど場所が…そうだっ、今日の夜、シュヴァ姉に頼んで台所借りて作ってみようか?」

 

「あぁ、頼むよ。」

 

「やった〜♪」

 

「帰りに食材買ってこうね♪」

 

ドーン、ドーン

 

三人が早くも夕食の話をしていると、花火の音が鳴り響く。

 

「何の音?」

 

「あぁ、式典が始まる合図だ、見に行こうか…」

 

「うん♪」

 

三人は式典を見る為、カテドラーレ大聖堂に足を運ぶ事にした。

 

「式典って何するの?」

 

「偉い人達の挨拶ばっかりだな…」

 

「つまらなさそうだね…」

 

「つまんないの?」

 

「けど、ティンが蒼の巫女として出てくるよ、みんなそれを見に国外からも来るんだ。」

 

「ティンお姉ちゃんにあえるの?」

 

「会えないよ、見るだけだな…」

 

「な〜んだ…」

 

「あとは、俺の従兄のザルツ王子が来るよ…多分な」

 

「ザルツ王子が…」

 

三人は大聖堂まで来ると、そこは既に人でいっぱいだった。

 

「すごい人だかりだね…」

 

「年に一度のお祭りだからな…今年は生誕十五周年になるから例年より多いけどな…」

 

「そうなんだ…あっ、あれってティンさんじゃない?」

 

「ティンお姉ちゃん、どこ〜?みえないよ〜」

 

「メーヒ、足ひろげて…」

 

「?」

 

メートヒェンは首を傾げながら足をひろげる、するとヴィントはメートヒェンの足の間に頭を入れて肩車をする。

 

「わぁ〜♪たか〜い♪」

 

メートヒェンは肩車をしてもらい、とびきりの笑顔になる。

 

「良かったね♪パパに肩車してもらって、あそこにいるのがティンさんだよ。」

 

アプリルは大聖堂にいるゲッティンを指差した。

ゲッティンの挨拶を聞き、その後、彼女の晴れ姿を眺め、三人は首都巡りに戻った。

 

・・・・・・

 

夕方になり、食材を買い宿に戻る三人。

 

「ママ、ごはんってな〜に?」

 

「ヒ・ミ・ツ」

 

「えぇ〜おしえてよ〜」

 

メートヒェンはアプリルの服を掴み、駄々を言う。

 

―――もうすっかり親子だな…年の離れた姉妹にも見えるけどな…

 

「おかえり、ん?その食材は?」

 

シュヴァンゲレはヴィントが持つ紙袋に入った食材を見て言う。

 

「あっ、ちょっとお料理を作ろうと思って…お台所借りていいですか?」

 

「良いけど…ん、ふっふ〜ん」

 

「なんですか?」

 

「愛する旦那様に手料理かい?

 

「えぇ〜と…は…い…」

 

「いいよ、好きに使いなよ…」

 

「シュヴァ姉、ありがとう」

 

アプリルは台所で料理を作ることにし、その間、ヴィントはメートヒェンの遊びに付き合わせられた…

 

「出来たよ〜」

 

「は〜い」

 

「やっとか…」

 

「わぁ〜シチューだ〜♪」

 

「シチューか、リルに逢った日に食べたな…」

 

「そう、ヴィオに初めて出逢った時に食べた思い出の料理、それと私の得意料理でもあるし…」

 

三人はテーブルにつくと、アプリルが

 

「いただきます!」

 

と言い、その後に二人が

 

「「いただきます!」」

 

と唱和して和気あいあいと食べ始める。

 

「おいしぃ〜♪」

 

「うん、美味い。」

 

「良かったぁ〜」

 

二人はアプリルの料理に舌鼓を打ちながら、満腹になるまで食べた。

 

「「ごちそうさま(でした♪)」」

 

「お粗末様」

 

アプリルは嬉しそうにそう言い、食器を下げて洗い始める。

その間にヴィントは、紅茶の準備を始め、二人の様子をメートヒェンは嬉しそうに見ていた。

 

「なんか、もうその年にして立派に家庭の雰囲気出してるわね…」

 

「シュヴァさん?」

 

「仕事が一段落したから様子を見に来たのよ。」

 

「シュヴァさんも一息つきます?」

 

「お願いするわ。」

 

シュヴァンゲレを入れた四人で食後の一服をしながら団欒の一時を過ごした。

メートヒェンが欠伸をしたところでお茶会をお開きにして、部屋に戻る三人。

 

「三人とも、おやすみ。」

 

「「おやすみなさい。」」

 

「おや…しゅみな…しゃい…zzZ」

 

ヴィントは立ったまま寝かけたメートヒェンを抱き上げ、部屋に連れてく。

ヴィントは片方のベッドにメートヒェンを優しく寝かせる。

 

「どっちがメーヒと寝る?」

 

「リルが一緒に寝ればいいよ。」

 

「わかった。」

 

「ん、ふぁ〜」

 

メーヒがムクッと起きあがる。

 

「あれ?起こしちゃったか…メーヒ、ママと寝ようね〜」

 

「パパは?」

 

「パパはあっちのベッドに寝るのよ…」

 

「パパもいっしょにねんねしよ…」

 

「だって、パパ?」

 

「狭くないか?」

 

「三人でくっつけば大丈夫だよ…メーヒも一緒に寝たいって言ってるし…」

 

「ハァ、わかったよ…」

 

メートヒェンを間に三人は川の字の状態で寝ることにした。

 

「おやしゅみ…パパ、ママ…」

 

「おやすみ、メーヒ、chu♪」

 

アプリルはメートヒェンにおやすみのキスをする。

 

「ヴィオもしてあげたら?」

 

「やらないとダメか?」

 

「してほしい…」

 

メートヒェンはヴィントのことをジッと見つめる。

 

「わかったからそんな目で見つめるなよ…おやすみ、メーヒ、chu」

 

ホニャっと笑いメートヒェンは眠りについた。

 

「そうだ、ヴィオにもおやすみのキスする?」

 

「是非」

 

「おやすみ、ヴィオ、chu♪」

 

「おやすみ」

 

こうして三人は幸せな家族として夜を過ごした。

 



今回は、特にありませんね…

またまた登場、シグナルトリオ、ちなみに三人の年齢は二十歳です。

今回は三人のほのぼのとした一日編でした…

次回もよろしくお願いします。

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