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第二章:第八話:久しぶりの再会

 

第二章:第八話:久しぶりの再会

 

・・・・・・

 

昼頃に、首都に着いた三人は人の多さに驚く。

 

「人がいっぱ〜い、いるね♪」

 

「そうだね〜、迷子にならないようにおてて繋ごうね♪」

 

「は〜い」

 

「ほら、ヴィオも」

 

「パパも♪」

 

「まぢで?」

 

「まぢで♪」

 

「まぢなの♪」


 

「わかった…繋ぐよ…」

 

数の暴力…

 

「それにしても…人が多いね〜、何かのお祭りがあるのかな」

 

「ん、そういえばこの時期はキルヒェ教会の蒼の巫女降誕祭だったかな?」

 

「へぇ〜、これが…村の神父さんに聞いてはいたけど賑やかだね〜」

 

「にぎやか〜♪」

 

『キルヒェ教会』

 

ビューネ大陸で最も広い信仰を集めている《空の女神》を信奉する宗教である。

教会は大陸各地の街や村にあり、日曜日には学校を開き、子供たちに読み書きなどを教えたりもしている。(アプリルはここで読み書きを覚えた)

大陸の中心、シェントゥルム共和国に総本山である《カテドラーレ大聖堂》があり、シェントゥルム共和国が中立国なのもキルヒェ教会の影響が大きい。

教会の象徴である女神の生まれ変わりとして巫女が生まれ、巫女は蒼銀の髪に紺碧の瞳を持ち、蒼の巫女と呼ばれる。

巫女は女神の生まれ変わりとして教会に奉られ、その巫女が生まれた日を祝うのが蒼の巫女降誕祭である。

ちなみに巫女が死ぬと十年間空けて次代の巫女が生まれる、当代は十二代目になる。

 

「今年は十五周年だから例年より賑やかだな…」

 

「じゃあ、蒼の巫女は十五歳なの?」

 

「あぁ、名前は…痛っ」

 

ヴィントが話していると、フードを被った人がぶつかってきた。

 

「あっ、スミマセン」

 

「いえ、こちらこそすいません…んっ?」

 

「わっ、私はこれで失礼します。」

 

フードを被った人がそそくさと逃げようとする。

 

「相変わらずの脱走癖か?蒼の巫女さん、カツラに目の色変えてさ、今頃は大聖堂で騒ぎになってるぞ?」

 

「!?、えっ、何でわかったんで…って、ヴィント様!?」

 

フードを被った蒼の巫女である、ゲッティンは驚き、大声を出す。

 

「よぅ、ティン」

 

「?、蒼の巫女さん?」

 

「だ〜れ?」

 

「?、ヴィント様、そちらの方々は?」

 

ザワザワ

 

往来での会話が思った以上に多数の視線を集めて、ヴィントは居心地が悪くなった。

 

「とりあえず、落ち着ける場所に行かないか?」

 

「あっ、はい…えっと私の行きつけのお店でよろしいですか?」

 

「あぁ、案内よろしくな。」

 

「では、こちらに。」

 

・・・・・・

 

ゲッティンに案内され、四人は大通りから少し離れた感じの良い喫茶店に入って行った。

 

カランコロ〜ン

 

「いらっしゃいませ〜!あら、ティンじゃない?また逃げてきたの?」

 

「ネリン、席に案内してくれる?」

 

「えっ、えぇ…後ろの人達も一緒?」

 

「えぇ」

 

「席に案内するわね。」

 

一行は四人掛けのテーブル席に案内された。

ちなみに席順はヴィントの横にアプリル、ヴィントの正面がゲッティン、メートヒェンがアプリルの膝の上である。

四人は飲み物、ヴィントがダージリン、アプリルがオレンジペコ、ゲッティンはミルクティー、メートヒェンはオレンジジュースをそれぞれ注文した。

 

「で、ヴィント様、そちらの方々は?」

 

場の温度が下がる。

 

「えぇ〜と」

 

―――何故か知らないが、怒ってる?俺、何かしたっけ?

 

―――なんか巫女さん、私のこと睨んでない?もしかしなくても…嫉妬?ヴィオのこと好きなのかな…?

 

―――オレンジジュースまだかなぁ〜、ママのおひざきもちいい♪

 

メートヒェンだけは、場の空気のことなんて気にせず、一人ニコニコしている。

 

「そちらの方々は?」

 

ゲッティンがもう一度尋ねる、笑顔だが目が笑っていない。

 

「隣に座っているのがアプリルで膝の上の子がメートヒェンだ…」

 

「はじめまして、アプリルです。ほら、メーヒも…」

 

「メーヒはメートヒェンっていいます♪お姉ちゃんは?」

 

「私の名前は、ゲッティンと言います。」

 

「ゲッティンお姉ちゃん?」

 

「ティンで良いですよ、メートヒェンちゃん。」

 

「メーヒもメーヒでいいよ、ティンお姉ちゃん♪」

 

「わかりましたわ、メーヒちゃん。」

 

「お待たせしました〜、ダージリン、オレンジペコ、ミルクティー、オレンジジュースになります。」

 

自己紹介が済んだところで先ほどネリンと呼ばれていた少女が注文した飲み物を持ってきた。

 

「ねぇ、あなた達はティンの知り合い?五年前からティンの友達やってるけど…あなた達のことを初めて見たんだけど…あっ、あたしはケルネリン、ネリンって呼んでね♪」

 

「あっ、私はアプリルって言います、二人ともリルって呼んで下さい。」

 

「メーヒはね、メートヒェンって言うの、メーヒってよんでほしいの♪」

 

「ヴィオだ、俺だけティンと知り合いなんだが…一応十年前からの知り合いだ…」

 

「へぇ〜」

 

「と言っても、年に数回しか会ってなかったから君が知らなくても仕様がないさ。」

 

カランコロ〜ン

 

「あっ、お客さんだ…ティン、後で詳しく教えなさいよ!いらっしゃいませ〜」

 

ケルネリンが入り口に向かって行った。

 

「さて、そちらの方々との関係は?ヴィント様」

 

「一応俺の恋人と…」

 

「パパ、ケーキ食べていい?」

 

オススメデザートを見ていたメートヒェンが空気を読まずにヴィントに尋ねる。

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「メッ、メーヒ!?」

 

「ママ、ダメ?」

 

「パパッ!?、ママッ!?ヴィント様、いつの間にお子様をお作りにっ?」

 

ゲッティンがテーブルから身を乗り出して叫び、店内の人達が何事かとこちらを見る。

 

「とっ、とりあえず落ち着けな、なっ…ほら、深呼吸だ…」

 

「ス〜ハ〜、ス〜ハ〜」

 

「落ち着いたか?」

 

「ハイ、取り乱してしまってすみません…」

 

ヴィントは今までのことをゲッティンに説明した。

 

「む〜〜〜」

 

しかし、メートヒェンはケーキが食べたかったのかヴィントの話し中、頬を膨らませ、ずっと拗ねていた。

 

「ということだ…」

 

「そうですか…」

 

「それにしても、ティンも相変わらず元気そうで良かった、今年は旅に出てたから降誕祭には来れてもティンには会えないと思ってたからさ。」

 

「私もまた会えて嬉しくですわ…」

 

ゲッティンは顔を赤らめて言うがヴィントは気づかない…アプリルはゲッティンがヴィントのことが好きなのを確信したのだが…

 

「さて、ウチのお姫様がケーキを食べたがってるし、俺も腹が空いたし、何か注文するか?」

 

「メーヒねっ、ケーキとオムライスが食べたいっ」

 

「ハイハイ、リルとティンは?」

 

「私はミートスパゲティにしようかな〜」

 

「私は日替わりランチセットにします。」

 

「じゃ、俺はハンバーグにしようかな、すみません。」

 

ケルネリンが注文を取りに来た。

 

「さっきのティンの叫びは何だったの?」

 

「えぇ〜と…」

 

「先に注文いいか?」

 

「えっ、あぁごめんなさい、注文をどうぞ。」

 

ヴィントは注文を告げ、ケルネリンはオーダーを通しに行った。

その後は楽しく食事をし、ケルネリンの追求を逃れて店を出た。

 

「私はこれで…」

 

「あぁ、またな、明日の式典は遠くから見てるから頑張れよ、あと俺のことは秘密にしといてくれ。」

 

「わかりましたわ、リルさん、メーヒちゃん、また会う日まで…」

 

「ハイ、ティンさんもお元気で…」

 

「バイバーイ、ティンお姉ちゃん♪」

 

三人はゲッティンと別れ、宿を取りに行くのだった。

 



今回の登場人物は、蒼の巫女のゲッティン、その友人のケルネリン。

あとは宗教関係でキルヒェ教会、カテドラーレ大聖堂ですね…ついでに前回のファミーリエかな。

蒼の巫女、ゲッティン。彼女の由来は【女神】です。もう少し可愛い名前にしたかったです…

友人のケルネリンは【ウエイトレス】ですね…

キルヒェ教会のキルヒェは【教会】です。日本語訳だと教会教会になりますね。

カテドラーレ大聖堂、カテドラーレの由来は【大聖堂】、やはりしっくりくる気がします。

ファミーリエ村のファミーリエは【家族】の意味を持ってます。

相も変わらず、まんまですね〜

次回もよろしくお願いします。

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