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第二章:第七話:新しい旅の同行者

 

第二章:第七話:新たな旅の同行者

 

・・・・・・

 

丸一日を休養と弓術に使い、二人は首都に向かう。

街道を歩きながらもヴィントは、アプリルに弓を使った戦術などを話している。

途中で二度ほど魔物が襲ってきたが、二人は軽くあしらった。

 

「随分と上手くなったな…これならそこら辺の魔物にも遅れをとらないだろ。」

 

「本当に?」

 

「あぁけど、リルは優しいから盗賊とかにはきっと矢を向けるのに躊躇すると思う…だから、その時は俺にまかせてな…リルには指一本触れさせないから。」

 

「わかった、けどね…ヴィオ、ヴィオが危ない時に、ただ指をくわえて待っていられないと思う…だからね…ヴィオ、私を助けてくれた時みたいに必ず相手をやっつけてね!」

 

「あぁ、頑張ってやるよ。」

 

この後からは、特にハプニングも無く、

日没を迎え、二人は夜に向けて野宿の準備を始めた。

 

「ヴィオ、寝るところはどうするの?」

 

夕食を終え、焚き火を囲んで紅茶を飲みながら一息ついているとアプリルが尋ねてきた。

 

「ん、普通に二人で毛布にくるまって寝るだけだけど…」

 

「なんだ、魔法とかで何かやるのかと思ったのに…家造るとか…」

 

「オイオイ、魔法はそんなに万能じゃないぞ…そんな事まで出来たら大工のいる必要なくなるじゃねえか…」

 

「それもそうか…」

 

その後も二人は談笑しながら時を過ごし、アプリルが欠伸をしたところでお開きにし、寝る準備を始めた。

 

「おやすみなさい」

 

「あぁ、おやすみ」

 

パチッパチッ

 

・・・・・・

 

???side

 

夜の街道を一台の旅客用馬車が走ってある…夜も静まり返ったこの時間に悲劇は起きた。

盗賊団の襲撃にあったのである…

 

「うわっ!?」

 

馬車馬の手綱を引いていた男は馬車を止めると、目の前には20人近くの盗賊団が武器を構えていた。

しかし、この馬車にも襲撃に備えて数人の護衛が同行しており、護衛達は盗賊団を迎え撃つ。

 

「野郎共、乗客達から金目の物を奪えっ!抵抗するなら殺しても構わん」

 

「「「「応っ!」」」」

 

盗賊団の頭が叫ぶ。

 

「乗客達を守るぞっ!」

 

「「「了解っ!」」」

 

護衛のリーダーが叫ぶ。

 

しかし、人数の差は大きく、少しの間だけの足止めしか出来ず、乗客を逃がすので精一杯だった…

 

「キャァァァ〜」

 

「ウワァァァ〜」

 

乗客達も四方八方に逃げるも、盗賊達に追い付かれて殺された…

 

「ハァ、ハァ、ハァ」

 

小さな子供を抱きかかえた女性が夜の森を必死に逃げる

 

―――せめてこの子だけでも助けて下さい、神様…

 

女性の後ろからは数人の盗賊が追いかけてきている。

 

「ハァ、ハァ、ハァ、あれは…焚き火っ!?助かっ…」

 

グサッ

 

「ウッ」

 

女性の背中にナイフが刺さる…だが、子供を助けたいと願う母親の想いで死に物狂いで走る。

 

グサッ、グサッ

 

「ウッ、グッ…」


また二本ナイフが背中に刺さる…

 

「よっしゃ〜、大当たりィ〜」

 

「見ろよ!まだ逃げるぜ?」

 

「あと、どれくらい保つかな?」

 

「ハァ、ハァ、うぅっ…」

 

女性は焚き火のところにたどり着いた…

 

???side end

 

・・・・・・

 

ヴィントは眠りから覚め、剣の柄に手をかける。

 

「んっ…ど…した…の?ヴィ…オ?」

 

寝起きの為か舌足らずな喋り方をするアプリル。

 

「何かがこっちに向かってる…」

 

アプリルもようやく意識がハッキリしたのかヴィントの言葉を聞き、耳を澄ませ、弓を構える。

 

ザッザッザッ

 

足音が近づくにつれて二人の緊張も高まる…

 

「ハァハァ、たっ、助けて下さいっ!!」

 

焚き火の灯りに映し出されたのは…子供を抱え、血を流した女性だった…

 

「だっ、大丈夫ですかっ?」

 

アプリルは弓を投げ捨て、女性に駆け寄る、すると夜の森の奥から三人の男が現れた。

 

「おや?あのアマを追いかけてたらこんなところにも獲物がいるとは…」

 

「ちょうどいい、コイツらからも金目の物を奪うか。」

 

「オイ、見ろよ!あの女、なかなかの上玉じゃねーか?あの女は殺さねーで慰み者にでもするか?」

 

「いいな、ソレ」

 

男達は好き放題言う、女性を襲い、アプリルをも手に掛けようとする男達にヴィントの今までに無いほどに怒りが溜まっていることに…男達は気づかない…

 

「お前ら…許さねえ…」

 

「ハァ?何を許さねぇんだ?」

 

「別にお前に許してもらう必要ないからな、アハハハッ」

 

ドクンッ

 

ヴィントの魔力が殺気とともに体中から溢れ出し、魔法を唱える。

しかし、唱えられた魔法はヴィントの知らない魔法だった…

 

『Verbrecher fahren geben ewig holle fort(咎人に与え続ける永遠の地獄)』

 

「何だ、コ…レ…?」

 

男達の背後に十字架が出現し、十字架に手足が磔になると地獄への門が開き、男達は地獄に送られた…

 

「な…んだ…、今…の…?」

 

ヴィントは驚愕した、自分の知らない魔法が無意識に発動したことに…

 

「大丈夫ですかっ?」

 

ヴィントが盗賊達を相手にしている間中、アプリルは女性の介抱をしていたが、だんだんと生命が消えていくのがわかる…

 

「リルっ!その人の状態は?」

 

ヴィントが駆けつけ尋ねると、アプリルは首を横に振る。

 

「あの…すみま…せん…頼み…たい…事が…」

 

「何ですか?」

 

「この子を…メートヒェンを…お願…い…ファミーリエ…のユンゲラーのと…こへ…私の…弟夫…婦が…」

 

女性は我が子の事を二人に頼むと、女性は息を引き取った…その傍らには、何も知らない小さな女の子がスヤスヤと寝ていた。

 

「ヴィオ、どうしようか?」

 

「この人にお墓を建ててあげて、この子は…とりあえず起きてから考えよう…」

 

「この子、可愛い寝顔だね…」

 

女の子は三歳ぐらいで漆黒の髪を持っている、その髪が頬にかかっているのを整えながらアプリルは呟く。

 

「あぁ、あの騒ぎでよく起きなかったな…」

 

「そうだね、でも母親が殺されるとこを見ないで良かったよ…」

 

「そうかもな、俺達も朝まで寝るか…?」

 

「うん…」

 

ヴィント達は女性のお墓を建てて手を合わせ、冥福を祈った。

女の子、メートヒェンはアプリルが抱きかかえて毛布にくるまる。

 

「おやすみなさい」

 

「あぁ、おやすみ」

 

二人は再び眠りに着く。

アプリルはすぐにとはいかないが深い眠りに着いた、その傍らヴィントは先程の魔法について考えていた…

 

―――あの時、魂の奥底から何かが脈打った感じが…?あの魔法で十字架が出たが、アイツらが送られたのは罪の浄化をする煉獄じゃなく悪魔の領域の地獄…天使の血か悪魔の血か、それとも両方の血が俺の心に反応したか…

 

ヴィントは考えても結論は出ないと思い、自分の父親を見つけた時に尋ねる事にした。

 

・・・・・・

 

太陽が東の空から昇り、三人の顔に朝の日差しを当てる。

 

「んっ、ふゎぁ〜」

 

初めにヴィントが起き、アプリルを起こす。

 

「リル、起きろ、朝だ…」

 

「朝〜?ふゎぁ〜、おはようございましゅ…」

 

「あぁ、その子も起こすか…」

 

アプリルの腕の中でスヤスヤ眠る女の子を見てヴィントが言う。

 

「うん…メートヒェン、起きて、朝だよ」

 

「う〜ん、おはようございましゅ〜」

 

「移ったな…」

 

「何が?」

 

「何でもない」

 

「変なの、メートヒェン、おはよう」

 

「お姉さんだあれ?」

 

メートヒェンはその真紅の瞳を瞬かせて眠そうに擦る。

 

「アプリルっていうの、リルって呼んで♪」

 

「お兄さんは?」

 

「ヴィオだ」

 

「リルお姉ちゃんとヴィオお兄ちゃんね♪メーヒのことメーヒってよんで♪ねぇ〜メーヒのママは?」

 

「っ!」

 

「俺が説明する…」

 

ヴィントは昨夜の事をメートヒェンにわかるように説明する。

 

「ママがしんじゃった…?ふぇっ、ふぇっ、うゎぁ〜ん、ママ〜」

 

メートヒェンは母親が死んだことを知り泣き始めた…

 

「メーヒちゃん…」

 

「お前のママがユンゲラーって人のところにメーヒを連れて…「ヤダッ!」行ってくれと言ってたんだが…」

 

「メーヒ、あの人キライッ、メーヒのママとパパのことわるく言うからっ」

 

「メーヒちゃん、パパは?」

 

「メーヒのパパはしんじゃった…きゅうけつきだったからって、メーヒとママを守るために…あっ、ママに言っちゃダメって言ってたのに言っちゃた…」

 

「っ!?」

 

「俺と同じ混血か…きっとユンゲラーって人のところにメーヒを連れて行っても、メーヒが辛い思いをするだけか…」

 

「どうするの?ユンゲラーさんのところに連れて行ってってメーヒのお母さんが言ってたけど…」

 

「とりあえず、遺言通りに連れては行く、メーヒの母親の最後も伝えておきたいしな…ただ引き取っても最悪、メーヒが虐待を受ける可能性があるしな…」

 

「そんなっ、ねぇヴィオ、私たちでメーヒを引き取らない?それで問題解決!」

 

「お前な、それは問題ありまくりだろ…俺はコレでも王子だぞっ、リルと婚姻を結ぶだけで問題になるだろうに、さらに養子はまずいだろ?言いたかないが混血だ…」

 

「でも…メーヒが可哀想だよ…お父さんもお母さんもいない、叔父さんにも嫌われて…こんな小さいのに天涯孤独になっちゃうよ…」

 

「コンケツ?テンガイコドク?メーヒ、どうなるの?」

 

「ねぇ…ヴィオ〜」

 

「わかったよ…とりあえずな」

 

「ありがとう♪ねぇ、メーヒちゃん」

 

「なに?リルお姉ちゃん?」

 

「私たちと家族にならない?」

 

「家族?」

 

「そっ♪私がママでヴィオがパパ♪どうかな?」

 

「リルお姉ちゃんがママでヴィオお兄ちゃんがパパ?」

 

「ダメかな?」

 

「ううん、嬉しい♪ママってよんでいいの?」

 

「うん♪メーヒ、よろしくね♪」

 

「よろしく♪ママ、パパ♪」

 

「はぁ、よろしくな…メーヒ」

 

メーヒはアプリルに嬉しそうに駆け寄る。

 

―――まだリルと(肉体的に)結ばれてないのに子持ちになっちまった…

 

「あっ、リル…メーヒは…吸血鬼の…血が流れてるから…力が強いと…遅かったか」

 

アプリルは何故か茂みの中に居た…

 

「もう少し早く教えて欲しかった…ガクッ…」

 

「ママァ〜、だいじょーぶっ?パパッ、タイヘン、ママがっ」

 

「ハイハイ、今行きますよ…リル、ガクッって口で言うなよ、メーヒが心配してるから…」

 

こうして、メートヒェンの身の振り方もなんとか丸く収まり、賑やかな朝の時間が流れて言った。

 

・・・・・・

 

『エルテレ 此処に眠る』

 

お墓の前に三人が手を合わせお参りしている。

 

―――メーヒは私たちが頑張って良い子に育てます。ユンゲラーさんって人には悪いけど…私たちが頑張って幸せにします。

エルテレさん、どうか天国から私たちを見守って下さい。

 

―――ママ、リルお姉ちゃんがママになってくれたよ。ヴィオお兄ちゃんがパパになってくれたよ。いい子にしてたらまたママにあえるってママが言ってたからメーヒ、いい子にしてるね♪

 

―――エルテレさん、メーヒは責任を持って育てます。

俺達はまだ若いから心配かもしれないですが…メーヒもユンゲラーさんのところに行きたくないらしいです。

俺達はメーヒの血なんか気にしません、メーヒを必ず不幸にはさせないので、どうか天国から俺達のことを見守っていて下さい。

 

「行くか…」

 

「うん…」

 

「は〜い」

 

フワッ

 

三人の顔を優しい風が撫でた。

 



残酷描写いれた方がいいですかね?

さて、今回の登場人物は、二人の娘になったメートヒェンとお母さんのエルテレ、エルテレの弟のユンゲラーですね。

まずメートヒェンからで、この娘の由来は【娘】です。二人に懐く、素直で優しい良い娘です。

次にエルテレお母さん、彼女は【姉】から名前を付けました。妹だと語呂が良くなかったので姉に…

最後はユンゲラー叔父さん、彼は【弟】です、エルテレに合わして弟になりました。

最近思ってたんですがこのあとがきって必要かな?と…名前の由来って気になったりしますかね?皆さんはどう思いますか?

そうゆうのや最初の文も含めて感想や評価、意見などお待ちしております。

次回もお願いします!

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