第二章:第五話:悪魔襲来
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第二章:第五話:悪魔襲来
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「あれかっ!あれは…悪魔?」
「悪魔?」
「チッ、さっき派手に魔法を使ったからな…興味を持たれたか…」
「強いの?」
「あぁ、強い…悪魔は生きた年数に比例した強さを持っていて、100年も生きていたら充分に人間の脅威になる。一体の悪魔が街を滅ぼす事もあるぐらいだ…」
バサバサッ
悪魔が空から降りてきた。
「よぅ、人間…さっき派手にやってたのはお前らか?」
「だったらなんだ?」
「さっきお前らが殺した魔物達はオレのペット達でね、せっかく人間を襲うように森に放してたんだがな…」
「それは悪かったな…そんなことちっとも知らなかったぜ。」
ヴィントはアプリルを庇うように立ち位置を変える。
「しかも、ご丁寧に死体を送りやがって、あれじゃリビングデッドにも出来やしねえじゃねえかっ!」
「そんなの知るかっ」
ヴィントは剣を抜き、戦闘体制に入る。
「んっ?お前何処かで会ったか…」
「生憎、俺の人生で悪魔に遭ったのは、お前が初めてだ…」
「いや、何処だったか…あぁ、違うか、ヴォルケの野郎と同じ糞ムカつく目付きをしてやがるから間違えたか…」
「!、親父を知ってるのかっ?」
「ハァ?親父?ハハハハッ、これは傑作だっ!あの野郎に息子がいたのか?」
「オイッ、答えろっ!」
「ハハハ、いいぜ?その代わりにこっちの質問にも答えて貰うぜ?」
「いいだろう、まず親父の事についてだ、親父はどんな人間か教えろ?」
「ふんっ、あの野郎は人間じゃねぇよ…」
「はっ?どういう事だ?」
「あの野郎は悪魔と天使の混血だ…よくよく見ればお前からも少しだが悪魔の血を感じるぜ?まぁ、忌々しい天使の血も感じるがな…あの野郎はルシファー様とガブリエルの息子だよ。」
「ルシファー様ってかつて神に反乱を起こし、地獄に堕とされた熾天使ルシフェルのこと?」
「ほぅ、良く知ってるな…女、そうルシファー様は神の傲慢さに嫌気が差して反逆し、その後堕天してサタン様につくことにしたのさ…」
「天使って悪魔になるの?」
「あぁ、悪魔も起源を辿れば神の系譜に入るんだ…」
「その通り、神から生み出される存在が天使だ、その天使が神に反逆するか、絶望や憎しみなどの負の感情を持つと堕天し、悪魔になる。」
「実際、純粋な悪魔は魔王サタンだけだ。」
「あぁ、その通り、そろそろこちらの質問にも答えていただこうか?」
「何が聞きたい?」
「ヴォルケの野郎は今何処に雲隠れしてやがる?」
「知らねえよ、俺も親父を探してる途中だからな…」
「チッ、使えねぇな…もういい、殺すか…」
「殺れるもんなら殺ってみろっ!リル、下がってろっ!」
ヴィントは剣を、悪魔は空間から槍を出し、お互い共構える。
「ヴォルケの息子、最後に名前を聞いといてやるよ。」
「ふんっ、ヴィントだ、お前の名前も教えろよ、後で墓標に刻んでやるよっ!」
「減らず口め、いいだろう…オレの名はトイフェル、お前を殺す奴の名だっ!」
ガッキーン
剣と槍が交差する。
トイフェルの槍が高速の突きをヴィントに放つ、それをバックステップで避け、魔法を唱える。
「【エルガーン・ドナー】(怒りの雷)」
ドガッシャーン
雷がトイフェルを襲ったが煙で姿が見えない。
「殺ったか?」
「あんな雷を誰が喰らうかよ。」
「!」
バサッ
「クッ、空間転移か?」
背後からの一撃をギリギリで避け、トイフェルと向かい合う。
「御名答、今の一撃をよく避けたな?」
「わざわざ声を出しといてよく言うぜ…空間転移が使えるとは…お前何年生きてる?」
「80は超えてねぇよ、んっ?」
「なんだよ?」
「ハッ、お前がそのアザを持っているってことはよっ」
「!」
「オステンの王族か?」
バッ
ヴィントは胸元を隠す。
「あの野郎もとんだところに息子を仕込んだもんだ。」
「チッ、【エーアデ・シュタッヘル】(土の棘)」
ザザザッ
「へっ、空を飛べる奴に地属性の魔法なんか効くかよ。」
トイフェルは翼を羽ばたかせ、空を飛ぶ。
「なら、コレはどうだ?【フラメ・シュトゥルム】(炎嵐)」
ゴオォォォ
炎が空中でトイフェルを中心に激しく舞い踊る。
「【ツークンフト・フォーアヘーア・ザーゲン】(未来予知)」
―――背後2mの位置か…芸が無い
「【フェーイヒカイト・ズィーゲルン・ザイル】(能力封印の縄)」
「チッ、この餓鬼がっ」
バシュッ
「!?」
トイフェルが背後からヴィントに襲い掛かろうとした瞬間、縄がトイフェルに巻きつけられた。
「80年じゃ、この程度か…」
「何だとっ!?ック、何なんだこの縄は、空間転移が…出来ない?」
「能力を封印する縄だよ、さてと…親父の事教えてくれてありがとよ。」
ヴィントは、縄を引き寄せ剣を握り直すと、
ブスッ
ヴィントの剣がトイフェルの胸に突き刺さる。
「ゴフッ」
「さっき言った通り、墓に名前を刻んでやるよ…【ヘレ・ベヴォーナー・グラープ】(地獄の住人の墓)」
ズズズッ
ヴィントが剣を抜き縄をほどくと、トイフェルの体が地面の下に埋まり、逆十字架が建った。
『悪魔 トイフェル ここに眠る』
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「お疲れ様、ヴィオ…」
「あぁ、今回は本当に疲れた…80であの強さか…」
「あの、お父さんの事…」
「リルッ」
ビクッ
「その事は後で考えよう…今は早く先に進もう、魔法の連発で魔力が少ないんだ…また襲われるかもしれないしな…」
「わかった…」
「服は今のうちに変えるか…【ウン・エントリッヒ・シャハテル】(無限の箱)」
ヴィントは、【箱】を出して新しい服を取り出して着替えた。
「なんか取り出す物あるか?次に荷物を出せるのは次の街についてからになりそうだけど…」
「大丈夫…」
「わかった、戻れ、んっ」
フラッとヴィントが揺れる。
「やっぱり少し休もう…」
「けどな…」
「ダ〜メ、ほらっ横になって」
アプリルは座り込んで言った。
「わかったよ」
ヴィントが横になろうとすると、
「ヴィオ、ここに頭のせていいよ。」
アプリルは自分の足を叩く。
「ありがとう、リル♪」
「もう、現金なんだから…」
「好きな女の子に膝枕されたらすぐに元気になるよ!いや、やっぱり時間がかけてこの感触を楽しむべきか?」
「何言ってんだか…少し寝なよ、ヴィオ」
「30分だけ寝る、そしたら次の街に行こう、日没には間に合いたいから…」
「わかったよ、おやすみ」
「あぁ、おやす…み…」
ヴィントはすぐに眠りについた。
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30分後、ヴィントは起こされ二人は道を急いだ。
日没前になんとか街に着くのが間に合い、二人はホッとする間も無く宿屋に入っていった。
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???side
ズバッ
地面から手が生え、何者かが地面の下から這い出ようとしている…
「クソッ、あんな餓鬼にやられるとは…」
その何者かが地面から完全に這い出てきた。
「チッ、完治までに一週間ってところか…んっ?何だ、コレ?」
『悪魔 トイフェル ここに眠る』
「あの餓鬼っ、巫山戯やがってっ」
バキッ
逆十字架の墓標が砕かれる。
「逆十字架…意味は、神への反逆。
ふんっ、其処だけは誉めてやるよ…ヴィント、首を洗って待ってろ…」
トイフェルside end
今回の登場人物は、悪魔のトイフェル。
トイフェルの由来は【悪魔】です。
ヴィントの父方の祖父のルシフェルは堕天使になりルシファーに名前を変えました。誤字ではないのであしからず…
ちなみにヴォルケ、彼の由来は雲でしたがここでもう一つの裏設定を…天使が天で悪魔が地、その間の子なので雲を名付けました。
今回はヴィントの出生の秘密編ってところですかね…
次回もよろしくお願いします。