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第二章:第三話:初めて共に過ごす夜

文章が変なところなどありましたら、作者まで教えてもらえると有り難いです。

 

第二章:第三話:初めて共に過ごす夜

 

・・・・・・

 

二人は自分たちの部屋に入り、荷物を下ろす。

ヴィントは魔法を唱え、【箱】を出して荷物を仕舞う。

 

「ふぅ〜、結構買ったね…」

 

「あぁ、王宮からも食糧や料理はいくらか持ってきたけど、これからリルの分の消費が増えるからな…

それに覚えていられる量の関係もあるからあまり持ち出さなかったんだ。」

 

「なんか、悪いね…」

 

「気にするな、おかげさまで楽しい旅だよ。」

 

ヴィントはそう言い、部屋を見渡した。

 

「あのドアは、トイレと浴室かな?

リル、俺シャワー浴びてくるわ。」

 

ヴィントは【箱】からバスローブを出すと浴室に向かって行った。

 

「ふぅ〜、今日はいろんな事がありすぎて疲れちゃった…」

 

ベッドに横になって呟く。

 

・・・・・・

 

・リ・起き・・ル・オイ・・ろ・

 

―――誰?人がせっかく気持ち良く寝てるのに… 

「起きないなら、襲うぞ?」

 

―――襲われても起きない、襲う・・・襲うっ?

 

ガバッ

 

「ヴィオっ!」

 

「おっ、やっと起きたか…」

 

そこには頭を濡らしたヴィントがアプリルを揺すっていた。

 

―――なんか色っぽいな…顔が少し上気していて髪も濡れてて…

 

そんな事を考えながらも素直には言わずに、

 

「おかげさまですっかり目が覚めました。」

 

「冗談だ」

 

「もっう…」

 

「お前もシャワー浴びてこいよ。」

 

「さっきも気になったんだけどシャワーって?」

 

「簡易式の風呂だ。

リルは普段、風呂はどうしてるんだ?」

 

「川で水浴びとか…」

 

「冬もか?」

 

「冬は、お風呂のある家に借りにいったりしてたよ。」

 

「ふぅ〜ん、まあいいや、使い方教えてやるから入ってこい。」

 

ヴィントにシャワーの使い方を教えてもらい、アプリルは先程買ったバスローブを持って浴室に入って行った。

 

「覗かないでよっ!」

 

「信用されて無いな、不安なら鍵閉めとけ、内側にあるから。」

 

「冗談だよ、鍵は閉めるけどね〜」

 

「なんだよ、それ…」

 

・・・・・・

 

シャワーを浴びて上機嫌のアプリルが出てきた。

 

「いや〜凄いね、シャワー♪凄いね、ズューデン自治区」

 

「まったくだ、ズューデンは他国より30年は技術が進んでいるって言われるぐらいだからな。」

 

ベッドに腰掛けて本を読んでいたヴィントが答える。

 

「何の本を読んでるの?」

 

「ブーフ・ハンドルング著のビューネ大陸紀行だ。」


 

「その本、面白い?」

 

「著者が実際に大陸を歩き、実話を元に書いた本だ。

他の国の事が旅人の視点からわかるから楽しいな。

まぁ、百聞は一見に如かずって諺もあるから本の中身を鵜呑みにするのも良くないけどな…」

 

「私にも読めるかな?」

 

「そんなに難しい本じゃないし、厚さ1cmぐらいのページ数だから読むのに一日は掛からないだろ?」

 

「そっかぁ〜、読み終わったら、次読んでみようかな?ヴィオに昼間、言われたし…」

 

「了解、そろそろ寝るか?」

 

「待って、髪を乾かして結わえなきゃ、髪ボサボサになっちゃう…」

 

アプリルは化粧台の前に座り、タオルで髪を拭いて櫛で髪を梳かし、三つ編みにしようとするが…

 

「うぅ〜、上手く出来ないな…」

 

「なんだ?いつもはどうしてるんだ?」

 

「うぅ〜、お母さんに頼んだり、妹がやってくれたりしてた…」

 

「俺がやってやるよ。」

 

ヴィントはアプリルの手から櫛を預かり、もう一度髪を梳かす。

 

「大丈夫?できる?」

 

「あぁ、で、どうすればいい?」

 

アプリルは簡単に三つ編みの手順を教える。ヴィントは直ぐに理解して髪を三つ編みにして結わえた。

 

「コレでいいか?」

 

「ありがとう♪」

 

「明日は、午前中に少し用事を済ますからリルは宿屋でゆっくりしててな。」

 

「用事を済ます?」

 

「俺の旅の目的忘れたか?」

 

「あっ、お父さんを捜すの?」

 

「そうだ、昼過ぎからは長距離を歩くから、部屋でさっきの本でも読んでれのんびりしてればいいさ。」

 

「私も手伝おうか?」

 

「いや、魔法を使うから大丈夫だ。

俺も歩き回るわけじゃなくて街の中心で魔法使って情報を集めるだけだから。」

 

「わかった、部屋で本を読んでるよ!」

 

「よし、寝るか。」

 

―――っ、忘れてた…ここ、ベッド一つしかないの…

 

「リル?」

 

「何でも無い、何でも無いっ。」

 

「気にし過ぎだ。」

 

ヴィントはアプリルのことを抱き上げた。所謂、お姫様抱っこの形である。

 

「きゃっ!?」

 

「本当の王子様のお姫様抱っこだぞ?リル」

 

「恥ずかしいから下ろして〜って、きゃっ」

 

アプリルをベッドに落とすとヴィントは部屋の明かりを消してベッドに行き、アプリルを抱き寄せた。

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」

 

「大丈夫だ、やましいことなんかこれぽっちしか考えてないから…」

 

「考えてるんじゃないっ」

 

ヴィントはアプリルの頭を胸に抱きかかえる格好にして微笑いながら言う

 

「好きな女の子の湯上がり姿をベッドの上で見て、何も考えない奴なんか居ないよ…」

 

「うっ、でもさっきは変なことしないって…」

 

「悪ィ、でもこうしてると安心するんだ…」

 

「そんな風に言われたらイヤって言えないじゃない?」

 

「本当にイヤなら諦めるけど?」

 

「んっ、私もヴィオの心臓の音聞いてると安心できるからいいよ、このままで。」

 

アプリルは、ヴィントの胸にうずめて言う。

 

「そっか、ならこのままで…おやすみ、リル」

 

アプリルの髪に口付けする…

 

「っ、おやすみ、ヴィオ」

 

ヴィントの背中に手をまわす。

 

しばらくして幸せそうに眠る二人がベッドの上にいた…

 

・・・・・・

 

朝になり、朝食を済ませ、ヴィントは身支度して外に出掛ける

 

「リル、行ってくるな。

昼前には戻ってくるから、大人しく待ってろよ。」

 

「子供じゃないんだから、大丈夫だよ…

いってらっしゃい。」

 

「あぁ、行ってきます。」

 

・・・・・・

 

アプリルside

 

ビューネ大陸紀行

 

前書き

 

私が体験した旅先での出来事や、その国々の文化や伝統を沢山の人々に知ってもらうことで、国を越えて互いに理解を深められることを願い、この本を記す。

 

  ブーフ・ハンドルング著

 

真剣に読書するアプリル…

 

・・・・・・

 

ヴィントside

 

街の中心にある店の前に着いたヴィントは、屋根に登る。

 

「さてと、【ヴァイト・ベライヒ・レーゼン・ヘルツ】(広範囲読心)」

 

ブワッ

 

街の中の空気が一瞬、震える。

 

「んっ、やっぱり居ないか…十年以上前には着たみたいだが、多分どこかで身を固めてるんだろうな…自分が孕ませた女や子供の事を知らずに…」

 

・・・・・・

 

宿屋

 

アプリルは、ヴィントが帰ってきたのに気づいて本から顔を上げる

 

「あっ、おかえり!早かったね?」

 

「ん、ただいま。魔法使ったから早く調べられたけど精神的にキツイ…」

 

ベッドに倒れ込みながらそう言う

 

「どうだった?お父さんの事なんかわかった?」

 


「あぁ、この街にはいないみたいだ。

十年以上前に訪ねてきたきりだって、きっともう、どこかで身を固めてるんだろうな…その通りだと、すれ違いが無いからいいけどその代わりに虱潰しに捜すしかないか…」

 

「そうだね、どこかの街か村に住んでるなら、すれ違いにならないね…」


「けど多分、俺に母親違いの弟か妹がいるぜ?

下手したら兄貴か姉貴がいるかもな?」

 

「兄貴か姉貴って…お父さんってそんなに節操無しだったの?」

 

「知らね、会ったこと無いから。

でもほぼ確実に弟か妹はいると思うぞ?」

 

「そっか、あっそういえばどんな魔法で調べたの?」

 

「魔法を使って街の人達の心を読んだんだ。

まず、親父の事を知ってる人達だけに絞り込んでその後この街での出来事を心から読み取った…」

 

「凄いね…、でもそんな事出来るなら、私の心も読んだりするの?」

 

「時と場合による。

余程の事が無ければしないけどな…」

 

「なら、いいや…」

 

「悪ィ、少し疲れた…昼前に起こしてくれ…」

 

ヴィントは直ぐに寝息をたてた。

 

「おやすみなさい」

 

アプリルは頭を優しく撫でながら呟いた。

 



今回の登場人物は、ブーフ・ハンドルング、それと大陸名のビューネです。

ブーフ・ハンドルングの由来は、【本屋】です。もしかしたら、また著書が出てくるかもしれません。

本の題名に入ってるビューネ、これは【舞台】と言う意味です。物語の舞台が大陸なのでそこからきました。

次回もこの作品をお願いします。

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