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こくはく[告白]:現実には実在しない空想の行為。  作者: 水樹 皓
なつやすみ[夏休み]:学生の特権。
21/32

#13−1:勉強!

「正解。良くわかったな」

「まあね。……灯台下暗しだったけど」


 商店街の中にひっそり佇むゲームセンター。

 放課後のこの時間、普通のゲーセンならば学生で賑やかになるのだろうが、この不気味なゲーセンにいる若者は浩雪と葵の2人のみ。後は小太りの中年男性に、幾日よりやつれた様子のスーツ姿の男性。ついでに黄色い制服を着た店員――以上……?


「ちなみに、どうやってあの愉快トリオを見つけたんだ?」

「僕の知り合いが、たまたまその愉快トリオとやらの知り合いでね」

「へぇ。そっちの方法だとは、流石の私も予測できなかったな。白告、人脈多そうに見えないし」

「…………」

「てっきり、この1ヶ月地道に2組の奴らを一人一人尾行でもして、運良く探し当てたんだと思ったんだけど」

「……………………」

「ん、どうした?」

「あっ、いや、何でも? そんな、僕が梅川みたいなバカなことするわけないじゃないか?」

「……ああ、確かにそうかもな」

「そ、そうだろ?」

「あんな丸わかりの尾行じゃ、流石の愉快トリオでも気づくだろうし」

「え……?」


 軽く口角を上げた葵は、浩雪の後方をチラと見るようにして答えた。

 その視線につられる様に浩雪も後ろを振り返るも、そこには肩を落としたスーツ姿の男性しかない。


 首を傾げながらも、約1ヶ月ぶりに顔を合わせた少女の方へと向き直る。……聞きたいことがありすぎて、時間がもったいないから。


「それで、僕は愉快トリオ――冬馬の盗撮写真を撮ってたやつらを見つけたわけだけど」

「そうか。おめでとう」

「おめでとうって……」


 あまりにもサラッとした受け答えに、一瞬ペースを乱される。

 1ヶ月経っても、やはり葵は何も変わっていなかった。そのことに何故か安心している自分に、しかし浩雪が気づくことはない。


「何だ、不満そうだな。パンツでも見るか?」

「なんでそうな――ってだから捲るなっ!」


 あまりにもサラッとしたパンチラに、完全にペースを乱される。

 1ヶ月経っても、やはり葵は何も変わっていなかった。同じく1ヶ月経ってもからかわれている自分に、浩雪がやるせなさを抱いたのは言うまでもない。


「ったく。お前は僕にパンツを見せるのが趣味なのか?」

「確かに、白告の反応は見てて面白いな」

「……とにかく、僕はあの3人を見つけた」


 浩雪がそっぽを向きながらも強引に話を進めると、葵は「何だ、つまらん」と捲っていたスカートを下ろす。

 ようやく普通に会話ができるようになり、変な疲れを感じつつもほっと一息。浩雪はようやく本題に入るべく、若干早口で話し出す。


「確かに冬馬の予想通り、あの3人が冬馬の写真を撮っていたのは事実だ。何でそんなことをしてたのかは……分からないけど」

「どうせ面白そうだから――とか、暇だったから――とか。馬鹿な理由だろ。白告が分からないのも無理はない」

「……とにかく、あの3人がストーカーの正体だった。でも、もう今はやってないらしい」

「あの3人に聞いたのか? 白告が?」


 葵にしては珍しく、素で驚いた表情を見せる。

 その反応に思わず言い返したくなるも、しかし反論はできない。なぜなら、


「……聞いたのは僕の知り合い……の知り合いだけど。でも、”もう飽きた。私達も暇じゃないし?”とのこと……です」


 どんどん尻すぼみになりながらも、同じ図書委員のツテで聞いた話を口にする。

 それを聞いた葵は、「確かにあいつ等らしい答えだな」と、嘲笑混じりに答える。

 その反応に、複雑な表情を浮かべた浩雪。何とか自然な声音を意識して、会話を続ける。


「冬馬のところにも、もうとどいてないだろう写真は」

「……ああ。確かにもう届いてないな」


 やはりどこか不自然になってしまうのは浩雪クオリティ。

 だがそのお陰か、葵が一瞬考えるように視線を上に向けたのみで、場の空気が変になることは回避できた。……だが、


「だろ? ……なら、何で学校にこない?」


 今日の本命。この話題を口にすれば、どちらにせよ空気が悪くなるであろうことは目に見えていた。


「私は別に、あいつ等が愉快なことをしてくれるから学校に行ってない――ってわけじゃないからだな」


 しかし浩雪の予想と反して、葵が不機嫌になるということはなく。

 むしろ、浩雪の困ったような表情を見て楽しんでいる節がある。


「それってどういう……?」

「さあ? どういう意味だろうな?」


 ニヤッとワザと不遜な表情で答える葵。その態度に、流石の浩雪も少し苛ついたのか、不機嫌な声音になる。


「てか、中間テスト。何で僕の名前の下に冬馬の名前があったんだよ?」

「へえ。1位は白告だったのか。それは凄い」

「だからそうじゃなくてッ! テストの日は学校に来てたのかよ?」

「さあ? どうだろう――」

「”どうだろうな”は無しだ」


 はぐらかされる前に釘を刺す。

 途中で遮られた葵は、しかし変わらず淡々と、


「じゃあ、家庭にも色々な形があるってこと」

「だからそれって――」

『今の話ホント!?』

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