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第1話 英雄図書館に、今日も百合は咲く。

3単語貰って小説を書くという、昔からよくある企画をツイッターで不定期に呼びかけさせて頂き、

頂いた言葉で小説を書く、という形です。

 ここはどこの世界にも属さない、不思議な図書館。あらゆる世界の、あらゆる時間軸の英雄たちの物語がこの図書館に眠っている。


 英雄と一口に言っても、とある国では英雄で、とある国では大悪党、なんてこともある。英雄という言葉の定義は、とても曖昧だ。しかしどこかの国で英雄と称される人は、それだけすごいことを成し遂げた人物である。


 金の縁取りが施された白い本棚にいくつも並べられた物語たち。そんな、どこか気品のあふれる図書館に、今日も客がやってくる。


 大理石の床を、コツコツ言わせながら歩いてきたのは銀髪なのか、薄い金髪なのか判断が難しい髪色の青年だった。眉目秀麗なそのいでたちを、どこかの世界の騎士服がより一層際立たせる。長いまつげを伏せて、彼はとある本棚の前で片膝をついた。


 しんとした図書館内で、彼の深みのある静かな声だけが響く。


「……。アンタが先に逝ってしまってから、時が経つのがものすごく長く感じられるんだ。……どうしてだろうな」


 自嘲気味に微笑んで、青年は立ち上がろうとする。美しい翡翠の瞳の奥に、穏やかな炎が踊り、彼は動作を止める。そして懐から一輪の白百合を取り出した。そっと本棚に立てかけるようにして置く。それからすっと立ち上がった。


「やれやれ。キミはアタシがいないと、なーんにもできないもんね」


 ふと、青年の背中越しに声がかかった。立っていたのは、長い金髪の少女だった。にこにこ微笑むその表情は、行き交う人がちらと見ても、幸せになれるような、そんな表情だ。


 青年は、突然の乱入者に驚きもせず、ふっと笑う。


「……何もできない、は余計だ」


「でもこれで最後にしなよ? あんまりここへ来すぎたら、キミの寿命が縮んじゃう。いつか運命の人と出会った時、あと数年しか生きられかったら、嫌でしょ。キミにはもっと、生きてほしいんだ。自分の人生、大事にしなよ」


「……」


 青年は無言になる。少女は笑って言う。


「嬉しかったよ、アタシのこと気にかけてくれて。でもキミは、もうそろそろ前に進まなきゃ。あ、でもアタシ淋しくなっちゃうな。……そうだ! 図書館のお庭に、白百合の種を植えていってよ。そしたら、花を見てキミのこと、思い出すよ」


「……まったく。なんでも勝手に決めて。……分かったよ。アンタに会いに来るのは、今日で最後にする。次来るときは、庭に種を植えてまっすぐ引き返す」


 そう言って、青年は少女の方を振り返らずに歩き去った。


 青年と少女の最後の出会いから一年後、庭に白百合が咲き誇った。青年と少女、そして彼に訪れる運命の出会いは、いつか別の時の訪れに話すとしよう。


以前、「女神が綴りし物語」という小説を書いていた際、同じような形をとっていて、

他の2単語での物語が完成していないことを発見してしまいました。

また書き足したいと思っています。

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