視聴
この世の無理往生に屈服するように
曝陽,死ぬほど走ってきた男よ
慌ただしい心を紛らわすなら自然の鼓舞に
真っ黄色日光に揺らがるチョウセンブナの木の葉の下
その緑陰の中でわいわい木の葉の摩擦音を
飄飄と翻って落ちた木の葉の生気を嗅ぐこと
その樹枝の股座を跳ね回る鳥の身軽さの中
歌っている鳥が繰り返していう囀りに心酔して
その席に膝を崩して座る間 いつの間にか小暗くなって
皓皓と光る月夜になって
月色と星影の煌びやかの中で
波の音にように聞こえてくる車の音に流され
また元に回帰した
いつも聞こえてくる自然の鼓舞を無視したまま
怱忙な人生を生きている男よ
時にはしばらくその道に止まって
自然の鼓吹に視聴を