表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/498

第八十五話 射撃武器

 準備期間二日目の今日もまた、昨日と同じようなスケジュールでそれぞれ動いている。


 俺達もまた、昨日と同じメンバーで狩りに来ているわけだが、今日は少し変わったことをレニーと試している。

 なんとも今更な話だが、射撃武器を装備しているのだ。これは別に俺が異世界知識で作った物ではなく、ごく普通にこの世界に存在している物である。


 そもそも、俺は他のハンターが狩りをする姿をまともに見たことが無かった。なので今日の今日まで射撃武器は何処かにあるだろう俺専用武器と再開出来るまで装備することは無いだろうと勝手に思っていた。


 よくよく考えればトレジャーハンターギルドに設置されているフォトンライフルを彼らは普通に使っていたわけだ。銃という物を知らなければ改造して使うという判断はしないだろう。


 いや、流石に俺も弓矢のような物は有るだろうと思っていたのだ。


 しかし、ここまで銃っぽい物があるとは夢にも思っていなかった。昨日、狩りから戻った後マシューに話すと散々馬鹿にされてしまった。レニーですら「え……私に合わせてくれてるんだとばかり思ってましたが、まさか本当に存在を知らなかったなんて……」と原始人か何かを見るような目で見てくる始末。


 恥かきついでにマシューからその仕組みを聞いたが、俺が知っている銃の仕組みとはかけ離れた物だった。


 まず、前提として火薬を一切使わない。代わりに使うのが魔道炉だ。魔道炉を魔力源として爆発魔法をギリギリまで圧縮し、トリガーを引くことでそれを解き放ち弾薬を撃ち出すという仕組みのようだ。


 火薬の代わりが爆裂魔法というなんともファンタジーな仕様だが、異世界らしいと言えばそうだと納得してしまった。


 魔道炉は大体200発前後の射出で魔力が枯渇するらしく、そうなったら別の魔道炉に交換するしか無いらしい。そのため、使用コストはそこそこ高く、狩りが苦手で魔道炉を安定入手出来ないハンターはここぞと言う時に使う虎の子として装備していることが多いそうだ。


 レニーは元々機兵を持たなかったため、銃という物は使ったことが無いそうで、今回せっかくだからと1丁譲ってもらい練習がてら装備しているわけだ。


「弾丸は……直接球状の物を詰めるんだな。ライフル型の形状と言いなんだか火縄銃のようだ」


 銃的な物に飢えていたため、嬉しくてついつい自分で動いて弄くってしまう。そのうち試し撃ちしたくて仕方なくなってしまったが、無駄にするわけにも行かず我慢をする。


 今後使うことがあるかも知れないからレニーになれて置いて貰わないとな。


 初めて触ると言う事で、簡単な使い方のレクチャーを受けた後は他の狩人から少し離れたところで行動している。レニーが何か間違えてフレンドリーファイアなどしてしまっては目も当てられないからな。


 この銃の魔獣に対する殺傷距離は100m前後、射程距離に至っては200m程度らしい。無論、これは魔獣に対しての話なので、対人兵器として使われたらたまったものではないだろうな。


「レニー、50m程先にブレストウルフが居るのが分かるな?」


「はい、1頭……、水を飲んでいますね」


「うむ、いいか照準はスミレがサポートする。レニーは対象を撃ち抜くことだけ考えろ。

 ……くれぐれも燃料タンクに当てるんじゃ無いぞ?それを避けて腹部を狙うんだ」


「む、難しいですがお姉ちゃんのサポートがあるなら……がんばります!」


 俺の指示通り銃を構え、目標に向ける。スミレの照準サポートに併せ目標を狙い……


「ここっ!」


 ドゥっという音を立て放たれた弾丸は見事に隣の木に当り中程までめり込んで止まった。


「ありゃりゃ」


 まあ、最初から上手くいくことは無いからな。いくらサポートされているとは言え、銃を動かすのは手動だ。本当の専用武器ならもっと高度なサポートが出来る上に撃ち出される弾はフォトンで多少の追尾もする。


 故に作中のパイロット達は避けられない限り外すと言うことは無いのだが、現実は厳しいもんだ。


「初めてにしては上出来だ。さあ、次の獲物を探そう。そうだな、今回使える弾は10発ということにしようか。残り9発で1頭仕留められたら合格だ」


「1頭と言わず5頭はやってみせますよ!」


 レニーのクセになかなか言うではないか。その自信がどういう結果に繋がるのだろうと成功、失敗の両方に期待して見守っていたのだが、結果としては木を4体、岩を3体、ブレストウルフを2体倒すという思ったよりは上出来な結果となった。


「どうですか!5頭は無理でしたが2頭やりましたよ!」


「まあ、そのうち1体は火だるまになってたが、1体綺麗に狩れたので合格としよう」


 ブレストウルフはどこにでも居る割にそこそこ買い取り金額が高いからな。それは以前語ったとおり燃料タンクのせいである。あれを避けて射撃で倒すのは中々に難しいだろうし、近接だと攻撃を食らうリスクが高くなるからな。


 パインウィードのハンター達はマタギと呼べるレベルで射撃技術が高い。それは普段から生身でも弓を用いて狩りをしているのが関係しているのだろうと思う。


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ