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異世界輝神 シャインカイザー  作者: 未白ひつじ
3章

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第七一話 悔やみの洞窟 達成報告

 翌日、少し寝坊した我々は仕方ないよねと互いに昨日の疲れを労ってフォレムへと帰還した。


 賊の登場や、ユニーク魔獣の乱入等の帰り道にお約束イベントも無く、ゲートが閉められる前にフォレムに帰り着くことができた。


「じゃ、私たちは報告とルナーサまでの護衛依頼の受託してくるね」


 疲れた顔をしたレニーたちがギルドに入っていく。今回からはインカムがあるため内部の状況がわかり、意思の疎通も可能だ。要件が一度で済むため非常に助かるな。


 栗色のボブカットで愛嬌がある顔をした猫系?の職員が手を振っている。彼女が噂のシェリーかな?


「おかえりー!すっごいとこ行ったから心配したてたよー。やっぱ無理だったよね、仕方ないよ。幸い依頼主さんが依頼失敗の罰金を指定して無かったしさ、次はもっと簡単な依頼から……」


「い、いえ!あの!これ、依頼達成の書類です!」


 ザワっと周囲が声を上げたのが聞こえた。失敗すると決めつけていた職員に思うところが無くもないが、周囲の反応からして誰も達成して帰ってくるとは思わなかったのだろう。


「え?悔やみの洞窟…の…奥まで行ってきた……の……?」


「はい、それで依頼者さんとお話をしまして、この後も継続してルナーサまでの護衛依頼を受けることになったのですが……」


 周囲のざわめきが大きくなった。「マジかよ、あの洞窟を?」「おいおい、女の子がアレを抜けたのか?」「いや、アレよりあのヤベエ奴が……」等々、それぞれ何を思い出して何を言っているのか想像がたやすい。


「え、えっとですね……、悔やみの洞窟についての噂はご存知ですね?そこの最深部まで辿り着いて生還、しかも特に怪我など無い様子……。これがどういう事かわかりますか?」


「う、運が良かった……のかな?あはは…」


「あははじゃないですよ!レニー達は今まで誰も達成できなかった洞窟踏破を果たしたんですよ?一切の情報が残されていない悔やみの洞窟、その情報はギルドとして見逃せないのよ!」


 これはまずいな。ちょっと打ち合わせをしよう。


「レニー、聞こえているな?あたり障りが無い適当な話をして洞窟の説明を待たせておけ。ミシェルと打ち合わせするから」


 まず、俺としては洞窟内に残してきたゴーレムを他のハンターやトレジャーハンター達の目に触れさせたくはない。一応ある程度の隠ぺい工作はしてきたが、勘のいい奴なら見つけてしまうだろう。


 そしてミシェル的にあの洞窟の正体を知られるのはどうなのか、そのあたりの摺合せも必要だ。というかこれは昨夜話し合っておくべきだったな……。


「ミシェル、話は聞いていたな?どうやら洞窟の詳細を開示する必要があるようだが、どのくらいの情報まで開示して良いか教えてくれないか?」


 レニーがミシェルの方を向いたのか、何か考えている様子の表情が視界に入る。間もなく、ボソボソと周囲に聞こえないくらいの声で応答が入った。


「そうですわね、当家の所有物だ、というのは開示して結構です。今まで開示していなかったのは無駄にそれをした場合、噂を聞きつけたものが今以上に探索に向かっていただろうというのが理由です。

 しかし、既に重要な物、祀られていた宝珠は回収しましたので、今となっては物好きに侵入されても困りませんし、それでも入るものは罰することもできますわね」


 なるほど、そういう事であれば……


「ありがとう。俺としては残してきたゴーレムが気がかりでな。ミシェルの家の所有物だという事を報告しつつ、再度行くのは遠慮したいレベルで苦戦すると報告してもらおうと思うんだが」


「それでいいですわ。そうですわね……、当家の名前……」


 と、ミシェルがレニーに割って入り職員と対峙するのが見えた。ミシェル自ら説明をするのか。

 

 …マシューは……立ったまま寝てるんじゃないかあいつ……。


「係員さん、私から説明させていただきますわ」


 「おや、あなたはミシェルさんでしたね。護衛任務ということで同行されてたでしょうし、構いませんよ。レニーも補足することがあったら言ってね」


 ミシェルとレニーに椅子に座るよう促して長期戦の体勢を取っている。こんな所で話さないで会議室で話せばいいものをと思うが、おそらくこれはわざとだろう。洞窟の情報をあえて周囲に漏らし、危険なら危険であること、何もなければそうであることを噂として広めさせる目的がありそうだ。


 本来であればあまり褒められた行為ではないが、噂の的である悔やみの洞窟だから仕方あるまい。


「まず、皆様が悔やみの洞窟と呼んでいる場所は当家……、ルストニア家が代々管理する「紅の洞窟」が本当の名前ですの」


「ル、ルストニア家ー?」


 レニーが驚愕の声を上げている。周囲もまたざわめいているが、その半数が良くわかっていない感じである。ハンターとはいえもう少し歴史の勉強をした方がいいだろうな。


 やはりミシェルはルストニアの末裔だったか。今までの情報からしてそうであろうと思っていたよ。



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