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第六話 目覚めし時


『…システムチェック……オールグリーン……状況……クリア……最終防衛モード解除します。カイザーシステム起動…… 起動シークエンス……完了……おはようございますカイザー、前回システムスリープ時から5834年5ヶ月10日が経過しています……』


「アイルビーバック……」


『カイザーの言語システムに異常を推測、システムスキャン開始……異常なし…』


「え……?スミレ、スミレなのかい?あれ?だって今……」


『おはようございます、カイザー、本日は新機歴120年5月10日です』


「ちょ、ちょっと待って?今5…5000何年とか…そして溶岩、溶岩は……?」


『5834年、カイザーが最終防衛モードに入ってからそれだけの時間が経過しました』


 自己防衛モード……確かOVA1巻で敵事地底に飛び込んだ際、発動した生還システムか。あれを使うには本部の承認とパイロットの承認、そして俺の承認3つが必要だったはず……。


『承認に関しては私が抜け道を使いました』


「ぬ、抜け道?」


『火山を感知してから急いでパスを構築し、システムに偽装データを流すことにより私の権限のみで発動できるようにカスタマイズを施しました。ギリギリでしたが、カイザーにこの報告が出来ることをうれしく思います』


 最後当たり静かだったのはこれの詰め作業をしていたからか……。気まずかったのは俺だけだったわけか……くそう、5000年前の事だってのになんだか恥ずかしくなってきた。


 生還システムにそれだけ厳しい認証システムが使われているのには理由がある。「最終防衛システム」これはすべての武装をパージし、機体を不思議合金で覆うことによりかなりの時間極限状態に耐えうることが可能となる。

 欠点として、まず先に言った通り全ての武装をパージしてしまうため完全に丸越しとなる。次に、一度発動してしまうと周囲から完全に脅威が消え去るまでパイロット、及びカイザーからの解除命令は受けつけられない。強制解除を実行するためには本部の承認も必要なのだ。


 故に、下手に使ってしまうと敵地の真ん中で無防備に丸まった状態になってしまい、後は敵対勢力にお持ち帰りされてしまうという恐れがあるわけだ。なのでそう易々とは使えないし出られない、めんどくさい代物なのだ。


 ほかにももう一つ、重要なデメリットがあった気がするんだが……どうも思い出せない。まあ、思い出せないということは設定資料か何かにちらっと書いてあった程度のしょうもない小ネタだろう。


 中でおならをすると死にかける、とか、においが強いものを食べると辛い、とかさ。



 さて、と。生還システム…、防衛モードが解除されたってことはあたりは平和になったのだろう。と、見渡してみれば以前とは全く違う景観が広がっていた。


 まず、眼下に広がるのは草原ではなく深い森で、噴火の規模から予想はしていたが見える範囲には城も街も無かった。


 そして何より、異常に視界が良い。まるで空を飛んでいるかのように遠くを見渡せる……。


『カイザー、現在地詳細データが出ました。位置情報、5834年前よりやや北上、以前の街周辺と推測。高度3800m……』



「こ、高度さんぜんはっぴゃく?なんたってそんな高いところに?」


 『完全にシャットダウンしていたため詳細は不明ですが、火山活動により何らかの地殻変動が発生し、隆起した大地に持ち上げられたのではないかと推測』



「なるほど…しかし参ったな…これじゃあパイロットを探すどころか人間だってこないだろ……ねえ、スミレ、前も言った気がするけどシステムを騙して自立稼働することは……」


『あなたはケーキを作れるお寿司屋さんに牛乳がイチゴミルク味になる品種改良をしろというのですか?』


「うわあ、その回答を聞いてるとホントに生き残れたんだなあって感じが凄くするよ!で、無理なんだね?」


『無理でしょうし、出来たとしてもどれだけ時間がかかるか分かりません。山にパイロットが訪れる方が先だと推測します』


「だよねえ、まあ5800年待ったんだ。のんびり行くかー」


 しかし、不安なところもある。あれからそれだけの時が流れているのだ。日本であれば石器時代から平成くらいの時が流れている。それだけ経っていればかなり発展し、俺が去った世界のような高度に文明が発展しているか、滅びているか、はたまた長期に渡る停滞によりなんも変わっていないか。


 絶滅だけは勘弁だな……。あと地上進出したタコが新人類として闊歩してるのもちょっと嫌だ……、


 あれ?そういやスミレの奴が何か年号いってたな?


「ねえ、スミレ、今何年?」


『はい、本日は新機歴120年5月10日です』


「しんきれき」


『はい、最近産まれた新たな帝国が提唱した年号のようです』


「ということは、人類は……」


『もちろん、健在ですよ、カイザー。あなたの行いが実を結んだ結果です』


「いやあ、俺は高々国家ひとつの命を救ったくらいじゃないかな」


『それでも…です。』



 しかし、安心したな。人類はやはりしぶとい。願わくば今度こそ俺のパイロットたる人物と出会えん事を……!


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