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異世界輝神 シャインカイザー  作者: 未白ひつじ
3章

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第六十話 快適な移動方法

 いよいよ出発の時間になった。リックの好意でマシューとミシェルの寝具を貸して貰いバックパックに収納する。


「じゃ、リックさん行ってきますね!」


「おう、嬢ちゃん達も気をつけてな!カイザーもな。」


「ああ、レニー達の事は任せてくれ。リックも例の件頼むぞ」


 ニヤリと笑って親指を立てるリックに俺も同じ動作で返す。レニー達が何やってんだ?って顔をしてみているが今はまだ内緒だ。


 ゲートの門番にレニーが挨拶をしている。一応この街のギルド所属って事で、暫く依頼で外に出る事を伝えているようだ。街の外に住んでいたとは言え、住民扱いされているらしい。


 さて、ロボ2機に生身1というパーティーだが、このままでは移動に制限が出てしまう。


 しかし俺は普通の機兵とは違い変形が出来る。しかも特殊変形まで可能だ。アニメの設定様々と言うわけで、馬車形態に変形する。


「よし、この形態ならミシェルも乗れるぞ。後ろの荷台に乗ってくれ。乗り心地は保証しないが、徒歩よりよっぽど楽だろう」


「え……ええ……、今更カイザーさんに驚くことは無いとは思っていましたが……こ、これはちょっとびっくりしました……」


 やはり驚いたか。とは言え、俺が表情豊かに喋ったり動いたりすること以上には驚かなかったようで、気を失うこと無く馬車に乗り込んでくれた、が……。


「カカカカカ……」


 カカカカ?


「カカ、カイザー……おめえ……そりゃ……ななな、なんの冗談だ……」


 ……そう言えばマシューには見せてなかったか……。マシューは機兵に詳しいから尚更驚いたのだろうな。変形自体は玩具にしても無理が出ないよう、無茶変形では無いのだがアニメ設定側の俺は通常であればおかしいサイズに縮小されている。


 元のカイザーからは考えられないサイズに変形している姿だ、余計に驚くのは無理も無い。


「すまん、マシュー。言うタイミングを逃していたというか……忘れていたというか……。俺達はこうやって魔獣形態……と言えばわかりやすいか?そう言った形態に変形できるんだよ」


「俺達……?ってことはオルやロスも変形できるのか?」


「そう、それが気になってたんだ。出来る、出来るんだがオルトロスがそれをマシューに教えてなかったのが気になった」


『今思い出した~』

『ごめん、マシュー、忘れてたよー』


「……まあ、いい。あたいも知らなかったしな。しかたないよ」


 オルトロスには甘いなこいつ……。


「で、こいつらはどういう姿になるんだ?2匹の馬とかになるのかな?」


「いや、ユニコーン形態は俺特有の姿だ。オルトロスはまた別の姿……ああ、きっと驚くぞ。マシュー、"オルトロス フォームチェンジ”と言ってみろ」


「ん?よし!オルトロス!フォームチェンジ!」


『きたきたきた~』

『フォームチェンジ承認ー!』


「う、うおおおおお!な、なんなんだこれ?」


 マシューが戸惑っている。そりゃそうだ。首の付け根、背中側にコクピットが移動し視界に入っているのは恐らく2つの頭。混乱するのも無理は無い。


「マシュー、一度コクピットから下りて全体を見ると良い。驚くぞ」


「そ、そうだな。オルトロス、あたいを下ろしてくれ」


 オルトロスは身体を低くし、マシューが下りやすい体勢を作る。コクピットから出て軽やかに降り立つと、そのまま小走りに少し距離を取り、改めてオルトロスを見回している。


「こ、これは……!……なんだ?」


 そうだろうな、何なんだろうなこいつは。


「これは……ブレストウルフ?いや、なんだこれ?なんだこれ?」


 オルトロス……、元はギリシア神話に登場する双頭の犬でその尾は蛇と言われているが、カイザーに出てくるオルトロスは姿こそ双頭の犬だが、尾の尻尾は理由は忘れたがオミットされていて普通の尻尾になっている。移動に特化したカイザーと違い、オルトロスはこの形状での戦闘もよく行っていた……気がする。


「これは、犬だな。2つの頭を持つ犬だ。オルトロスのAIが2つ搭載されているのはそのためだ。その形状でも戦闘力は高いから、それに慣れておけば幅が広がるぞ」


「へ、へえ~犬かあ。犬の魔獣っていうのは見たこと無いけど、もし居たらこんな感じになるのかなあ」


 いやあ、双頭になるって事は無いと思うぞ……。


『どう?マシュ~』

 

『かっこいいでしょ-』


「ああ、かっこいいぞ!顔が二つになるとどっちが喋ってるかわかりやすくていいな。右がオルで左がロスか。ははっ結構可愛い顔してるなあお前ら」


 可愛いかな……可愛いのかも……マシューがそう言うならそうなんだろうな……。


 ミシェルは……なんだか動かなくなっているが、まあ、そのうち慣れるだろう。


「ねえ、カイザーさん、オルトロスは変形してもコクピットがついてるけどカイザーさんはあんな感じになれないんですか?」


「ん?ああ、そういえば縮小モードばっか使ってたから覚えてないか。大きくなれば一応コクピットは背中に出てくるぞ。ただ、戦闘型ではないからあまりその形態になる意味は無いがな」


「そっかー、でもこのお馬さん形態は好きですし、それならそれでいいですよ」


 一応ユニコーンなんだけどな俺……。まあいっか。



 ともあれこれで移動速度を上げることができるな。ミシェルが乗っている馬車を引きながらだから最大速度というわけにはいかないが、オルトロスの負担を減らすことは出来るだろう。


 ……問題は遭遇したハンター達が腰を抜かしてしまいそうだと言う事だが、何かあったら弁明すればよかろう。


 

 この日以降、カイザー達が知らないところで「街道に馬車を護衛する謎の魔獣」という噂が広まるのだが、「実害が出ていないから」という理由で討伐クエストが出されなかったのは幸運な事だろう。

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