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第五十四話A 端末

 街へ到着し、俺達は直ぐにそのままリックの家に向かった。


 レニーが「お湯を浴びたい」と言ったのがその理由だが、この世界にお湯を浴びるという習慣があるのに驚いた。


 思わず口に出してしまったが、おかげでレニーから事情を聞くことが出来た。


「普通はお湯を入れた桶で身体を拭くんですけどね、リックさんとこにはお湯が沢山出せる仕掛けがあるので使わせて貰ってるんです」

 

 との事だった。近くの川から水をくみ上げ、それを沸かして素材や機兵の洗浄に使っているとのことだったが、それを聞いて風呂を思いついた。


「昔何かで見たのだが、水では無くお湯が沸く泉という物が存在するんだ。野生生物はそれに浸かり傷や疲れを癒やすのだが、ここのお湯を大きな容器に貯め,それに浸かることによって似たような効果を得られるのでは無いか?」


 そう、さりげなく風呂の案を提供したところ、やけにリックがノリノリで直ぐさま適当な容器を担いで戻ってきた。


「こんだけありゃ十分かい?」


 十分も何も余裕で二人は入れる大きさである。排水周りのアドバイスをすると直ぐに加工にとりかかりあっというまにバスタブが作り上げられてしまった。


 レニー用に作られていたのか、奥に用意されていたお湯浴び場とも言える小屋に運び込まれ設置。間もなく湯が張られレニーとマシューがそこに飛び込んでいってしまった。


 …マシューは事情も分からずレニーに引きずられていった感じだったが、まあいいだろう。


 二人が湯に浸かっている間、レニーから預かっていた連絡用端末をリックに渡す。


「なんだいこりゃあ?」


「これは俺とレニーが連絡に使ってる物なんだけど……これと似たようなの造れないかな?こんな具合のさ……」


 適当に書いた図面をプリントアウトしリックに渡す。


「そうは言われてもな……どういう道具なんだこれは?」


「俺の声を離れた場所にいるレニーに届け、レニーの声もまたこちらに届く……という仕組みなんだが」


「あーなるほど、ギルドの連中が他の支部と連絡取り合うのに使ってる奴みてえなもんだな」


「ほう、余所にもギルドがあるのか」


「そりゃそうよ。ここが発祥だがよ、各地にも魔獣がでねえわけじゃねえ。規模は様々だが、大抵の街や村には大なり小なりギルドがあるぜ……っと、ちょっとバラしていいか?それにこいつの部品を流用する必要もあると思うが……」


「うーんそうだな……」


『予備はいくらでも用意できるのでいいですよ。それにこの改良は今後必要なことですから』


「いくらでもってそんなに?ま、まあいいや。頼むよリック」


 リックに多めに4個ほど手渡し改良を依頼する。子供のように目をキラキラさせたリックは奥の部屋に駆け込みバタンとドアを閉め閉じこもってしまった。


 本当に機械が好きなんだなあ。


 何を依頼したかというと小型化……、インカム化である。現在の形はスマホ型で、使おうとするとどうしても目立ってしまう。

 例えばギルドなど、建物に入ってしまうと会話自体はこちらからなんとか聞くことは出来るが、レニーに話しかけることは難しい。


 なので違和感なく、こちらの意思を伝えるため装着型のインカムに出来ないかと思ったのだ。


 技術的にどうなのか怪しいところではあるが、この世界の機兵文明は聖典マニュアルがベースになっている。と言う事は少なからず同じ世界観で作られた端末の構造も理解し改良出来るのでは無いかと踏んだのだ。


 集積回路とかそういうので詰まってしまったらお手上げだが、その辺はこう、魔道具的な逃げ道でなんとかしてくれるとありがたい。


 そもそも現実世界の日本で実現できていない搭乗型戦闘ロボを実用化しているのだから、なんとかなりそうな気がするんだよな。


 間もなく、フラフラとした足取りで二人が風呂から上がってきた。随分長湯だと思っていたが、どうやらこれはのぼせているな。


「大丈夫か……って大丈夫じゃ無いな……」


 レニーが弱々しく俺に手を振って部屋に消えていく。疲れ……じゃなくてのぼせたんだな……やっぱり……。


  ◇


  翌朝になってもリックは部屋から出てこず、部屋から鳴り響く音で「作業中だ邪魔すんな」と、無言で伝えてくる。 


 すっかり体力が回復した二人はモリモリと朝から元気にご飯を平らげ、ギルドに行くと張り切っていた。


 レニーが3級(サード)になればいよいよ護衛クエストを受け、報酬で本が買える。嬉しくなって


「レニー!いよいよ護衛クエストが受けられるな!がんばろうな!」


 なんて発破をかけてしまったが、


「う、うん!そうだね!クエストがんばろう!」


 と、微妙に煮え切らない返事をされてしまう。また変な地雷を踏んでしまったのだろうか……。

 

 スミレが何も言ってこないから特に不味い事は言っていないと思いたい。


 

 ギルドに到着し、レニーとマシューが中に入っていった。以後はあちらからの声を聞くことしかできない。

 一応、緊急時には端末を震わせて耳に当てさせるという事も出来るのだが、何度もやってしまうと目立つからね。レニーを変な子にさせないため改良が上手くいくと嬉しいなあ。


 間もなく、シェリーさんの変な想像をさせるジョークが聞こえてくる。レニー、後は任せたよ。

この後にもう1本レニー視点のBパートがありますので、よろしければ併せてどうぞ。

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