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第四百八十一話 隠されし力

『詳しく話している暇はないの!』

『こちらからのデータ受信を許可するの』

『っと、音声通信だとルクルゥシアが待ちくたびれてしまうね。データ空間で説明をさせてもらおうか』


 フィアールカ達とキリンが俺とスミレに接続し、グランシャイナー、ポーラそれぞれに搭乗しているフィアールカ達から何やらデータが送信されてくる。何やら結構な量のデータだが……む、これは……!


『これは……正気ですか?フィアールカ、キリン。だってグランシャイナーにはクルー達が……』


『何を言っているの?クルーたちだって私達と共に戦う仲間なの』

『クルーたちだってこの日のために訓練をしてきたの』


『訓練……? キリン、私はその様な話を一切聞いてないのですが』


『はは、だって言っていないもの。私は兎も角、フィアールカ達の所属は基地研究部に準ずるんだ。カイザーならその意味がわかるんじゃないかな』


 おいおい!俺に振るなよ!スミレ先生相手に"ほうれんそう"を怠ることをどれだけ許さないか知らぬキリンではあるまい。


 ……だが、まあキリンが俺に何を言わせたいのかわかる。


『不本意ながら、キリン達の言い分は正しい……と言わざる得ない』


『カイザー?』


『戦地で悠長な事も出来んからざっくり言うぞ。ピンチに陥った際、颯爽と駆けつける基地研究部所属の運搬メカ。そこから飛び出す新装備で起死回生!となるわけだが、戦闘員である俺達はその場で初めてそれを見ることになる……これはシャインカイザーでも何度かあったパターンだ』


『……つまり、フィアールカやキリンはそれに習って秘密裏に準備をしていたと……』


『そういうことだな』


『まったく……こんな時にまで様式美を考える必要はないでしょうに……けれど、理解が出来ないわけではありません。許します』


『まさか、最後の最後にこの様な浪漫溢れる秘密兵器が出てくるとはな』


『これを使ってもルクルゥシアとの差は結構あるの』

『でも……そろそろあっちの準備も終わりなの。合わせてカイザー達の力になるの』


『『フィアールカにおまかせなの!』』


『よし、それでは通常空間に離脱後、パイロット達に事情説明、その後速やかに作戦開始だ!』


『レニー達にはさらなる負担をかけてしまうことになりますが……、今よりマシになるでしょうから承認します』


 データ空間内での会議――表の時間にして10秒にも満たない――が終わり、通常空間に戻る。コクピット内をチェックすると、消耗しきった表情を浮かべるパイロット達が突然入ったフィアールカの通信によって驚いて居る。


「君達はまだ何が起きているのか、これから何が起こるのかわからないだろう。なので君達に一番伝わりやすい方法で状況を伝達する」


「……基地から戦況を打開する秘密兵器が到着した」


 その一言で、その一言を発した瞬間、パイロット達は全てを察し、ぱっと表情を明るくする。通常の人間であれば今の一言だけではここまで明るい顔を見せることはないだろう。


 いくら秘密兵器が到着したと言われたとしても、果たしてそれが役に立つのかわからない。何かが来たからと言って確実性が無いのだから、直ぐにそこまで素直に喜ぶことは出来ないだろう。


 しかし。


 我々――シャインカイザーというアニメを見て、そのお約束にすっかり染まりきった人間たちであれば話は別である。あの作品において『基地から届けられる秘密兵器』というのは何時も正しく戦況を有利に変え、勝利に導く鍵となる存在だ。


 俺のセリフを聞いて喜ばないわけがなかった。


「カイザーさん……秘密兵器って……」


「ここに来てまさかそんなもんが来るとは思わなかったぞ」


「一体どの様なものなのでしょうか?」


「わかりませんが、この状況を打開できるということだけは信じられるでござる」


「ねえルゥ!もったいぶってないで早く使おうよ!」


「アタイは何が来てももう驚かないぞ!」


 皆が一斉に口を開く。先程まで辛そうな顔をしていたというのに、秘密兵器の効果は抜群だな。かく言う俺も先程までとはうって変わり、非常に心が落ち着いている。


 秘密兵器がどんなものか、わかっているのでそのためでもあるのだが、そうでなくともやはり、このお約束的な流れはどうも自然と信頼して安心してしまう。


 これがアニメではなく、リアルで起きていることだとしても……だ。


 なぜそこまで信頼できるのか理解らない。わからないが、兎に角気分は最高だ!


「では、最終作戦を実行する!パイロット諸君は事情が飲み込めていないだろうが、俺の指示通り、普段と同じく動けばそれで良い! では、スミレ!フィアールカ!行くぞ!」


「了解」

『『了解なの』』


「グランシャイナー Limited release! MODE:GODDESS 申請!」


『グランシャイナー MODE:GODDESS 承認。これより当機はフォームチェンジを実行します。艦内のクルーは速やかに規定通り行動をし、各自安全確保に努めて下さい……繰り返します……』


 MODE:GODDESSが承認され、グランシャイナーにゆっくりと変化が現れる。宇宙に浮かぶ巨大な帆船は帆をたたみ、その形状を変化させていく。


『グランシャイナー MODE:GODDESS 準備が整いました。カイザー、指示を』


「ああ!シャインカイザーファイナルフォーム!ゆくぞ!スミレ!」

「了解、シャインカイザーファイナルフォーム承認。グランシャイナーこちらへ」

『ファイナルフォーム了解。合体開始』


 普段の口調とは違う、淡々とした口調で合体シークエンスを告げるフィアールカ。俺の体はゆっくりとグランシャイナーに向かい、大きく開いたその内側にすっぽりと収まる。


『シャインカイザー収納確認。変形開始……』

「チェックNo1からNo30まで省略No45認可No89承認No98省略……No100確認、承認……」


 スミレが小さく頷き、用意が出来たことを伝えてくる。現在、俺の体はグランシャイナーを身にまとい、その全長は60mを超え、ルクルゥシアに迫るサイズになっている。これこそが俺もスミレも知らなかったグランシャイナーの秘密機能なのだが、俺のファイナルフォームはまだ完成していない。


「ポーラ、こちらの用意は万全だ!そちらも行けるか!」


『こちらポーラのフィアールカ。輝力充填300%まで完了。ファイナルフォームの条件クリア、承認……いくなの、カイザー。ちゃんと受け止めるの!』


 ドーナツ型のポーラが真ん中から2つに割れ、こちらに向かって飛翔する。先程まで太陽から受けた光を輝力に変換し、大量に蓄えていたそれは輝力を纏って白い輝きを周囲に漂わせている。

 

 神々しくも見えるその巨大な輪が俺の背中に装着され……これで合体完了だ!


「シャインカイザーファイナルフォーム!MODE:AMATERAS!!!降臨ッ!」


 

 


 



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