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第四百五十話 救助活動

 グランシャイナーを見送った俺達はナルスレイン達と通信を繋ぎ、一度帝都の中央広場で落ち合うことになった。


 移動中に帝都の被害状況をチェックしたのだが、思った以上に荒れている。眷属達による破壊の跡だけでは無く、明らかに人間達の手によって破壊された跡も多数見られた。


 恐らくは火事場泥棒的な物なのでは無かろうか。国を管理する者達が頼りにならない状況――暴走する国民を止める衛兵は眷属と化し、眷属と化した衛兵が犯罪者達の脱獄を易々と見逃してしまった可能性もある。


 避難場所を広めに用意しておいて正解だったな……。


「民を救ってくれて感謝する……」


 顔を合わせるなり頭を下げるナルスレイン。当然のことだ、と頭を上げてもらい、ここまでの情報を交換し合った。


 ナルスレイン達はまず中央広場を目指し移動し、その途中遭遇したスレイブ達を開放。広場の安全を確保した後、昏睡するパイロット達を一時的に集めておいたそうだ。


 そしてこの広場を拠点としながら周辺のスレイブを無力化し、パイロット達を天幕に保護をした上で我々との合流を待っていた……と言う事だった。


 なお、予想していたとおり帝都内にはバーサーカーやワイトの姿は殆ど無く、スレイブ達が街の警備に当たっていたそうだ。


 俺達の報告を聞いたナルスレインとジルコニスタは頭を抱え、悲しげな瞳で遠く見える城を見上げて『それでか……』と力なく呟いていた。住まないとは思って居るが……、そんな目でみるのは辞めてくれ……修復作業には全力で力を貸すから……。


 その後フィアールカに連絡を入れ広場を拠点として救助活動をしていることを伝えると、直ぐに此方に向かってくれることになった。


 ……のだが、流石にこの広場ではグランシャイナーを着陸させるスペースは確保できないため、俺とフェニックスを使った力技で被害者の搬入をすることになった。


 その間、残りのマシューとミシェルは白騎士団と共に残りの救助に向かい、キリンは中央広場の防衛と索敵に回って貰った。


 被害者達の搬入には以前使用していたカーゴを使う。予備を合わせればいくつかあるため、フェニックスと2機で運ぶとなれば都合が良い。


 広場に残っている白騎士パイロット達に協力をして貰い、カーゴに被害者を搬入。一定数搬入後、俺とフェニックスがそれぞれ飛行し、上空で待機しているグランシャイナーの元に運び込む。


 懸念するのはホバリング中のグランシャイナーをルクルゥシアが狙い撃つという事なのだが……、幸いな事に今のところはそのような反応はない。


 気付いていないのか、わざと見逃しているのか、攻撃する方法が無いのか……理由は不明だが、此方としては助かっている。


 しかし、予想より多くの人々が眷属化の被害に遭っているな。小さな子供の姿こそ無いが、ある程度の体格があれば性別年齢問わずに眷属化の被害に遭っている。


 これだけの人数を何処でどうやって養っていたのか、非常に疑問だったが、それはその後マシュー達からの連絡で明らかとなった。


『カイザー、あたいだマシューだ』

「ああ、聞えている。どうした?トラブルか?」

『トラブル……かどうかはわからないけど、とんでもない場所を見つけちゃったんだ』

「とんでもない場所……?」


『元は騎士団が使っていた施設らしいんだけど、スレイブ達が詰める兵舎……?見たいな感じになってるんだ』


 マシューがいる場所の座標を捕らえ、宙に居る方のフィアールカから周辺の画像を転送して貰った。


 なるほどな……こういう施設まで用意していたとは。


 マシューが兵舎と言ったのは正しい。その施設はいくつかの棟に分かれていて、力ない歩みでスレイブと思われる人々がゾロゾロと出入りをしていた。


 また、併設されている訓練場であろう広場には多くのシュヴァルツの姿が有り、恐らくルクルゥシアが創造した機体はここに運び込まれていたのだろう。


 搬入された被害者達のメディカルチェックを見て、予想より大分健康状態が良くて驚いていたんだが、恐らくこの施設内できちんとした食事を摂らせているのだろう。


 ルクルゥシアがやらせているのか、誰かが善意でやっているのか……それはわからんがな。


 ともあれ、ここを一網打尽……ではないな、沈静化させることが出来れば状況は大きく進むだろう。


「マシュー、そのまま見つからないようその場で監視を続けてくれ」

『了解!他の連中にも伝えておくよ』

 

 マシューと共に施設の方向に向かったのは他に白騎士団が5機。対するシュヴァルツ達の数は機対数だけで見れば最低でも60機。倒すだけならなんとかなりそうではあるが、相手をなるべく傷つけず、無力化するとなれば作戦に必要な"道具"が足らないだろう。となれば、だ。


「キリン、俺達はグランシャイナーと共に救助に向かう。フェニックスを残していくので、広場の対応を頼む」


『ああ、わかったよ。不気味と奴の動きは無いままだし、今のうちに救えるだけ救ってきたまえ」


 増援として向かうのは俺とグランシャイナーだけではあるが、あの施設の様子を見ればグランシャイナーと俺の力があれば鎮圧は容易いことだろう。


 問題は鎮圧した後の話だ。機体から長く離せば眷属化が解除されることがわかっているわけだが、映像で捕らえたスレイブ達の様子を見るに、生身の状態でスレイブ状態を維持している。


 となれば、あの施設周辺に何らかの仕掛けがあり、それによって囚われていると考えた方が良いだろう。


 昏倒させてグランシャイナーにて避難所まで運搬すれば、仕掛けの範囲外に出て解き放たれるだろうとは思うのだが、なんだか不気味なので念のため見つけて破壊しておくことにしよう。




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