表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
459/498

第四百四十八話 アネモネ対策の根拠

 アネモネの触手に喰われた鉱石はコンベヤ状になった内部を通り、城の地下に潜んでいる本体まで運ばれていく。


 そしてその本体にて精錬され、機兵の材料としてルクルゥシアに献上されているようなのだが、なぜ生物を創造出来るルクルゥシアが居るというのに精錬作業が必要となるのか?


 ルクルゥシアは分体を作り、眷属として使役することが出来るが、この場合は自らの身体から分離させた組成物を使用して生み出す事になっている……設定資料の通りであればだが。


 で、バーサーカーやワイト、アネモネ。前者は中に眷属を乗せるとは言え、その外骨格部分とも言える機兵部分は金属で構成されている。つまり、いくらルクルゥシアであっても無から有を錬成することは出来ない。


 アニメで従えていた幹部達はそれぞれ特徴的な邪神のような姿をしていたが、その元となっているのは人間だ。つまり、ルクルゥシア単体ではヌルヌルとした不定形のスライムのような物しか生み出すことが出来ないのである。


 恐らくは帝国がしまい込んでいた資材を使って機体を作る傍ら、今後必要になるであろう資材の調達メカとしてアネモネを創造したのだろう。


 そして現在それを使ってせっせと資材を精製し、眷属達の容れ物を作る作業に没頭しているわけだ。


 今回の作戦において重要なのはその『精製』という作業だ。先程、マシューに仕掛けてもらった"いたずら"が上手く発動し、現在俺のところに面白いデータが届けられている。


 マシューが行ったいたずらというのは、スキャン用のドローンをアネモネの触手に投げ込んでもらうことだった。


 フィアールカにより頭を破壊されたり、途中から千切られたりして若干弱っては居るが、内部の運搬機能はまだ生きていた。そこで、鉱石の代わりにドローンを投げ込み地上からは難しい精密スキャンをさせようという半分賭けのような事をしていたのだが、幸い異物を判別する様な高度な仕組みは無い様で、まんまとアネモネ本体まで到達したようだな。


 ドローンを投げ込んでから城へ到達するまで凡そ3分。中々の速度で動いているようだ……が、肝心なのはそこではない。


「どうやら予想通りルクルゥシアは大雑把な性格のようだ」

「これは……いくらなんでもお粗末過ぎますね……」


 ルクルゥシアは賢いフリをしては居るが、実のところそこまで賢いわけではない。非常にメタな話をしてしまえば、一応は子供向け作品であるシャインカイザーのボスキャラであるルクルゥシアが出す命令というのは子供にとって分かりやすい物ばかりだった。


 やれ、鉱山を奪って生産工場に変えろだの、スーパーを潰して食糧難による恐怖を植えつけろだの、はたまた学校を潰して知能レベルを低下させろ……まであって、実況スレではしばしば「そうはならんやろ」とツッコミを受けていた。


 最終シーズンである4期では、視聴者からシリアス寄りの展開が望まれて居たのにもかかわらず、相も変わらず短絡的で、間が抜けた作戦を立てる悪役たちに大きなお友達はがっかりとしてはいたが、子供向けアニメであるということで、そこはまあ、ぐっと飲み込んでいたりもした。


 さて、そんなルクルゥシアが現実世界に現れてしまっているわけなのだが……ここで不安だったのは劇場版の存在だ。


 玩具を売るため、そのメインターゲットとなるお子様向けに作られるのが地上波版だ。そして人気作は新たな玩具を売るべく、劇場版が作られることが有る……のだが、別の理由で作られることも有る。


 シャインカイザーのように長い年月を開けてから制作されるパターン。


 これは様々な理由で作られると思うのだが、おそらくシャインカイザーの場合は『かつて見ていた子供達をメインターゲットとして』作られたのではなかろうか。


 子供向け玩具としてはとってもお高いプレミアム仕様の玩具というものが存在する。金属パーツをふんだんに使っていたり、原作再現が完璧な変形ギミックが搭載されていたり……数千円で買える子供向け玩具とは質も金額も違う数万円クラスの玩具である。


 それらを買うのはもちろん大きなお友だちなのだが、大人になってもロボットが大好きでたまらない俺のような層向けに、かつて人気があったシリーズの玩具を唐突に販売することが有るのだ。


 そして、運が良ければその販促として劇場版が作られることも有る。かつて見ていた子供達をメインターゲットとした内容、つまりは大人向けの内容となる事が多いわけなのだが……となればルクルゥシアの間抜けさが消え、虐性が高く、狡猾な真の悪に成り下がっている可能性もあった。


 となればこれからやろうとしている作戦が少々困難を極めることとなったのだが……どうやら俺の死後作られたらしい劇場版のルクルゥシアも変わらず少々間抜けなようだな。


「予想通りなのは有り難いが……、いくら高熱を発するとは言え魔力炉を使って精製するとはあり得ないよな」


「害がある物を吸い込んだら弱点に直撃するわけですからね。理解に苦しみますよ」


 なんだか非常に間抜けな展開になってきたが、これで良いのだ。少年向けロボットアニメの悪はこうでなくっちゃな。

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ