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第三百六十二話 巫女語り

◆◇巫女の演説◇◆


 遠き昔、神話の時代。大神はこの世界に異界より4柱の機神を招きました。『カイザー』『ウロボロス』『オルトロス』『ヤタガラス』4柱の神は1つになり『シャインカイザー』としてルストニアの地に降り立ったのです。


 そしてこの地には機神の使徒達が大いなる神機と共に降ろされました。使徒の数は200名。異界から招かれた使徒達でしたが、大神からのお言葉により、混乱するもの、悲観するものは誰一人無く。大神から出される神託に従ってやがて来る時に備える日々が始まったのです。


 使徒達は神機を家としながら当時はまだ荒れ果てていたこの地を開拓し、やがて小さな村を作り上げました。時が経ち、新たな子が生まれ、年老いた使徒が天に還り世代は巡っていきます。しかし、大神からの願い『いずれ訪れる機神の助けになりなさい』というお言葉だけは代々受け継ぎ、その方法を引継ぐ教育も続けられてきました。


 現在では神の言葉を全て引き継いでいるのは巫女の家系のみとなりましたが、それでもあなた方、村の民達も学童を通じて幾つかは身についている筈です。


 我々、村の民は異界から訪れた使徒の末裔。神機を使い機神の助けとなる使徒の末裔なのです。


 今日まで続く大神からの神託の中には驚くべき言葉もあったと伝えられています。数百年前、当時の巫女に伝えられた神託は想定されていた未来を変える内容だったと記されています。


『第5の機神がこちらの世界に招かれた。神機にも変化が現れていることだろう』


 神託を受けた巫女は飛び起きると直ぐに神機の様子を見に行こうとしました。しかし、枕元に見慣れぬ物があるのに気づきます。それは不思議な絵や模様が描かれた板でした。手にとって詳しく調べているうちに其れは2つに割れ、中から書物と円盤が現れたのです。円盤にもまた、絵や模様が描かれていましたが、板から外すことが出来、その裏面から推測し、神事に使われる鏡、神から賜った鏡であると当時の巫女は残しています。


 さて、本日機神様達が使徒を伴いこの地に降臨されました。よって、本日を以て全ての情報を解禁し、希望者には先祖の意思を継いで機神の使徒となってもらいたく思います。


 その前にシロタの民に知っておいて欲しい外部のお話をしておきましょう。


 かつてこの村にも外部から様々な国の民が訪れ、使徒の末裔と交わってこの地を豊かにしてくださいました。ルストニア、ボルツ、ガンガレア、リーンバイル。我らの中にはその国の血を引くものも数多く残っています。


 しかし、その交流が途絶える日が訪れました。神代の大戦――、その影響により外部からの道は断絶。また、大戦の混乱により外部ではこの地に関わる情報が途絶しました。


 機神様も参戦した大戦の情報は当時の巫女にも勿論届いていましたし、当時の巫女もそれを止めるため現地に言葉を届けるお役目を果たしました。


 しかし、神は民の関与は防ぐべしと判断をしました。当時の巫女に降りた神託で『この地からの一切の関与を禁ずる』『来るべき日まで民に伝えることを禁ずる』そのように申しており、今日までそれは堅く守られています。


 そのため神機について学ぶ場である学童で同時に学ぶことになる外部教育の内容は古い内容のまま、大戦以前の物が今でも続けられていました。ルストニア、ボルツ、ガンガレアは既に大戦で失われ現在は別の国家が生まれ、新たな世界が育まれています。


 その地を見るべくこの地を抜けたのがカイザーの使徒であり、巫女の末裔『レニー・ヴァイオレット』彼女は禁忌地とされていた旧巡礼道へ潜り込み、崩落により通行可能になっていた外部への道を発見したのです。


 レニー・ヴァイオレットは旧ルストニア領、現トリバ共和国と呼ばれる地で修行をし、機神カイザーの使徒として認められ、紫電の女神スミレ様の教育を受け立派な使徒として育てられました。


 その後、機神オルトロスとその使徒『マシュー・リム・リエッタ』と出会います。彼女こそがかつてこの村と山を隔てた場所に存在していたボルツの末裔、現在はリムールという街の英雄の娘なのです。


 次に出会ったのが『ミシェル・ルン・ルストニア』彼女こそが旧ルストニア王家の末裔であり、現ルナーサ商人連邦と呼ばれる国で代表を務める物の娘、世が世なら姫と呼ばれている存在です。彼女は先祖代々、ルストニア家を護り続けてきた機神ウロボロスの使徒。ウロボロスは力を失い眠りについていましたが、レニー・ヴァイオレット達との協力により其れは解決し、現在仲間として同行しています。


 そして複雑な事情を乗り越え、機神ヤタガラスとその使徒『シグレ・リーンバイル』と出会うことにより、機神シャインカイザーへと至る機神、4柱が揃いました。シグレ・リーンバイルはリーンバイルの末裔であり、我らの村同様に大戦後は外部との連絡を絶ち、古き伝承を護り続けていました。


 我ら巫女の一族は先祖代々、機神に連なる家系の元へ神託を届けるお役目を続けてまいりましたが、全ては邪神ルクルゥシア打倒のため。世界を護る使命を大神から受けた機神達が円滑に行動できるよう、我ら巫女の一族は今日まで神託を届け続けてきたのであります。


 その御役目は『フィオラ・リーンバイル』にも受け継がれ。巫女フィオラは姉であり使徒であるレニーの危機を大神より伝えられました。邪神ルクルゥシアにより大きな傷を負った機神シャインカイザーはその身を4つに分け使徒と仲間の命を救いました。


 其れにより、不明となった使徒レニーを探すため巫女フィオラはこの地から旅立ち、旅の仲間ラムレット、機神カイザーの現身ルゥと出会いその本願を果たします。


 他の機神や使徒達と合流したフィオラは使徒レニーと再開を果たし、現身ルゥは囚われていた機神カイザーを救い出してこの地を目指し帰郷の旅をはじめました。


 その道中、かつてこの地で『黃鬼』と名付けられ恐れられていた第5の機神キリンと出会い、フィオラトラムレットは使徒として目覚めました。


 本日この地に5柱の機神と6人の使徒が集い、邪神に打ち勝つ力を得る儀式に立ち向かおうとしています。我々使徒の末裔はそれを見送ると共に、解禁された情報を得て機神の手助けとなるべく神機の調節に入りたく思います。


 数千年にも渡り守られ続けてきた先祖代々の願い、ここに成就させましょう。

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