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第三十話 闇を斬り裂く光弾

「っと!レニー!向こうの岩陰まで下がれ!相手に位置がバレているぞ!」


 俺の声に慌てて移動するが、待ってましたとばかりに放たれた光子弾フォトンバレットが肩を掠める。


『肩に被弾、損傷軽微、ですが脅威レベル最大!カイザー、レニー、直撃したらちょっとこれは不味いですよ』


「そんなの言わなくても分かるよ!畜生!スナイパーがいるなんて聞いてないぞ……」


 なるほどこれは手強い。少人数でお留守番してるのも頷けるぜ。


 暫く作戦会議と行きたいところだが、光子弾フォトンバレットが容赦なく岩を削っていく。感覚は…20秒、リロードに結構かかるんだな。


「レニー、合図をしたら岩を向こうに向かって投げろ。そこに着弾したらそれを合図にあっちの岩陰に移動するぞ」


 5,4,3,2,1…


「今だ!」


 レニーが投げた岩に光子弾フォトンバレットが着弾する。閃光を合図に岩陰に飛び込み一呼吸。


 どうやら射線的に"良い位置"に逃げ込めたようだ。とは言え相手にも足はあるはずだ。やがて場所を変え狙撃をしてくるはず。ここに長くは居られないな。


 しかし、こちらにあるのは近接武器、お手製ナイフとナックルのみ、良くて投擲武器(石ころ)か。正直相手にスナイパーがいるのは想定していなかった。こうなると逃げるのも難しい。参ったなあ、これは完全に俺の判断ミスだ。


 時間稼ぎをしてライダー達の到着を待つか?いやしかし,その前に敵の援軍が現れさらに状況が悪化する可能性も…。



「カイザー!敵機3、こちらに向かってきます!」


 むっ、しびれを切らしてこちらに来たのか?しかし下手に顔を出せばスナイパーの思うつぼだ


「レニー、敵に向かっておっきめの石を投擲してくれ」


「了解!カイザーさん!そおおい!!」


 

 だーから、石だつってんだろ!!!其れは岩!俺達が隠れてた岩だ!


 何をとち狂ったのか、いや、元々おかしいレニーは石だって言ってるのに防壁にしていた岩をぶちなげた。遮蔽物を投げつけるという"大技"を使われちゃ移動しないわけには行かない。


「レニー!ばか!レニーのばか!しょうがないから取りあえず横に飛んどけ!」


 スナイパーが岩を俺と勘違いして撃つか、飛んだ俺に気づいて狙い撃つか賭けだった。レニーが跳ねるタイミングで思わず祈りの声が出た。


「南無三!!!!」


 ……?


 しかし、轟音と共に岩が落ちた音がした以外何も起きない。予想では岩が打ち抜かれる音か俺が打ち抜かれる音、それに閃光が走るはずだ。


 これはもしかして……。


 前方の警戒をしつつ、スミレに指示を出す。予想を確信に変えるためだ。

 

「スミレ、今更だけどスナイパーの位置を確認してくれるかな?というか、武器の方か。アレだけの出力だ、レーダーにも映るだろ?」


『す、すいませんカイザー、AIなのに私としたことが思いがけない武器を目にして動揺してしまい失念していました……。そうですよね、武器の位置がわかればこちらも有利に……むむっ、これは…、どうやら動いてない、又は動かせないと推測されます』


「俺もそんな気がしてた!エネルギー供給の問題かなにかで固定砲台のようになってるんじゃないかなって思ったんだ」


 試しに相手の射線に入るようレニーに石を投げて貰う。


 するとそれは落下すること無く、光の弾で撃ち抜かれた。


 やはりそうだ。間抜けなことに特定の方向にのみ有効な固定砲台として運用しているみたいだ。


 こうなりゃ横から行って射手をボッコボコにするほか有るまい。


 と、ここで先ほどの敵影が動かないのが気になった。まさか岩の下敷きに?いやまさか…そんな…


 カメラで確認するとそのまさかであった。直撃は免れた物の、砕けた岩の破片を喰らったようで2機が大破、1機は砦に向かって逃げ帰っている所だった。


 おいおい盗賊の機兵ってコンナモノか?随分紙装甲だな……、と、其れはさて置いて!


「ようし!時は来た!レニー、突撃だ!!!」


 先ほどまでのピンチはなんとやら。種がわかれば怖い物など無い。どうやら敵さんはライフルだけご立派なハリボテ機兵の盗賊団のご様子だ。


 となればさっさとボコって攫われた人達を解放!お土産はあの光子長銃フォトンライフルだ!盛り上がってきたぞ!!!


 大破した敵機を飛び越え、勢いをつけてダイレクトアタックだ!と加速しかけた所ででスミレから警報が放たれる。


「カイザー!スナイパーが銃座から離脱、こちらに向かってきます!しかし、あの機体は…!」


「いよいよ本命のお出ましって訳ですね!」


 ちょ、それ俺が言いたかったセリフ!


「う、うむ。レニー、油断するな!あの動き……他の奴とは違うぞ!」


 言おうと思ったセリフを言われ、つい適当な事を言ってしまったがそれは嘘にはならなかった。


 えっちらおっちらと言った感じで動いていたさっきの騎兵達と違い、機敏な動きで距離を詰めてくる。


『敵機、範囲に入りました。レニー目視で確認出来ます、タイプはわかりますか?』


「え…ううん…これは…フォレムじゃ見かけない…でもこれって……?」



 闇を斬り裂き現れたその機兵は紫色のロボらしいロボ、つまりカイザー(俺)の様な形状をしていた。


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