表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
225/498

第二百十八話 防衛隊選考終了

 2次試験は5分間という制限があるため、1次試験を突破した候補者達なら魔力量の差が結果に出ない純粋な操縦センスを評価できるだろう。


 模擬戦の対戦相手はブレイブシャイン達が務める事になるが、あくまでも動きを見るための模擬戦であり、勝利は目標では無いため誰と当たっても評価に差が出ないようになっている。


 槍、大剣、剣、ナイフ、手斧、大斧、そして拳と思い思いの武器を選んだ候補者達があわよくば勝ってやろうと意気込み大いに検討したが、流石に機体性能、技術力、そして経験の差が大きく勝てる者は居なかった。


 しかし、それでも有望な者はそれなりに居て、ブレイブシャインの面々にも良い経験になったようだ。


 現在、一通り試合が終わり控え室に集まった我々はスミレが録画した映像を見ながら参加者達の評価をああだこうだとしているところである。


「何人か有望株は居たが、やはりマルリッタは凄かったな。あれで初めてだというのだから恐ろしい」


「そうですね……。正直、あたしより先にあの機兵に乗ってたとしたらカイザーさんの力を借りても勝てなかったかも知れません……」


 例のインファイター、マルリッタとの模擬戦はレニーもナイフを捨て拳と拳で向かい合った。


 改良型の操作方法は俺達ブレイブシャインのロボ軍団を参考にウロボロスとスミレの協力の下、新規に設計したもので、大きなドーム状の物に手を置き、魔力を流しながら動きをイメージすると言うものだ。


 機兵と一体化して戦う、そんなコンセプトの操縦方法なのだが、それ故初めて乗る者でもセンスがあればそれなりに操れるというわけだ。


 マルリッタはそのセンスが非常に優れていて、完璧とは行かなかったが、それでも他の候補者達より頭一つ抜けた動きを見せていた。


 最初こそ、調子を確かめるかのように慎重に動いていたが、やがて感触を掴んだのか恐ろしく鋭いパンチを放っていた。それには流石にレニーも回避行動を取らざるを得ず、それを読まれて危うく一撃貰うところであった。


 レニーがバックステップで交わしたところに流れるようにソバットを放つ、そんな動きを覚えてしまう酒場とは一体どんな場所なのだろうか……。


 足先が俺の鼻先を掠めた時はヒヤリとしたが、その後バランスを崩してしまい、がら空きになった背中にちょん、と軽く拳を打ち込まれた所で5分が経過しテスト終了であった。


 前にリックとレニーに作ってやったナックルを装備させるとかなり強力な戦力になりそうだな。


 無論、彼女はライダー隊の先発メンバーとして確定であり、エース候補者になりそうだと考えている。


 他のメンバーは正直なところそこまで光るところは無かったが、それでも戦えるレベルで動ける者とそうでは無い者の差が大きく出ていた。


 リム族の若者、リシューもまた残っていた。彼が選択した武器はナイフで、事前に理由を尋ねてみたら普段から使っていて慣れているからだと言っていた。 


 機兵と一体化するかのような操作感である新型機ではその考え方は非常に重要である。

 普段から使い慣れている武器を使った方が一体感が高まり、より違和感が無い操作感が得られる。


 彼の相手はマシューで、終始軽く受け流されてはいたものの、動きの筋自体は悪いものでは無い。まだまだ粗い部分はあるが、将来が楽しみな人員である。


 一通りチェックし、残りの8人が選出されたところで候補者達を集めて発表をした。


 1軍に選抜された者達は喜び、そうで無かった物はそれを祝福し、予備隊として残る決意を新たにしていた。


 彼らの目的はあくまでも集落を守るための力を得る事。故に予備隊としてでもライダー隊に入れることを喜んでいた。


 ライダー隊とは別に騎兵を使わない「ハンター隊」も組織するので、残念ながら魔力適正が無かった者達にはそちらに登録して貰ったが、それでも集落の力になれると大いに喜んでいた。


 生身単体での狩猟活動は自殺行為だが、機兵と共に現地に赴き罠を張ったり、機兵に乗ったままでは不可能な採集をしたり、動物を狩ったりとやることは沢山有るからな。

 

 まだ先の話ではあるが、この集落にもハンターズギルドの支部を作る予定なので、大いに腕を磨いておいて欲しい。


 

 夕食後、レイとアズ、そしてゲンリュウ相手に定期報告をした。まずゲンリュウから帝国に潜む「草」からの報告が伝えられた。

 それによると、「卵」から放たれている魔力量に変化は無く、まだしばらくの猶予がありそうだとのことだった。

 こちらもまだまだやることがあるため、それは嬉しい報告だったが、改めてノンビリしていられないなと再確認させられる。


 アズからは基地に向けて物資を送ったとの報告だった。次世代機の製造が進み、近々また数機完成すると言うことでルナーサ・トリバ・リーンバイルからパイロットが向い、更に増加するであろう食料消費に対応するためだとの事だった。


 あちらにはバックパック的な物が無いからその辺り大変だよなあ。アレも作れれば良いのだが、流石に無理だ。


 そしてレイからはパインウィードで行っている開拓状況の報告だった。ゆっくりではあるが確実に森は切り開かれているそうで、用意が出来次第こちらからも作業を進めて欲しいとのことだった。


 現在格納庫に入れられるのは4機だが、残り6機は当分の間バックパックを格納庫として使うほか有るまいな。

 そうなるとメンテがしにくくて大いに困る訳なのだが、明日から行う10日ほどの訓練中に資材を見つけて簡易な格納庫を建てようと思う。


 幸い……と言うのはアレだが、この辺りには廃墟になった建物が数多くあるからな。訓練がてら解体をして資材取りをしようと思っている。


 やることがいっぱいで正直いっぱいいっぱいだが、確実に目的に向っているのを感じられるので苦では無いな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ