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第二百話 格納庫

ジンを先頭に洞窟内に入っていく。小回りが利くようにと、ナチュラルに妖精体でジンに元に行ってしまって、メチャクチャ突っ込まれる羽目になった。


 遅かれ早かれこの姿を見せることにはなっていたので、しょうがないとは思うが無駄に疲れさせてしまったのは反省しないとね。


 しかし、洞窟内がかなり見違えていて驚いた。

 土埃で薄汚れていた壁はピカピカになっていて、今では完全に人工物だと認識することが出来る。

 雑然と転がっていた遺物(ガラクタ)も綺麗に片付けられていてかなりスッキリしている。


「おう、こっちだ」


 ジンが向かったのは俺たちがゴーレムと出会った広場。驚くべきことにその広場の壁には扉がついていた。


「……こんな所に扉があったのか……。ウロボロス、これは?」


 ぬいぐるみ化してついてきているウロボロスが嬉しそうに答える。


「ああ、懐かしいなー。そうそう、そこに入り口があるんだよね。カイザー、まさかこの洞窟が1層だけだと思ってないかい?」


「えっ……それはどういう……」


「おい!早くこい!こっちだこっち!」


 ジンに急かされ扉に入るとそこはちょっとした小部屋だった……っと、揺れている?

 

「わわ!?なにこれ?フワっとしましたよ?」


 レニーの台詞でわかった。凄いな、ルストニアの人達はエレベーターなんて作ってたのか……。


「なんだよカイザー、コレがなにか気付いてる顔してるな?面白くねえ!これは昇降機だな。現場で使うことはあるんだが、まさか建物に組み込んじまうなんて驚いたよ」


「へえ、部屋ごと昇降機になってんのかい?うちの工房にも1機あるが、こんな安定したもんじゃねえぞ」


 降りていたエレベーターが到着したようで、扉が開く。


「うお、これはまた……広いな……」


 煌々と明かりが灯り、遠くまで見渡せるだだっ広い空間がそこに広がっていた。

 恐らくハンガーとして使っていたのだろう、あちこちにメンテナンス用のスペースが設けられている。


「ウロボロス……こんなのどうやって作ったんだい……?」


「時間が解決した、としか言いようがないね。と言ってもコレ全部掘ったわけではないよ。元々ここは大きな洞窟だったんだ。僕らは其れを利用したに過ぎない」


 一体何故こんな物を作ったのか、神の啓示でもあったのかと聞いてみたが、特に大した理由ではなく、作っておけばいつか使うだろうという身も蓋もない話をされてしまった。


 機兵文明は争いを産む、そう受け取ったルストニアの人達はここに技術の総てを封印しようと考えた。

 

 しかし、その総てを完全に失ってしまうのもまた危険だと判断し、洞窟を格納庫とし、来るべき日のために用意をしよう、そう思ったらしいのだ。


 しかし、俺の目覚めで事情は大きく変わり結局使う日が来ることはなく、住人達は現ルナーサへ移動し、ここはそのまま廃棄されることとなった。


「ゴーレムが目覚めたからこの施設も半分生き返ってエレベーターも使えるようになったわけだねー」


 なるほど、あのゴーレムは管理人としての役割もあったというわけか。


「残念ながら機材の殆どはもうだめになっててよ、特にあのでけえクレーン、アレは惜しかったな。技術自体は今のとそうかわらんが、アレが有ると無いとでは機兵の弄りやすさが大きく変わっちまう」


「お、クレーンかい?其れなら持ってきたぜ?なあ、カイザー」


「ああ、リックの工房にあったでっかいやつを収納させられてな……。ジンが言うクレーンが上層についてた俺が落とした奴を言うなら余裕で代わりになると思う」


「ああくそ、あれ壊したのカイザーかよ!ったく、気軽に遺物を壊してんじゃねえよ!」


「まったくだ!カイザーよお、お前さん、遺物は宝だぜ?事情があったのかもしれねえが、古き知識から得るものは大きいんだ。気をつけてくれよな」


 ……オッサン二人に怒られてしまった……。あの時はああするしか無かったというのに。

 そんなオッサン達はニヤリと笑って握手を交わしている。仲良くなったなら何よりだけど、すっごいモヤっとするな!


 罰としてクレーンの取り付けの手伝いを命じられてしまったが、そうじゃなくても手伝わせる気だったんだろうとはつっこまなかった。またオッサン二人にドヤドヤ言われちゃかなわんからな。


 むー、しかしこのままだとなんだか気が収まらないな。


 ……そうだ。


「なあ、ジン。こんだけ広くて天井が高いなら預かってる資材や機兵をおいても構わんよな?ちょうど機兵を置くハンガーがずらりとあるし、機兵はそこに置こうと思うけど」


「ああ、いいぜ。どうせ遅かれ早かれやることなんだ。資材もまあ、適当にそこらにおいてくれ」


 フワフワと構内を飛びながら先ずは機兵たちをおいていく。

 バックパックから直に置けるのは恐ろしく便利だよね。シミュレーションゲームでユニットが配置されているかのごとく、空いていたハンガーにどんどん機兵が現れていく。


 現れた1世代機を見てオッサン二人とザックが雄叫びを上げ興奮している。


「うおおおおおお!!!見ろよお前さん達!すげえなこれは!」

「これはグレートフィールドで稀に出るやつだが、完全体ははじめて見たぞ!」

「見てくださいよ!この曲線!今の機兵には見られない高機動型ですよ!」


 オッサン達の中に飛び込もうかどうしようかレニーがウズウズしているのが見える。

 だがすまん、レニー。今からオッサン達の度肝を抜くから話は中断されるんだ。


「じゃ、資材置くぞ」


「あ、ああ。適当にやってくれ……んな!?」


 俺の声に反応したオッサン達がチラりと一瞬こちらを見たタイミングを逃さず、ヒッグ・ギッガをぬっと置いた。続けてバステリオンもおまけに出してやる。


 オッサン達は突如現れた小山にすっかり固まってしまっている。


「んな……ヒッグ・ギッガを倒したとは聞いてたが……こんなデカかったのか?」

「バステリオンが小さく見えるぜ……」


「リブッカとかカワウソとかも適当に出しといたぞ……って聞いてるか?」


 すっかり仕事モードになったオッサン達は妙に生き生きとして素材のチェックに入ったようだ。

 

「くそ、こんなデケえのどう使ったら良いんだ」

「見て下さい、この装甲!かなり頑丈ですよ」

「おお、1世代型の頼りねえ装甲を補えるな」


 ……ヒッグ・ギッガを見せたらびっくりして暫く静かに固まると思ったんだが……まったく技術者という連中には敵わないな。



 



なんだかんだで二百話まで続いてしまいました。

これからも宜しくお願いします。

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