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第十四話 私兵団vs魔獣 2


 そうです、民間騎兵1号がとうとう完成したのです。


 そもそも、国が騎兵を寄越してくれれば討伐できるのに、そういう声は前からありました。しかし、騎兵とは他国から身を守る最終兵器、そういう考え方が普通でしたので魔獣が出るような僻地に派遣などしてくれなかったわけですが、じゃあ自分たちで作っちまえ!そういうデタラメな人たちが居たんです。


 以前から騎兵を作ろうという動きはありました。今で言う騎兵工房ではどこからか流れてきた聖典の写本を参考に、」長年に渡り騎兵の製造が行われていました。


 しかし、聖典でどうしてもわからないところが一つあります。動力源。「ムジンゾウ ノ カガヤキ」と訳されたそれは思い当たるものがなく、そこで行き詰まっていたのです。帝国程の技術者がいればそれも解析して再現しているのでしょうが、おっちゃん共には無理な話。代用品を長年探していました。


 そんな時、ある日持ち込まれた獲物が一石を投じたのです。


 それはまだ"生きている"状態のものでした。手足を潰され動くことこそできませんでしたが、その目には光が灯っていて動体であることを示しています。

 

 丁寧に解体されたそれから出てきたのは光を放つパーツでした。それが取り出されると魔獣の目から光が失われ、少ししてそのパーツからも光が失われました。


 今まで捨てていたパーツ、それは心臓であり、動力源であると推測され再稼働の研究が始まりました。


 やがて「魔力を流し込むことにより稼働する」ということが判明し、騎兵製造は一気に躍進。


 とうとう1号機が完成したわけです。



 長年の研究に結果が出た!


 その声に私兵団は湧き上がり広場に人が集められてお披露目会が行われました。


 それはずんぐりとした3mほどの大きな鎧のようなもので、中に乗り込めるようになっていました。


 歩くたび、腕を振る度に歓声があがりあたりは興奮の坩堝に包まれます。

 


 実戦投入後、最初は登場者の魔力切れによるトラブルが発生したものの、改良を重ね徐々に制御が安定するようになり、とうとうリベンジの日がやってきました。


 その日までに製造された騎兵2機と歩兵50名による大型パーティーによるリベンジ。


 前衛の騎兵はブレスのために開発された大型魔導シールドを装備していました。これはシールドに魔力を向かわせることにより、魔法耐性をあげブレスから身を守るんです。


 完封こそ出来なかったものの、ブレスを受け止め時間稼ぎをすることには成功しました。


 小癪な焼き尽くしてくれるとブレスをはき続ける大型は隙だらけです。


 前衛の後ろから飛び出したアタッカーに驚き、攻撃対象を変えようと思いましたがもう遅かった。


 素早く回り込んだアタッカーの振るった太刀により胴体に一撃!はじめて喰らったのでしょう、驚き怯んでるうちにもう一太刀。歩兵達から雨のように放たれた矢により蜂の巣になりとうとう討伐は叶ったのです。


 しかし、誰しもが思っては居たけれど口に出さなかったこと、それはやはり現実となります。


 以前新型が発生したときと同様、大型もまた1体だけでは済みませんでした。


 時が経つと斃したはずの大型が目撃されるようになりました。


 それは1カ所だけでは無く、数カ所で目撃され、大型は単体では無く、複数存在することが確認されます。


 そうです、以前新型と呼ばれていた物達と同様、新たな種として繁殖を始めていたのです。


 それに対してこちらは騎兵を増やすというやり方をしていたところ、年月とともに外部からも騎兵を求めた冒険者が集まるようになり、私兵団の入団希望者はうなぎのぼり。


 嬉しい悲鳴ではありましたが、数が増えすぎるとまとめられなくなります。そこで発足したのがハンターズギルド。


 私兵団を縮小する代わりに生まれたそれは自由度が高いものでした。


 騎兵乗り(ライダー)でも生身のハンターでも登録出来、ギルドから依頼を受け好きなときに好きなだけどこの誰でも登録さえすれば仕事がもらえる仕組みです。 


 過去の経験により各パーティーに1機は機兵乗り(ライダー)を配置するようにすべし、という暗黙のルールはありますが、強制力はありません。死にたくないやつはライダーと組め!そういうことですね。


 一応、初心者がいきなりキツい仕事を受けないよう、ランクもあります。


 まずは5フィフスから始まり、4フォースサードセカンド1級ファースト)と、昇進していきます。1ファーストの上にA級エースSA級スーパーエースとありますが、普通に生きてれば凄くてもA級止まりでしょうねえ……。


 ◇◆◇

 

 レニーの話は興味深いものだった。


 なるほどライダー無しで魔獣を狩ろうというのは酔狂でしか無いということだな。確かに、あの魔獣を見れば生身で戦うということは考えたくない。よほど熟練したハンターでなければ命を差し出すようなものだろう。


 であれば、現代におけるハンターとは機兵に乗るライダーが主流なのだろうか?


 その質問をするとレニーは困った顔で首を振り、解説を始めた。

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