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第百五十四話 カイザー軍団 変形披露

 カイザーが3機の僚機と合体した姿、それがシャインカイザーだ。


 手足はウロボロス、オルトロスとの3機合体の姿に近いが、4人乗りのコクピットを備える動体は広くなり、顔もまた、口を覆うバリアパーツが現れ厳つい雰囲気に変わる。


 そして何より目立つのは背中に生える翼だ。


 翼と言っても、鳥のようなそれでは無くステルス戦闘機のような翼で、それを持って俺は真・勇者シャインカイザーと呼ばれる姿になるわけだ。


 無論、その状態での俺は飛行が可能となり、飛行中という制限がつくが短時間であれば光学迷彩にてその姿を消すことが可能となる。


 また、飛行も基本的には移動に使うもので、飛行したまま敵を蹂躙するということには向かない。

 これは恐らくアニメの都合上、そういう仕様にされているのであろう。


(その縛りがなかったら以降無双が出来て楽になったと思うのだがなあ)


 ざっくりと飛行能力についてアズベルトさんに説明すると、暫く考えた後


「一度ヴィルハート殿……、トリバの大統領に相談しようと思うけど構わないよね?」


「レインズ・ヴィルハート……、大統領であると同時に本部のギルマスでしたね。

 トリバの冒険者である以上、彼に話を通すのは筋でしょうし、何かの時に動きやすくなるでしょうから構いませんよ」


「そうだね。ルナーサならともかく、トリバでは私が手を回しにくいからねえ。

 では連絡には一週間くらいかかると思うから、のんびり待ってて下さいね。

 はあ、君達が使ってる連絡装置、トリバとルナーサにも設置したいよ……」


 最後にぼやきのようなオネダリのような一言が聞こえ、通信は終わった。


 たしかになあ。この手の緊急を要する連絡は素早くやりとりしたいものな。

 往復で1週間でも十分速いと思うけど、どうやってるのか其れはそれで気になるな……。


 速いと言えばトレジャーハンターの移動速度もめちゃくちゃだ。

 森で追いついてそのまま一緒に洞窟を目指すつもりだったのに、既についてるわ、洞窟チェック済みだわ……。


 恐らく夜もそのまま歩いたんだろうけど……。

 紅き尻尾はほとんどが獣人族の人達だから、体の作りが違うのかも知れないな。


 

 ◇◆


 ジン達の元へ向かうと、遅めの昼食を摂っていた。

 話題の中心はミシェルとシグレ。

 新たに増えた仲間と、その"機兵"について団員の興味は釘付けになっているようだ。


「カイザーの旦那は馬になるだろ、オルトロスは変なイヌだ。じゃあ、お嬢さんのとシグレのは何になるんだ?」


「ガア助は鳥になりますね。カイザー殿のお話ではヤタガラスという聖獣らしいのですが、脚が3本もある変わった鳥です。

 鳥になる、というか……私としてはそっちのほうが馴染み深いので、人形になるのが不思議な気分ですよ」


 嬉しそうに説明するシグレに対して、ミシェルは何だか苦笑いを浮かべている。

 ……そう言えば、ウロボロスって未だ幻獣形態に変形したことなかったな……。

 

 旅の移動手段はその多くが馬車となった俺で、最終的にはミシェルもマシューも乗り込んでウロボロスやオルトロスは自動起動により移動していた。


 アニメ作中では幻獣形態でもどんどん攻撃をするシーンが有ったのだが、レニー達はその形態で戦うことはせず、普段も殆ど人形で居ることが多い。


 そうなってくるとウロボロスが変形する機会というのは無かったな……。

 

「ミシェルすまん……その、機会がなくて……」


「え?ああ、いえ!べ、別に構いませんのよ……困りませんし……」


 む……この反応もしかして……


『ウロボロス、聞こえるか?』


『おやカイザー、内緒話かい?』

『ミシェルに聞かれたくない話題ね?』


『ああ、もしかしてミシェルってその……蛇が……』


『その事かい。うん、苦手だね……』

『だから恐らく試してみようと言わないんだと思うわ……』


『そっかあ……やっぱりかあ……。まあ腕輪のモチーフはそうだったからそう思っても仕方がないけど……』


 今後使う機会があるかも知れないし、こういう事は速いうちが良い。

 いざという時必要に迫られて使ってみた時拒絶反応が出ても困るからな。


「ミシェル」


「ひゃ、ひゃい?なんでしょう?カイジャーしゃん」


「……なんだかレニーみたいになってるな……。まあいい。

 折角だし、皆で幻獣形態になってみようと思うんだ。一応パイロットにも許可をと思ってね」


「……そ、そうです……わね。で、では私はちょっと仕事の続きを……」


「いや、ミシェルはここにいてくれ。ウロボロスは久しぶりの変形となるはずだから、一応パイロットに立ち会ってほしいんだ」


「……うう……ああ……うん、はい!わかりました!がんばりますわ!」


 そこまで気合を入れなくて良いんだけどな。

 まあいい、用意が出来たようだし、やってみるか。


 手始めに俺がユニコーンに変わると団員たちから拍手が起こる。

 

「いいぞー!それだけで食ってけるんじゃねえか!」

「がはは!ちげえねえ!」


 失礼なヤジが飛んでくるが、友達の賑やかしみたいなもんなので嫌な気持ちはしない。


 次にオルトロスが変形する。


「おー!いいぞー!相変わらず変なイヌだなあ!」

「馬鹿野郎!オルトロスは賢いんだからな!」

「マシューより賢いもんな!」

「がはは!ちげえね……おいおい!マシュー冗談!いてえ!おい!すまん!いてえ!」


 ヤジは相手を選んでやらないとな……。


 続いて先にガア助……、ヤタガラスが変形してみせる。

 バサリと広げられた黒翼の翼。

 その姿は確かに魔獣のようにも見える。


「おおー!見たことねえ鳥だな!」

「全身黒って夜間偵察に良さそうだな!」


「おい!おめえら!なんでシグレの時は褒めるんだよ!」

「まあまあ、カイザーさんだって弄られたんだから……」

「何だか知らんがすまぬ、二人共……」


 遠慮をしてるのか、純粋に気に入ったのかはわからないがやたらと褒められている。

 シグレは喜んで良いのやら、遠慮したほうが良いのやらわからない様子だ。


 そしていよいよ順番はミシェルの所に回ってきてしまう。


 唇をきっと結び、仁王立ちになってウロボロスを睨みつけている。


 ウロボロスも何だかやりにくそうな感じだが、片手を上げて合図をすると変形を始めた。


 間もなく変形が終わり、現れた2体の姿に皆が驚きの声を上げた。

 オルトロスは頭こそ2つあるが、身体は一つだ。


 ウロボロスはその身を2体に分け、その場に佇んでいる。


 誰よりも一番驚いているのはミシェルであろう。

 その表情には嫌悪感などはなく、寧ろホッとしたような顔をしている。


「蛇じゃ……無いんですの?」


 そこに立っているのは蛇ではなく、細身のドラゴンといった風貌の姿をしている。

 背中には小さな羽を生やし、頼りないながらも手足も備える。

 何より蛇と違うのはクチバシが生えているというところであろう。


 赤い身体に黄色のクチバシが付いているその姿はメカメカしさも相まって何処か可愛らしい。


 さらにコクピットが付いている側のウロボロスには王冠が乗せられていて、より愛らしさを高めている。


「どうだ、ミシェル。ウロボロスはかっこいいだろう!」


「……ええ!驚きましたけど……これは嫌いじゃありませんわ!」



 胸のつかえが取れたかのような顔で喜ぶミシェルを見て俺はメカデザインの人にグッジョブを送る。

 ウロボロスと指定され蛇の姿ではなく、ドラゴンタイプを採用したのは本当にグッジョブだ。


 確かにおもちゃ的に考えるとどう考えてもヘビ型ロボットは人気が出なそうなので、ドラゴンタイプを採用したのかも知れないがな。


 なんにせよ、まさか異世界で実体化して一人の少女を悩ませ、そして救うことになっているとは夢にも思うまいよ。


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