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第百二十七話 依頼の裏に潜む影

 念願のオリジナル装備を一つ取り戻した。

 

 しかもそれは熱望していた射撃武器であり、カイザーの象徴とも言える物だった。

 俺の心が「ぶっ放そうぜ!」と囁いていたが、これは一応今回の件における証拠品だ。


 はやる気持ちをぐっと抑え、先ずはアズベルトさんへ報告をしてからということに決めた。


 レニーもまた、カイザーリボルバーRの虜となり、撃ちましょう、撃ちましょうと俺を誘惑してきたが、


「お楽しみは後に取っておいたほうが寄り嬉しさが増すだろ?」


 と、それらしいことを言ってやったらあっさり納得して静かになった。

 単純なやつは好きだぜ、レニー。


 というわけで、サンプルとして池の水回収し、カワウソも数体狩ってさっさとルナーサに戻ることにした。


 帰り道の話題は謎の飛行魔獣だ。


 今回の調査で姿を見ることも、痕跡を見つけることも無かったため、見間違いかホラではないかと言う意見も出たのだが……


「そういえば、何度か未知の反応を検知しています。

 ログを見るとなんとも言えませんが、目撃例がある以上、念のため警戒はしておきましょう」


 と、スミレの報告があったため、それに関しては依頼と関係なく今後も継続して調査することに決めた。



 ◆◇◆


 しかし、帰り道でその気配を察知することはなく、土産代わりに何度かリブッカを狩ることはあったが、殆ど戦闘も発生せず皆無事に帰還することが出来た。


「……以上が今回の調査によって判明したことです」


「なるほど、有難うございます、カイザー殿。本当にこの水の中に魔獣が居るのですか?」


「小さいため肉眼では見にくいですが、良く見て下さい、なにか小さいものが動いているでしょう」


「確かに。しかしこれでは良くわかりませんな」


 アズベルトさんはガラス瓶に顔を近づけしげしげと眺めている。

 中にはミジンコサイズの魔獣が何体か泳いでいるのだが、肉眼ではっきり見ることは難しい。


 なので俺のカメラで撮影し拡大した映像を投影してみせた。


「おお、これがこの中に居るのですか?」

「はい、この中を拡大して投影しています。これならはっきり見えるでしょう」

「うむ……確かに、魔獣の特徴である金属の身体を持っていますな……」


 アズベルトさんは瓶をちらりと眺めると言葉を続ける。


「で、この生き物が発生した原因を作ったのはカイザー殿の武器である、そうおっしゃいましたな」

「はい、非常に言いにくい話ではありますが、先程説明したとおりですね」


「この魔獣を見ると確かに発生源となったのは確かでしょう。

 恐らくはリブッカも長い年月池の水を飲み変異したと考えられます。

 しかしです、カワウソの魔獣が発生したというのはまた話は別です」


「と、言いますと」


「変異の原因は確かに池の魚でしょう。しかし、カワウソがあの地に来たというのは偶然とは考えにくいのです……」


 アズベルトさんは難しい顔をすると、資料を広げた。


「見てください。これは別件で調べていた魔獣の発生地です」


 広げられた資料はざっくりとした大陸の地図で、そのあちこちにバツ印がつけられていた。

 カワウソがいた池は勿論のこと、近いところではラウリン西部にも印がついている。


「……これは、新種が発見された場所です……」

「新種……?他にも同様の異変があったのですか」


「はい……、今回の調査はもしかしてと言うところでは有りましたが大当たりでした。

 黙っていたのは申し訳ない、この件は防衛上非常に重要なお話で、機密事項として取り扱っています」


「俺達に話したということは、協力を求めるということですか?」

「いえ、強制はしません。しかし、ここまで重要な情報を持ってきていただいたのですから開示すべきだと判断しました。

 正直言えば、少々下心も有りますけれども……。

 さて、ここから先は協力の確約が出来なければお話することが出来ません。

 あなた方には選ぶ権利があります、いかがなさいますかな?」


 真面目な顔をしたアズベルトさんは俺達をじっと見つめている。

 ここから先は個人の依頼ではなく、ルナーサ商人連邦からの依頼、しかも機密事項が含まれる依頼だ。

 首を突っ込んでしまえば面倒なことも起こるだろう。

 

 俺一人の判断で決めて良いことではない。

 ブレイブシャインみんなの意見を聞いてから決めようじゃないか。


「防衛上って言われちゃったらさ、あたいは手伝ったほうが良いなって思うよ」

「うんうん、ルナーサに何か不味いことがおきてるんでしょう?ミシェルの国だもん、助けなきゃ」

 

「貴方達……ありがとうございます……」


「それに……、これはカイザーやウロボロス、オルトロスにとっても重要なお話だと思いますよ」

「スミレもそう思うか」


「成る程、リブッカの件は貴方方が失った武器が原因となっていた、つまりは異変があった場所に武器があるのではないか、そう言うことですね」


 頷きながらアズベルトさんは続ける。


「では、あなた方は協力者と言うことで、さらなる詳しい情報を開示します。

 この件は恐らく……帝国が絡んでいます」


 帝国?ここで帝国が出てきちゃうの?

 国を挙げて機兵マニアじゃないかって言う情報しかない帝国。

 まさか俺の武器を狙うライバルとでも言うのだろうか?



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