閑話 スミレとレニー
「そういえば……、スミレさんって声は良く聞きますが、どこに乗ってるんですか?」
『変なことを聞く小娘ですね?まだ教育が足りませんか?』
「もー、直ぐに怒るの止めて下さいよ。ほら、せっかくだからお顔を見てお話したいなって思ったんですよ。私からすれば先輩、もしくはお姉ちゃんって感じだし…」
『おね…お姉ちゃん?先輩はわからなくもないですが、なぜお姉ちゃん?』
「うーん、カイザーさんが言ってたじゃないですか。お前の家名、俺達の言葉でスミレという意味だって。私の名前にもスミレが含まれてるんですよ?なんだかお姉ちゃんだなあって思ったんですよ。それにスミレさん、頼りになるし…」
『ま、まあ?あんまりそう呼ばれるのは好ましくはありませんが?貴方がどう思うかまでは制約はしません』
「わーい、ありがとう、スミレお姉ちゃん!」
『貴方って人は…それで、私の顔を見たいと言うことですが、現状無理ですよ?』
「えっどうしてですか?お化粧してないとかそういうのなら気にしませんよ?」
『馬鹿ですね、ばっかですね!!!』
「馬鹿って言ったね!2回も言ったね!カイザーさんにすら言われたこと無いのに!」
「俺はアホとか馬鹿者とか言うからな」
『いいですか?私は戦術サポートAI、うーん、分からない?って顔してますね。そうですね、つまり実態を持たない存在なのです。カイザーさんの身体に一緒に住んでいる存在と言えば良いのでしょうか?』
「カイザーさんの身体に…一緒に……?」
『ちょ、ちょっと何顔を赤くしてるんですか?そ、そういう変な想像は!大体にして貴方も、そう!貴方だってカイザーさんの中に入ってカイザーさんを弄くり回してるんですよ?私とそう変わりませんからね?』
「わ、わああああああ……」
「おいおい……俺の中でそんな厄介な会話をするのはよせ。こっちは逃げたくても逃げられないんだからな…その辺で勘弁してくれよ……俺が一番キツいぜそのネタは……」
訓練の合間、しばしばこのようなしょうも無いやり取りが繰り広げられている。俺としては正直勘弁して欲しいのだが、前よりスミレがレニーを見る目が和らいだのは良いことだ。
スミレはAIとしては優れすぎているため、めっちゃくちゃヤキモチを焼く。作中でヒロインとしばしば喧嘩していたし、他の女性キャラとも良く問題を起こしていた。其れは大体が息抜き回、つまり殺伐とした内容の箸休め的なギャグ回だったので見ているこっちは結構楽しかったのだが、いざ自分がカイザーとなり矛先が向いてくると結構キツい。
(もしも主人公が竜也ではなくて女の子だったらスミレはどんな行動をしたのだろうか?)
そんなifストーリーを妄想したこともあるが、まさか其れが現実となるとは滅多なことは考えてはいけないな。
ちょっとずつ仲良くなって居るようだし、心配はいらないかもしれないがな。




