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第百十五話 新機能開放

 街から戻りやけにツヤツヤとした乙女軍団は、それぞれ両手に大量の荷物を提げていた。

 それは服だったり、食べ物だったりパーツだったり。

 皆思い思いに買い物を楽しんできたようだ。


「わるいオルトロス!これしまっといてくれ!」


『おっけ~なんだいこれマシュ~』

『すこし生臭いよねー』


「ああ、海産物だよ。帰り際に買ってきたからまだ新鮮なはずさ」


 マシューが買い込んだのは大量の海産物らしい。

 今日買わなくても帰る前にまた仕込みをするというのに……ん……まずい。


 サブシステム8の事すっかり忘れてたな……。


 スミレは気づいているのか、忘れているのか、いや一応確認をしておこう。


「スミレ、君も楽しんできたようだけど買い物はしなかったのかい?」

「いえ、結構買わせて頂きましたよ。私にもお小遣いをくれたじゃ無いですか」


 スミレが買う物と言えばパーツ類。

 レニーもまた、パーツを買ったのだろうが二人分にしては量が少ない。


「レニーも沢山買ったねえ。其れ全部君のかい?」

「そうですねー、でもお姉ちゃんも結構買ってましたよ……あれ?お姉ちゃんの荷物は?」


 これで確定した。

 スミレめ、さり気なく意地悪をしたようだな。


 スミレはけして性格が悪いAIでは無い。

 思いやりが有り、困っている人を見かければ助けるよう俺やパイロットにお願いする優しいAIだ。


 しかし、悪戯心が半端ない。

 

 悪戯を仕掛け、俺やパイロットが困る姿を楽しそうに眺める悪いクセがあるのだ。


「スミレの荷物は恐らく……ん、ほらあった!」


「え?なんでカイザーさんがお姉ちゃんの荷物を?」


 第9サブシステム、それはウロボロスの固有機能「広範囲レーダー」を応用し、パイロット用の各端末の有効範囲を広げる素晴らしい機能だ。


 それにより20km四方以内であれば互いに連絡を取ることが可能となり、また範囲内であればどれだけ離れていてもバックパックにアクセスすることが可能となるのだ。


「とまあ、ウロボロスのおかげで今日みたいな買い物で荷物に悩まされるような事は無くなったわけだ。

 スミレがついていったからね、その場でスミレが教えるものだと思っていたよ」


 意趣返しをくれてやる。


 どうせ「もー!カイザーさんなんで先に言わなかったんですか!」と、レニーが俺に文句を言うのを楽しみにしていたのだろう。


 だが、先読みしていればこうだ!

 全てスミレになすりつけてやればその矛先はスミレに行き、彼女の策謀は失敗に終わるというわけだ。

 あまり俺をなめない方が良いな!スミレ!


「もー、お姉ちゃんは何でそんな大事なことを教えてくれないんですか!」


「久々にプライベートな買い物をしたのでしょう?

 であれば普通の女の子らしく荷物に悩まされながら買い物をしてこそです。

 4人で休憩に寄ったカフェで『買い過ぎちゃったね』と笑い合ったのは良い思い出になりましたよ」


「そっか、そうだよね!それを考えて秘密にしてたんだ!お姉ちゃんは流石だなあ。

 それに比べてカイザーさんは……普通に忘れてたんだろうからダメですよねえ……大体普段から……」


 っく、何故だ!何故スミレは上手く切り抜けてその矛先がこちらに向かうんだ!

 見ればスミレがこちらを見てニヤリと笑っている。

 くそ!流石戦術サポートAI、この手の問題もお茶の子さいさいというわけか。


 恐ろしい機械妖精だぜ……!


  ◇◆◇


 買った物の整理が終わったようなので、お茶を飲みながら今後の相談をはじめた。

 先ずは大きな予定として、フォレム経由でトレジャーハンターギルドを目指すと言う事を話す。


 マシューは少し照れくさそうな顔をして居たが、光子フォトンライフルの調査をしたいと言うと興味深そうに了承し、


「そうさな、あれは強いが燃費が悪いんだ。移動中に代わりとなる武器を考えておいて、着いたら其れと交換に頂くというのも悪くないよな」


 と、提案してくれた。

 

 使うか使わないかは別にして、自分達の武器が戻ってくるのは嬉しい。

 それに、炉を使い捨てにするような砲台は金食い虫だろうからもう少し普通の武器に換装した方が良いだろうしね。


 では、その様に進めるかと話していると、ミシェルが手を上げ意見を述べる。


「私としてもそれには賛成ですが、その前に少し練習をしてからではいけませんか?」


 他の機兵とは少々勝手が違うウロボロス。

 例え直ぐに使い方を理解し馴染む特性がある仕様だとは言え、その機体に慣れておきたいのだという。


 俺としては道中適当に戦いながら覚えたら良いんじゃ無いかって簡単に考えていたけど、少し前のことを思い出すと反省したくなった。


 レニーの場合は森で、マシューの場合は草原でそれぞれ特訓をして漸く機体に馴染んだのだ。

 レニーに至っては森だけでは足りず、草原でマシューと共に特訓をして漸く今の状態にまでもってこれたわけだ。


 ミシェルがいくら数年間の機兵トレーニングをして居たからと言って、いきなりウロボロスで旅に出ると言うのは流石に不安なのだろう。


 だめだな、俺は。

 自分がパイロットだったらどう思うか、その考えが欠如しちゃってるよ。


「それなら丁度良い話があるよ」


 仕事に一区切りをつけ、俺達が会議をして居る格納庫にやってきたアズベルトさんが会話に混じった。


「丁度良い話ですの?それはなんですのお父様」


「これからギルドに依頼を出そうとしてたんだが、丁度良いから君達に頼みたい。

 ルナーサ西部に聳える山、グレートバンブーでの調査依頼だ」


 何処か真剣な表情だったので詳しく話を聞くことにした。

 

 いつの間にか話数表記が五話進んでいたのを修正しました。

 恐らく同時連載している別作品の話数に引っ張られたのだと思いますが、

 気づいたのが早くて良かった……。

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