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10 未来の選択
敵を撃退し、僕はただちにスレイアントを乗り捨てて川沿いの土手をひた走りに走った。
花多葉さんたちの元に戻ろうと思ったわけでは無い。むしろ、彼女たちからも離れるつもりで走り抜けた。
……最後にマカロン買って行ってあげたかったけど、仕方ない。
どこだかわからない橋の下。
人の気配。
追っ手を警戒して、僕は物陰から覗く。
銃を握りしめて。
「こんなところで、何してるのよ」
花多葉さんだった。
「帰ってこない気だった?」
彼女は言う。
「攻蟲機連第3連隊第5大隊中塚小隊所属、士昏零一。これが僕の正体だ」
花多葉さんが、一瞬ひるむ。
でも彼女は、こう続けた。
「……だから、何。あなたはBBFのメンバーよ」
「だから、」
「あなたにはもう一つ、忘れちゃいけない過去があるでしょ。……私のお腹の音を聞いたこと」
「……」
「どっちの過去から未来を作るかはあなた次第ってことよね。だからね、魅力的な方を提示してあげる」
「……なんだ?」
「わたしの彼氏になりなさい!」
……は?
眼を白黒させる僕に、彼女は、
僕が隠し持っていた彼女の写真を見せた。