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ブライト・ディステニー  作者: 沢木 たいよう
2/4

天の中心「アーク・コンチュ」にて

時は遡り一週間前。

 俺とキルソは並んで、天国の首都「アーク・コンチュ」にある、地獄と唯一の接点を持っている大使館の前に立っている。


「…」


 (すげぇでかい城門だ…)

 俺は天国の兵士をしているが、大使館の前に来るのは初めてだ。遠くからや魔道映写機の写真で見ることはあったが、改めて目の前に立つと、その凄さに圧倒される。高いだけでなく、装飾も華やかな方ではないが質素の中にも気品があるような感じとなっていた。その中に地獄に通ずる唯一の地獄の門がある。

 流石、たった一つ地獄と接点のある場所だね。


きぃ…


 そうやって城門に圧倒されていると、門が少し開いて中から門番らしき男性が出てきた。


「キルソ様とライオット様ですね。話は伺っております。どうぞ中へ」


 なんで俺が後…などと考えながら促されるがままに入り、案内された部屋の中に入るとそこには、茶髪を肩まで垂らした女性が堂々と座っていた。この世狭しと言えど、何が悲しくてこいつがぁ…


「やぁ、ライオット。久しぶりだね。元気にしてたか?君は全然昔と変わってないなぁ~え?僕も変わってないって? いやぁ~そんなに見つめられては僕も困るよ~ まぁ、元気そうで何よりだ。もう昔の仲間とはあまり会っていなくってね、君を見るとなんだか昔を思い出して懐かしいよ。まぁ、なんだ。ここに掛けるといい。いやぁ~でもでも久しぶりだね。卒業してからは手紙は出しても帰って来ないし…」


 俺たちをソファに促した後、その向かいに自分が座ってもずっとしゃべいり続けている奴に対して俺は一つしか感情を抱かなかった。(ちなみにまだ俺は何もしゃべっていない)

 うるせぇ…

 人見知りがチャームポイントの一つがキルソがビビッて俺の後ろから出てこねぇだろ…

 責任とれ。

 すると、キルソが俺に向かって小さい声で聞いてきた。


「あのおばさん誰?」


「おばさんって、言うな。あれでも訓練兵時代の同級生だ。名前はユートリス。うるさいだけが取り柄の悲しい奴だ。今は裏口入学で大使館に入って、体で上官を誘惑しまくって今の地位までのし上がった」

「ふぅん。なんか残念な人だな…」


「ああ”ん?何こそこそ人の悪口言ってんだ。金も体も使わずにちゃんと勉強して成績取って、今の地位まで上り詰めたんだよ。悪いか?」


「っ!」


 どうやら全部聞こえていたらしい。キルソどんまい。

 まぁマジで誘惑できるほどのダイナマイトボディだ…初めて見た時にはそんなにだったが、訓練兵を卒業するころには今と同じくらいの身体つきになっていた。昔に知り合っていてよかった。今初めて会ったら危なかったかもしれない…

 お金の面は実の所知らない。まぁ、裕福なことは裕福なようだ。

 別に俺にはどうでもいいが。


「そんなことは置いといて、どうして俺たちはここに呼び出されたんだ?」


 俺は無理やり話題を変えることにした。

 ユートリスは少し嫌な顔をしたがすぐに話し出してくれた。


「ふぅ、ほんとは僕もあまり乗り気ではないのだが君に依頼があるんだ。もう察してくれているとは思うが、地獄関係だ。知っているとは思うがここ最近、天国から地獄へ向かった使者が帰って来ないという事件が発生している。そこでその偵察に向かわせるのに選ばれたのが君というわけだよ!」


「そんなに「良かったねぇ~!」みたいに言われてもなぁ…一応聞いておくが、何故に俺?」


「別に君を選ぶ理由なんて一つしかないよ~当然、君のその特異体質「不死」が決め手だよ」


 酷い言い方だ。俺の取り柄が「不死」だけみたいじゃないか…


「やっぱしかぁ~でも当然、収入は他の奴と一緒だよな?」


「当たり前だ。他の奴ら一緒。あと君に隠れている、そのちっちゃい子は誰だい?隠し子?」


「ん?門番の人は知ってたぞ?」


 隠し子って…俺はまだ18だぞ。


「ん?キルソかい?でもキルソって君のその剣の銘じゃあ…」


 ユートリスは俺の背中に差している剣を見て言った。

 毎回この説明しなくちゃいけないのかぁ…いちいちめんどくせぇ


 ここで前振りを踏まえて説明をすると…

 天国では、兵士になるためにはまず訓練兵団に入団し、訓練兵になり、卒業して様々な兵団に所属される。俺は治安を守ったり防衛(地獄との拮抗を保つための戦力)の役割を担っている警衛団に所属している。ちなみにユートリスは主に事務が仕事の外交団。

 卒業される時に成績優秀者上位10名にはそれぞれ聖剣が渡される。その聖剣は渡された人によってそれぞれの剣の性質が変わる。俺は6番だった。剣術などは出来たが、筆記テストの点が最後までどうしても伸びなかった…ユートリスの野郎は癪だが4番。

 俺の聖剣の場合、なぜか剣はいつの間にか刀身が無くなり、その代わりに刀身だけを持った少女 キルソが出てきた。

 そのことをユートリスに話すと結構真剣な顔をした。


「ふぅん。まぁ聖剣には今だに謎が多いからね。私の剣は現実世界で出てこない代わりに夢の中で出てくるよ。遅刻しそうな時も起こしてくれたりする」


 おい。こっちに比べてずいぶん便利じゃねぇか。遅刻しそうなときは大体キルソが原因なぐらいだぞこっちは…そう愚痴ろうとしたのだが、俺が喋る前にユートリスは更に質問を投げかけてきた。好奇心旺盛でいいこった。


「刀身が無い剣でどうやって戦うんだい?そこそこ武勲を上げている肝心の君が実は女の子任せで武勲横取りしてましたぁ~なんて笑い事じゃすまされないぞ?いくら寛容な私でも見逃さないものくらいはあるつもりだよ?」


「…」


 俺の事を何だと思ってるんだこいつは…訓練兵時代の思い出があーだこーだ言ってたのは誰だ。あとニコニコしながら言うな。俺の不幸は密の味なんかしねぇぞ。

 まぁ、刀身の件については説明してやることにした。

 俺は無言で立ち上がって柄までの聖剣を抜き、地面と平行に持って柄に魔力を込めた。すると、鍔から透明な銀色の刀身が、すらりと現れた。


「おお~!これはすごいね。こんな聖剣初めて見たよ。美しいね。オッケーだ。ところで君はこの依頼を受けてくれるだろうか?」


「ん?どうせ俺は何したって死なねぇんだ。どんなリスクがあろうとかんけーねー。最近は暇してたし。ハイリスクハイリターンな仕事の依頼が俺のモットーだ。というわけでその依頼、承った!」


 死なねぇけど斬られると痛いことを永らく忘れていたが故の、愚かな決断だったと後々身に染みて知ることを、この時の俺はまだ知らない。


「そうだそうだ。君が掲げていた「人生の課題」って奴は結局どうなったんだい?」


 思い出したかの様にユートリスが言ってきたのは、俺が訓練兵団の時に散々言っていたもので、俺が13歳ぐらいの時に自分の「不死」について、考えていた時の副産物だ。


「ああ、『俺の生きている意味』の事だよな?」

「うんうん、それだ。当時は私も一緒に考えさせられたのもだったね。それで、見つかったのかな?その「意味」とやらは」


 急に俺の人生の一番の課題。『俺の生きている意味』は言ってみると、こうである。


俺はまだ、生きている意味を知らない。

俺は何かに食べられる訳でもなく、何か他の生物の一かけらになる事もない。

俺は死ぬ事は出来ないが、天の者が死ぬとその死体すらも時期に消え、天国や地獄を形作る一つになる。俺はすなわち、畑の肥やしになる事すら出来ない。

俺の生きている意味とは何だろう。

俺の命の意味とは何だろう。

俺はその「意味」を人生に見出す事が出来なければ、無意味な俺のままだ。

俺はその無意味に意味を見出すために努力をする。

その意味こそが、俺を示すものだと信じて。


 今から思えば少し恥ずかしいが、俺は未だにその意味を探している。


「うん。まだ全然答えは出そうにない…今度の依頼で死にかけて答えが出るといいけど…」


「別に答えなんかなくてもいいと思うけど…まぁ、君がそう言うならいいっか。まぁ、検討を祈るよ~」


「おう!」


 結局、キルソはほとんど喋らなかったな…



     ❄❄❄❄❄



「ぶはぁぁぁ~」


 話し合いが無事に終了し、元の門番に先導されながら大使館を出ると、俺は盛大にため息をついた。


「なんだ貴様。そんなにだらしないため息をついて」


「いやぁ~ユートリスと会ったのも喋ったのもかなり久しぶりだったし。あんまし、女性と接点のない俺からすると、堂々と喋るだけで結構大変なの…」


「そういうものなのかな」


「そういうもんなんですっ!あとお前も俺の陰に隠れて全然喋らなかったじゃないか」


「キルソには喋ることは無い。よって、喋らない。あと、貴様の陰にも隠れていない」


 喋らないと可愛いのになぁ~ちっこっくって。ユートリスにも可愛いって言われてたし。喋り方は男っぽいけど。


「あっそうですか。というか、今更な感じがあるけど、その「貴様」っていうのやめない?俺もお前の事ちゃんと「キルソ」って呼んでるし…」


「貴様は貴様だろ?キルソがなんと呼んでも構わんと思うが?」


「さいですか」

  

 ドヤ顔で言うな。

 何回かこの会話を繰り返してはいるのだけれど、毎度毎度の平行線である。

 ちなみに、ここ天国の時間感覚は下界の時間感覚と同じ。そんでもって、訓練兵団の卒業式は今年の3月。今は10月でキルソが出てきた(発生した?)のは5月辺り。なので、付き合いはもう5か月になる。

 5か月の付き合いでこんな風だとは…我ながら情けない。


「今からはどこに行く?」


 キルソが唐突に聞いてきた。

 

「今からは、あいつのとこへ行こうと思う」


「?。アイス?」


「違う。「あいつ」だ」

 

 可愛く首をもたげるな。可愛いだろうが。


「あいつって?」


「あいつはあいつ。ビィクトの事」


「あーあの…ひぃろりか。んじゃキルソは商店街のとこに行ってる。適当に時間潰れたら、電話で呼んで」

「ん?んん?ビィクトは全然ひょろりとしてねぇし、キルソは会った事ねぇだろ?しかも時間潰すために会いに行くわけじゃねぇよ」


「ん?んん?口が悪いな?貴様のくせに?はぁ?ビィルトだろ?し、知ってるけど?な、何?キルソが知らないとでも思ったの?」


「ビィクト、な。知ったかの言い訳長すぎんだろ」


「んー」


 しかも、お前の方が口悪いよ?可愛いからって、俺は誤魔化せねぇぞ?


「まぁ、もう行くわ。んじゃ」


「うん」


 ビィクトとはユートリスと一緒で訓練兵団の時からの中だ。ユートリスと違って、ずっと連絡を取り合ってはいたが。

 ちなみにさっきキルソが言ってた「電話」とは「魔道通電会話機」の略で、下界にある電話を機械団がマネして作ったものだ。天国では、何でもかんでも魔法で作る事が出来るのだ。(前に出てきた、魔道映写機もその一つ)

 大使館から出て、少し歩くと俺はそこに着くことができた。


 武器屋「ℬクト」


 (自分の名前を少しもじっただけの安易な名前だな)


 ここはビィクトが経営している武器屋。俺などの警衛団の他にも様々な兵団員が通っている店だ。

 中へ入ると、金髪を短く切り揃えている、がたいのいい馬鹿面の青年が、店が開いているというのにのんびりと寝ている。そう、その馬鹿面がビィクトだ。店内にはビィクト以外に誰もいないようで、肝心のビィクトはレジのところで寝ていた。

 仕方が無い。


 「許せ、ビィクト」

 

 ガツン

 剣を抜いて、その柄で思いっ切りビィクトの額を殴った。


 「ん?おお~!ライじゃんか!久しぶり!どうした?何か用かぁ!」


 うむ。相変わらずうるさい。というか、思いっきり額を殴ったはずなのに、そのダメージはいずこへ?まぁ、昔から石頭だったのは知ってたが…なんかその、傷つくな。


 「何か用かって…近いうちにアークに来るからついでに寄るって、手紙で送っただろ?」


 「知ってる知ってる。今のは言葉の綾だぜ。そんでもって、何の用だ?」


 おいおい。言ってる事が変わってねぇぞ?


 「友達なのに用がなくちゃ来ちゃいけねぇのかよ」


 「ああ?忙しいんだぜ?これでも」


 「寝てんのにか?泥棒入るぞ」


 「入ったら入ったらでどうにかするさ!はっはっは~」


 「別に威張れるようなことじゃないだろ」


 なんか、こいつと居るとそれだけでスカッとした気分になるな。


 「あーそうだそうだ。俺さ、今度地獄に行くんだぜ!」


 「むむ?急に武器屋が地獄に行くのか?どういう経緯で?」


 「ちょっと前にユートが来てな。ライも行くみたいだから一緒に行けば~ 報酬もたんまりあるよ~(裏声)って言ってきてな。久しぶりの出稼ぎだ!」


 似てねえよ。俺への呼び方で、かろうじてユートリスのまねってぐらいしか分かんねぇよ。カーイストは俺の事、カイ君って呼んでたし。今では知らんけど。

 ちなみに「ライ」とは俺の事で、昔はそれぞれライオットはライ、ユートリスはユート、ビィクトはビィー、カーイストはカイってお互い呼んでいた。卒業して仲が開いてからは俺はもう呼んでないんだけれど。こいつだけじゃないか?未だに呼んでるの。

 そんな事より…


 「おい!お前訓練兵団卒業しただけで、全然戦えなかったじゃねぇか!俺みたいにハイリスクハイリターンな仕事は、不死の能力を持った俺じゃなきゃ只々危ないだけだろうが!なんだ!?俺の肉の壁になるのか?そんくれえしか出来ねぇだろ!?」


 「おいおい…俺でも流石にそこまで言われれば、流石の俺だって傷つくぞ?しかも俺、忘れたかもしれねぇけど9番で訓練兵団卒業してんだぜ?聖剣も持ってるし、普通に戦えるぜ?もう今では剣じゃなくて、斧になってるぜ?戦斧だぜ?」

 

 「ぜ?」多いな…

 こいつは斧か。やっぱり聖剣は謎が多いのかな?俺の程、例外じゃなくても剣以外にもいろいろな種類になるんだな。

 ちなみに、キルソの事は事前に手紙で教えておいたのでビィクトは知っている。


 「そういえば、ビィクトは9番か。ふっ…」


 「笑うな。1番のカイに比べれば、あんまし差開いてないだろ?」


 「俺は6番!お前は9番。2人も間にいる」


 「ふっ。9ー6は3だぜ?そんなんでよく卒業できたな!やり直してこい!」


 俺の事をガハハと笑い飛ばすビィクト。

 やばいなこいつ。本格的にやばい。俺も筆記は悪かったけれど、こいつはもっと悪いのか…

 6番7番8番9番


 「6番と9番の間は7番と8番の2つ。差は2人でございますよ、ビィクトさん…」


 「うん?うんうん。だから2人って、言ってたじゃねぇか!ところで、話を戻すと俺も大焦熱地獄に行くんだぜ!」


 は?都合のいいように話変えてんじゃねぇよ。じゃなくって


 「大焦熱地獄!?はぁ?そんなの聞いてねぇよ。どうせ八大地獄だとは考えていたけど、よりによって大焦熱!?一番過酷な阿鼻地獄の次にきつい地獄だぞ?俺が言った事のあるのは3番目の衆合地獄までだぞ!?」


 ここで、豆知識を披露しておくと、軽い順に上げておくと八大地獄は等活地獄・黒縄地獄・衆合地獄・叫喚地獄・大叫喚地獄・焦熱地獄・大焦熱地獄・阿鼻地獄の順に並べられる。(もう1つの八寒地獄の方は割愛)


「まぁ、どうせライは死なないんだし、どこでもいいんじゃないか?俺は、兵団に所属こそしてないものの、そこそこ特訓してんだぜ?ちなみに最近は右手に戦斧、左手に大盾が俺のマイブーム」


 「知るかよ…」


 なんだかんだ言って、俺はビィクトに励まされているというか、こいつと居ると他の事がどうでもよくなってくる。そんな風だから、今でもこいつとだけは連絡を取り合っていたのかな…


 「んでんで、ライのあれはどうなった?」


 「はい?下ネタっすか?あれとは何ですか?ちゃんと固有名詞で喋って下さいね」


 「ちげーよ。ライがずっと言ってた「人生の課題」の事だよ」


 またそれか…もう、どうでもよくなってきてるんだけどな…


 「まだ答えは出てねぇよ。ってか、俺ってそんなにその話してたか?」


 「ああ、そうだなぁ。ライと言えば、セットで出てくるほど印象深いな。ちなみに俺は内容自体はあんまり覚えていないが」


 「おい」


 まぁ、別にいいけど…

 そうだ。こいつに会ったら聞きたいと思っていた事があったことを今思い出した。


 「話は変わるけど、あいつってその後どうなった?」


 俺が言う「あいつ」というのは、カーイストの事だ。

 訓練兵団を首席で卒業。その他の兵と隔絶した剣さばきにより、争い事の常に最前線で戦っているという噂の奴だ。

 俺も一度たりとも勝てた事が卒業するまで終ぞ、無かった…そんな俺らと何故か同じグループにいつもいたのがカーイスト。少し謎めいた感じの印象もあった。


 「アイス?うちにそんなもんは売ってねぇぞ?うちが武器屋だって事をもう、忘れたのかよ~」


 「おい!誤植の仕方がキルソと一緒だぞ!?何だ?俺が悪いのか?ちゃんと言ってただろ!?『あいつ』って!」


 「まぁまぁ、そんなに興奮するな…落ち着けって。ほら、今からでも『アイス』買ってきてやるからよ!」


 「アイスじゃねぇ!あいつだ!いい加減に分かれ!俺が悪い見てぇじゃなねぇかぁ!!」


 「分かってるって。俺らの間で『あいつ』と言やあ、カーイストの事しか考えれねぇしな!」


 しまった…俺とした事が…久々のやり取りで思いっ切り、突っ込んでしまった…

 キルソがやると可愛いが、ビィクトがやると挑発にしか思えねぇんだよ。


 「んでもって、そのカーイストの事だが、結局の所どうなんだ?面倒見のいいお前の事だから、少しは連絡取り合ってたと思って聞いてみたんだが?」


 「残念だがその期待には応えられそうにないな。初めの頃はほぼ毎日手紙を送っていて、一週間に一回くらいは返信がきたものだが、今は…もう…」


 本気で悔しそうに言うな。お前がストーカー行為してるみたいじゃねぇか。俺も流石に犯罪者を友に持てるような位、度量はでかくねぇよ?


 「ふぅん。まぁいいか…んじゃ、俺はもう行くわ」


 「ん?今来たばっかじゃねぇか。もっとゆっくりしてけよ」


 お前としゃべるとそれだけで疲れる。って事は言わないようにしておいた。


 「いや、もともと寄るつもり無かったし。俺の気まぐれに付き合わせられるキルソの事もあるしな」


 「ああ、そっか。今日はキルソちゃんと大使館に行ってたんだったな。んじゃ、次ぎ会う時は出撃前か…またな!」


 「またなっ」


 そういって、「ℬクト」から俺は出た。


 


 



 













 


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