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グレーワールド~僕の戦場~  作者: 皆既月食 雪男
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第二バトル

(とにかくこの作業をやってしまわないと…)

 竹箒から掃く部分をどんどん引っこ抜く。いいだけボロかったので、竹箒はどんどん、ただの竹の棒になっていく。

 カラン。留め金が落ちる。

(これは後で使えそうだ)

 新之助はリュックに金輪を突っ込む。

 棒になった竹の先端に、ナイフで切れ目を入れ、ほんの少し割る。

 割れ目にナイフの柄を差し込み、テグスをぐるぐる巻きナイフを竹の棒に固定していく。

(これでガムテがあれば、なお良いんだけどな)

 若干不安である。

 新之助は、簡易の竹やりを見てそう思った。

 だが、もし、また戦いになった場合、おそらく今度も光の玉が対戦相手の体のどこかに見えるだろう。その光の玉を突くには、絶好の武器だと新之助は考えていた。

(まてよ………ってことは、俺にも光の玉が浮んでいて、相手からは見えてるのか!?)

 体のどこの部分に見えているのかと、自分の体を見てみたが、今のところは自分の体には見当たらなかった。

(背中だったら最悪だぞ…はっ!?)

 視線を感じて顔を上げたその先には、墨人間の背の高い方と、低い方が、門柱のところで新之助を見つめていたのであった。


 第二バトルのコロシアムは、近所の公園だった。

 子供の頃から見慣れた公園に、墨人間たちがまるで、桜の季節の、花見のごとく枯れ木の下を陣取っている。

 新之助は、こんな曇りなら木の下を陣取る意味もなかろうにと思いながら、背の高いほうと低い方に両腕を取られ、連行されてきた。

 中央の芝生部分は砂と小石だらけに変わっていたが、そこにはガタイの良い墨人間に押さえつけられた、肌色をした人間がいた。ただし、こいつも、またブサイクだ。中肉中背だったが。

(この世界の肌色の人間は、皆ブサイクなのかよ…)

 特に歯並びが酷い。乱杭歯(らんぐいば)だ。小鬼のような形相で、新之助を睨みつけていた。

(また戦わされるのは、必ずだな…問題は相手の武器は何かということだ)

 新之助は墨人間にリュックを預けると、出来立ての武器を手に、ジリジリと乱杭歯の男に近づいていく。

 するとガタイの良い墨人間は、その赤い目を笑ったかのように細め、乱杭歯男から押さえつけていた手を離す。

 拘束が解けたとたん、乱杭歯男はぱっと身をひるがえし、新之助にむかって第一投を放った。

 新之助の胸部すれすれをソレがかする。

(何だ!?)

 服が少し切れていた。

(刃物系なのは間違いないけど…)

 乱杭歯男は、今武器を持っているように見えない。ただ、構えながらこちらを睨みつけているだけだ。

 じりじりと間合いを計る二人。

 墨人間からは歓声が上がっている。

 今のところ、光の玉は見えない。

(奴の背後にあるのか?)

 しかし、お互いに背中を警戒しているのか、ぐるぐると公園を回っている時間が過ぎる。

(これは消耗するな…)

 でも、それは相手も同じはずで、新之助はきっかけを待っていた。

 何分過ぎただろう。

 相手の足がもつれた。

(今だ!!)

 新之助は、簡易槍を相手の太ももを目がけて突こうとしたが、いざとなると刃物を相手に突き刺すことに躊躇してしまった。

 その躊躇は相手のチャンスになってしまい、乱杭歯男の第ニ投が放たれた。

 今度は新之助の太腿の横をかする。

「ちっ」

 やはり今度も男の武器が何のか見えない。

 自分に対して舌打ちをしながら、まだ体勢を立て直せていない乱杭歯男に、槍を回して柄の方で、地面を押さえている男の手の甲を付く。

「むぐぐっ!!」

 乱杭歯男は悲鳴も上げずに、反撃に出た。

 第三投目は、コントロールが悪く、新之助の槍にからみつく形になった。

「これは!!ヨーヨー!?」

 ただし本体に、鮫のような刃が何本もついている。

 男はヨーヨーの手元をを引っ張る。

「ふざけんなっ!!」

 槍を取られたら、武器が無くなってしまう。

 槍を引き返す新之助。

 墨人間達の歓声が大きくなる。

 ぐいぐいとヨーヨーを手繰りながら、男が近づいてくる。

 男の蹴りが、新之助の脛に入り、膝から落ちる。

「って!!っのヤロー!!」

 新之助が渾身の力を振り絞って、槍を引くと、乱杭歯男は前につんのめった。

 がつん。

 乱杭歯男が地べたに頭を打ちつけた。

 その時、光の玉が、ほわり、と乱杭歯男の右肩あたりに浮かび上がった。

「もらった!!」

 槍を構え、光の玉めがけて突き下ろす。

「…!!」

 男は結局最後まで一言も発することなく、またコトリと耳だけを残し、灰色になって、そして消えていった。

「はぁはぁ…よっしゃあ!!」

 新之助が勝利の雄叫びを上げた瞬間。


「おいっ?」

「…また、あっちに行っていた。はぁはぁ」

「はっ?もうそろそろ授業が終わる時間だけど…なに?」

「疲れた…」

 隣に腰掛けていた柳に、思わず寄りかかる新之助。

「なんだよ、気持ち悪いなぁ」

 新之助の肩を、押し返す柳。

「お前、ただ気持ち良さそうに眠っていただけだったよ。なんでそんなに疲れてんの?」

「あっちの世界に行っていたから…」

 柳は、新之助の話をどう捕らえたらいいのか、判断に迷っているようだった。

 ただの夢だろ?と言っても良かったのだが、新之助の、寝起きすぐに見せた鬼気迫る表情に、興味を覚えていたのだった。

「あのさ、今日これからどうするの?早退するの?」

「いや、はぁはぁ。はぁぁぁ。学校にいる。家に帰るとまた寝そうだから…」

「ならば、と。放課後時間あるか?」

 うなずく新之助。

「じゃあ放課後に、話を良く聞かせてくれ。それでいいか?」

 何度もうなずく新之助。誰かに今自分に起こっていることを聞いて欲しかった。

「じゃ、放課後な」

「…うん」

 こうして二人は教室に戻っていった。

読んで下さいまして誠にありがとうございます。今週は金曜日まで

毎日15時に投稿したいと思っています。

続きに興味を持っていただいた皆様には、ぜひご覧になっていただけ

ましたらと思います。ではまた。

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