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死
窓の外では煙が空へ登っている。汽車は隣の国へいくものだ。異世界にもこの様な技術があったことに驚きだ。
「スルメ、これ」
姉は、雪が降りつつある空をみてこちらに毛布を渡してきた。
「ありがと」
汽車には人が窮屈なほどつまっている。贅沢を言うつもりはないので、もうねる積もりだ。月はもうおちていく。
小声で姉におやすみなさいといい、ぼくは寝た。
頭に鈍い痛みが走った。目が白黒する。
「やっと起きたか、クソガキ」
視界に入った光景に、心臓が跳ねた。
「!!!」
騎士の甲冑に身を包んだゲス中年が、いやらしい笑いを浮かべる。
姉の頭がつぶれている。血はぼくの服についていた。
「気になるか?! ア?」
宝剣はあった、・・・おまえもこうしてやるとか、ゲスは言いながらその手に大きなじゅんはくのハンマーを握った。
ああ、ここってまだ汽車の中なんだな。そう思った。
スルメの頭は吹っ飛んだ。