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途方に暮れて
暗い夜の草原を、ぼくは必死に歩き続けた。さっきの奴らの仲間がまだいたのだろうか、遠くから火の光と声が多数聞こえてくる。
「[隠蔽]」
下位吸収魔法 遮断類 隠蔽を唱える。光に照らされず、この闇に紛れられるはずだ。背中では姉が眠っている。
この10mの大剣は、どうやらベルトに変形できるようだ。ただ、ものすごい重みは変形しても変わらない。母の最期に残った形見の一つだ。遺言結晶は粉砕してしまっている。涙をこらえつつ、目の前に広がった森へ飛び込む。
ぎぎギ ズ図
訳のわからない音が、時折聞こえる。木の葉に覆われた地面も、星さえ見えない木々の数も、とても不気味だ。
ぼくは腰から宝剣を抜き放ち、少しずつ進んでいった。




