急な冒険
「逃げて!」
外からは隠蔽魔法でもかかっていたのか、中には信じられない光景が広がっていた。
囂々と渦巻く炎の中、耐魔装備の甲冑を着たものたちが母を囲んでいる。母は魔法で応戦しているものの、満身創痍だ。
ふっと手の中に冒険道具一式が現れた。重みによろける。母が目配せする。
「宝剣は私が持っている!」
村を離れ、野外までかけてきた。
無力だった。ぼくたちは泣いた。
からん
しばらくたって、冒険用具のなかから何かが転がりでてきた。
「遺言結晶・・・」
姉がぼそりとつぶやく。オレンジ色のクリスタルだ。きゅうにそれは光り出し、母の声が聞こえてきた。
「この話をあなたたちが聞いているころ、私は死んでいるでしょう。
あなたたちは王族です。
スルメ ショリン・ソウェイル・メルス
ステル ステイル・イングス・メルス
どうか、王の証、その宝剣をお守りしてください。
現国王は正式な王ではありません。あやつが王になれば、平和は守られず、この国を別の国へ売ってしまいます。
ザザザーー
jskw
」
魔害音波。結晶が正常に働かないのは近くに耐魔装備がある証拠。そうきづいたときは遅かった。