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ep-001

体が重い、ただ動くことすら気だるい、世界は暗いし、粘り気のある水に包まれている。

外に出たい

それが今思う気持ちだ

もしかしたら世界が暗いのは俺の目がないからか、もしかしたら眼をつぶっているからかもしれない。

体が重いと言うが、そもそも体などないのかもしれない。

動くことが気だるいのは、体が存在していないことを否定しているだけかもしれない。

もしかしたら、粘り気のある水に包まれていることはなく。



ただ魂が孤立しているだけかもしれないのだから。









あきらめるのか?


なにをだよ、そもそももういいんだよ


出たくないのかい?


出たいに決まってる、でもここが『出る』とか『入る』とかの概念があるところなのかも知らないんだ


世界をみたくないのかい?


みれるかどうかもわからない、体の感覚はないが水に包まれていることはわかる。


解き放たれたくないのかい?


そもそも体が重いのは気のせいかもしれないのだ。


会いたくないのかい?












静寂。









会いたいに決まってんだろ、そんなこと




微笑む雰囲気



ならば力を貸そう


力?


君がこの空間から解き放たれ、それなりの生存ができる、そんな加護のようなものだ


でたら、どうなる、そもそも出たら何があるんだ




子供の、いたずらが成功したときのような雰囲気だ。



やっぱりでたいんだね、やはり欲望には忠実にあるほうが人らしい



苦笑


まったくしてやられたよ、どんな世界でもいい、滅びた世界だっていい、ただ生存したい。




それが、俺の思いだ




わかったよ、君をある世界に産み落とす、生きていくために必要なものは加えておくよ








静寂する。




なんで俺にこんなことを?





どうでもいいことさ、では




使命感を覚え、ある方向へと頭から出て行く。




グッドラック(幸運を)




そして、世界を見た、まるでこの世界の様子はわからなかったが、生れ落ちたことに感動し、俺は泣き叫んだ、そのとき俺は確かに思った


hello world


俺が俺たるあのセカイで初めて父さんに教えてもらった物だ


ゆえに俺は俺である、絶対に忘れないのだから、そう心に決めながら、俺はただ泣き叫んだ。








俺がこの世界に生まれてから3年、この世界で歩き始めた俺はあるものを見つけた。


簡単だ、この世界は科学技術などない、科学ではなく化学に近いものもあるが・・・あまり進んでいるともいえない

ではなぜか?比較的簡単な理由である、それはこの世界に『魔法』があること、故に科学技術は進まず、『魔法』の技術が発達したわけである。


どうでもいいことかもしれないが、何も知らないよりかは大発見である、しかし、もしこの世界が平等でないのなら、まあ勿論世界全てが平等ではないが、すべてのことは上限がある、そして差も当然ある、まさかすべての人間が平等に魔法を使う能力を持っているわけではないだろう。



「でもいちばんおどろいたことってのは・・・」


呂律が回らない言葉を喋ってからのため息、まるで定められたパターンのようだ。


俺が貴族の息子ってことだよなぁ・・・


「しかも・・・公爵家って、運が悪いとしか言いようがないな」


俺は口論が得意だし戦闘狂だが、ネチネチとした嫌がらせが来るであろう公爵とかいやなんだけどなぁ、そもそもなんで公爵?イギリスにきたきはないんですが、あ、魔法じゃなくて魔術ですか、明らかに英語じゃなかったんですけどどういうことで?

まあ、べつにどうでもいいことさ。


「この」世界での俺の名前はレイカ・リ・シュルナウドらしい

シュルナウドというのが苗字に値し、レイカが名前、リというのは向こうの世界でのTheにあたいするのだとと推測する。


と言うわけで俺の三年間、動けずあまり嬉しくもないことをされた、オモイダシテハイナイ、オモイダシテハイケナイ。


この『世界』は5つの国と小国家があり、それぞれが経済、及び武力で争っているらしい。


まずは富と光の国、シルヴェス なんかカミサマの加護を受けたとかほざいてるビール腹のおっさん共が権力つかいまくってるらしいね、くだらない。

次は略奪と漆黒の国、アルダス 略奪とか漆黒とか言いながらかなり規律には厳しいらしい、唯一犯罪で許しているのは生きるための略奪らしい、ただ人身売買は絶対に許さないらしいね。

何でこの国に詳しいかと言うと俺がこの国の公爵家の出身だからね、本読んでたらいやみたいに書かれてるね、まあかまわんがね。

次は生命と調和の国 シャヘント 世界樹(ユグドラシル)と呼ばれる木もあるらしい、なんか絵に描いたようなファンタジー世界だなと心が呟く

この三つ以外の情報はなかった、まだ知識が足りない、本が足りない

タリナイタリナイタリナイタリナイタリナイタリナイタリナイタリナイタリナイ。

まだ何も判らない、それこそ赤子と同じだ、魔法だって使ってないんだ、すくなくともしらなくちゃいけない。

早く、ハヤクハヤクハヤクハヤクハヤク、もっと早く

この世界を知らなきゃいけない、いるかもしれない人のところへ行くために、不確定要素を作らないために知らなければならないのだ


ガチャ、とすぐ近くの扉が開く音、この部屋は父の書斎だ、おそらく仕事をしに父が来たのだろう。


「なんだ・・・またお前か、早く出て行け」


あまり好きではないが、少なくとも養ってもらっている身だ、いうことはそれなりに聞いてやろう


「わかったよ、オトウサン?精々がんばってほしいなぁ」


己の頬を吊り上げながら皮肉気に嗤う、自分でも悪い性格だと思うが、やめられないものだ


もう一度ガチャ、と言う音が響く、開くのではなくしまる音で、後ろから何か聞こえたが、俺にはワカラナイ、解ることはそれは言葉であっただけだ。





自分の部屋に行き、何もない部屋で虚空を見上げる、おいてあるのはそれなりのベッドだけ


「この世界も、くだらない」


この世界に求めたものはないのかもしれない、だが世界の隅から隅まで見つめなければわからないのだ


「死ぬまで生きないといけないのだ、己の求めるもののために」


神よ、そこにいるなら一人で嗤っていろ、精々俺が死ぬまでに一度くらいは驚かせてやるさ、貴様の顔が苦痛に歪むのを見てみたいところでもあるがな。


唐突にあることを思い出し、俺は座っていたベッドから飛び降りた。


このまま考えることを放棄したいと思いながら俺は部屋の前を警備していた兵士にあるところまでついてきてもらった。











石が並んでいる、形が違うものもあるが大体は同じである、俺はある石の前に立った。


「あの、なぜ、墓場に?」


俺が今いるのは墓場だ、もちろん知らない人の墓場ではない。


「母さんの墓です、もう会えませんからね、もう三歳です、産んで下さった母に報告したかったのですよ」


母さんは今まで精神の発達が異常だった俺に唯一優しくしてくれた人物だ、雇っている兵士にすら気味悪がられた俺を優しく相手してくれたのだ。


「そうですか・・・なぜ、本日に?」


わざわざ煩い兵士だな、雇われの身で聞く必要があるのか?

そんな思考が一瞬生まれたが、教えても悪いわけではないのだ、別に兵士はなんとも思わない、何も感じない、雇われの身なのだから金と一緒にどうでもいいことくらいやってもいいだろう。


「…母の命日ですから、母さんは誕生日に死んだんですよ」


おそらくは父のせいだ、殺すなら俺を殺せばいいのに、あいつは母を殺した


「…申し訳ありません、話しづらいことを聞いてしまいましたね」


なぜ謝るのかが理解できない、なぜ聞きづらいのか理解できない、貴様からしたらどうでもいいことだろう。


「構いませんよ、いまはもう存在しない人のことです、割り切っています」


本当にそう思って俺は言った、だけどなぜか胸がいたかった、なぜか頬に水が伝っていた。


兵士は困った顔をしながら呟いた


「ならばなぜ、貴方はそんな寂しそうな顔をしているのです」


判りきったような顔をされたのが嫌だった、だけどなぜか俺の中の感情が爆発して、俺は泣き叫んでいた


















「落ち着きましたか?」


ある程度たってから、落ち着いたが自分の行動に赤面し、今度は大人気なさで泣きそうになったことは言わないでおこう。


「ありがとうございました、すいません、大人気なく」


俺がそういうと兵士は苦笑しながら


「そちらのほうが年相応ですよ」

と言った、その声には気持ち悪いと思うような感情はなく、まるでいたずら好きな子供に向けるような、穏やかな言葉だった


「もう暗いです、早く帰りましょう」


はい、そう言おうとした瞬間だった、兵士がいきなり倒れ、そのすぐ後ろには巨大な鳥が宙を浮いていた。


ドウスレバイイ?俺はどうすればいいんだ?


兵士を捨てて逃げればいいのか?ない力で戦うべきか?それともこの飢えた鳥に己の身を受け渡せばいいのか?


おあいにく俺は聖人君子ではない、だから己を受け渡す案は却下


兵士を捨てる?あの人は母さんの次に俺をわかってくれた人だ、捨てたくない


でも戦うなんて無理だ、俺は力を持っていない


よくある物語みたいに力が使えるようになるわけがない


ガチャ、と金属の音、気がつくと兵士がそこに立っていた


「まさか墓場に飛竜がいるとは、恐ろしいですね」


頭から血を流した兵士が言った


今始めて知った、この兵士は黒髪だ、俺と同じ髪だったのだ


「逃げてください、増援がくれば倒せます、私一人では難しいでしょう」


そんな客観的に言うのか?死ぬかもしれないんだぞ、増援が来ても死んでいて飛竜は過ぎ去っているかもしれない。


そんなことばっかり考えて俺は思った、ああ、結局俺はこいつに死んでほしくないのだと、わかってくれた人を失いたくないだけなのだと。


「いやです、あなたも一緒に」


そういったときだった、不覚を取った兵士が一気に横に吹き飛び、墓石に突っ込む


沈黙が流れた、兵士は動かない、死んだ


もう判ってもらえない、嫌だ


イヤダ

イヤダイヤダ

イヤダイヤダイヤダ

イヤダイヤダイヤダイヤダ

イヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダ


「う、ぁ」

情けない言葉が漏れる、そんなことはどうでもよかった


殺す


「う、ぁ、ぅ」



「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
















それから後のことは覚えていない、気がつけば俺はひざ立ちで、あの兵士の剣を持って、ただひとつわかったのは


俺が血まみれだったことだけだ



俺を探しに走ってきた兵士が血まみれの俺を見つけ、俺が殺した飛竜と、墓石にもたれかかって死んでいる兵士の遺体を発見し、多くの兵士が来てやがて連れて行かれたのはもう月が落ちるようなころだった



「なぜ殺した」






父親が聞いてくる、子供に兵士を殺せると思っているのか?


「殺したのは僕じゃない、飛竜です」


「ならばなぜ貴様は生きている、貴様が竜を殺した、そしてあの兵士も殺した!そうではないのか!」


くだらない


「なぜ兵士を殺す必要性があったんです?」


「ぐ、よく回る口だ、道楽のためではないのか!」


「くだらない」


唐突に呟いた、俺の心は冷え切っていた


「自分の子供の心境もわからない出来損ないが、もし僕が本当に道楽のために殺したのならば、そのまま他の人も殺したはずですよ」


死ねよ、自分のために妻を殺したクソ野郎。


「貴様!」


クソ親父が俺の頬を殴ろうと手を上げる


しかし俺の顔を見て、振り下ろそうともしない


「はやくなぐれよ、それで気が済むならな」


目の前の()はその上げた手を下ろし、立てかけてあった剣を鞘に入れ、俺に投げ捨てた


「…いいんですか?」


苦い顔をしながら男は言った


「貴様を信じてみるとしよう、明日から剣の訓練だ、精々泣かぬようにな」




俺は無言で立ち、そのまま部屋を出た










「結局、俺の心は死んだまま、か

背中に背負う(大罪)はとても重く、地面につきそうなほどに大きかった


思い込みすぎですよ、大丈夫です、あなたなら


どこかから声が聞こえた、おどろいたがそのまま自分の部屋へと歩いていった





また同じだ、それなりのベッド、何もない部屋


「意味、あるのかなぁ」


それはこの世界で生きる意味ということでもある、そして俺が剣を覚える必要だ


ありますよ、きっと


また、同じ声だ、あの兵士の声と似ている


「幻聴か、どれだけ深く思っているんだろうな」


幻聴とは失礼ですね、私です、私、あなたと墓についていったアシュフォード・ガフです」


聞こえるはずがない言葉が聞こえる、そのとき背中の剣が揺れた。


突然剣を引き抜きたくなる衝動を受けた


ジャキ、と言う鈍い音を鳴り響かせながら剣を抜いた、するとどういうことだろう、あの鈍く輝いていた剣は黒光りする漆黒の剣へと変わっていた。


「魔剣?」


どうやらそういう類のようですね


「ならば、本当にあの兵士?」


そうです、私こそがアシュフォードです


「でも、なんで」


本当にそう思った、父親の書斎でまだ読んでないホンの中にある情報か?わからない


すると剣がしゃべるように頭の中にしゃべりかけてきた、本当に摩訶不思議な出来事である


『ある現象で、精霊との親和性が高いと起こる現象なのですが、己が使い込んだ武器に精神が宿るということがあります、なんとも可笑しな事ですが、武器も強化されるらしく、奇跡の剣とも呼ばれております』


珍しいこともあるんだな、どう見ても量産品の剣だったんだが。


『あれはとてもめずらしいダマスカス鋼の剣です、親戚の知り合いにドワーフがいるので作ってもらったのですよ、在庫もあった用ですしね』


…よく判らんがとりあえず剣に魂が乗り移ったと言うことだけはわかった


『ではこれから宜しくお願いしますね』


はいはい、よろしく








まったく、面妖な・・・


ちなみに今日食べたご飯はおいしかったです






そして、5年がたった。

はえーよ飛ばすなバカ、と思っているだろう、が特に変わったことはなかった、魔法はまだ教わってないし、剣術なんて親父のうそだったし、あると言えば父親と別居したこと。

そのためなぜか知らんが一応親戚ってことで王宮につれてかれました、まる

アシュフォードはなんか剣以外の形にもなりたいらしい、それでいいのか奇跡の象徴

まあダマスカス鋼はたぶん剣より刀のがいいよね、また今度改造してもらおう


扉の開く音だ、たぶん食事だろう、俺はあまりコミュニケーションが得意じゃないんだがな・・・

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