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6. 結婚式

 

「マリウス様は何でもお見通しだと思っていましたが…… 私の気持ちは全く理解していなかったのですね。

 気づいていて、知らないフリをしているのかとずっと思っていました。


 ……私は出会った時から、マリウス様に恋をしていたのですわ。

 日々大人の魅力を備えていくマリウス様に、私の恋心は膨らむ一方でしてよ。

 マリウス様の婚約者として相応しくありたくて努力しましたの。

 マリウス様に認められくて一流の影になれるよう努力しましたの。

 ずっとずっと大好きなのですわ。

 他の方との婚約なんて考えられません。

 マリウス様が他の方と婚約するのもとってもイヤです。苦しいです。このまま、マリウス様の婚約者でいたいです。

 マリウス様の妻になれるなら、どんな苦労も乗り越えることが出来ます。影としての鍛錬も今の役目も、マリウス様のお役に立っていると思うと全く苦労ではありません!私にはそれをこなせる能力がありますわっ!

 こんな令嬢は他にいないと思います!

 私以外にマリウス様に相応しい婚約者はきっといませんわっ!

 なので、婚約解消はいたしません!」

 エリシアが泣きながら笑って宣言する。


 マリウスがエリシアを抱きしめた。

「エリシアの気持ちに気づかなくてごめん。もっと早く俺の気持ちを伝えるべきだったな。

 愛してる、エリシア。

 俺の妻になってくれ」

「もちろんですわ!

 今までもこれからも愛し続けますわ。

 私の愛をしっかりと受け止めてくださいねっ!」

 抱きしめられながら、顔を上げてマリウスをみた。

 お互い満面の笑顔で笑い合った。



「ここが執務室だった事を忘れてたよ。殿下達が帰ってくるな。残念だが、また改めて抱きしめさせてくれ。卒業したら、俺達の結婚式の準備も始めよう。忙しくなるな」

 抱きしめる腕を解いてマリウスが言う。

「はい。二人きりの時はいつでも抱きしめてくださいね。マリウス様とお式が出来るなんてっ!夢のようです!嬉しいです!」

 笑ってエリシアの頭をポンポンし、マリウスは立ち上がる。

「殿下の執務室なのに、ノックさせる訳には行かないから」

 と、侍女が閉めていったドアを全開にした。



 和やかにお茶を飲みつつ結婚式の時期について話していると、

「どうやら問題は解決したようだな」

「誤解が解けたようですね。

 エリシア様、見た事がないお顔をしていましてよ」

 と笑いながら二人が執務室に入ってきた。


「はい…… 本当にご心配をおかけし、申し訳ございません。モニカ様のおかげで気持ちをお伝えする事が出来ました」

 と恥ずかしさで顔を赤らめながら、エリシアが頭を下げる。


「殿下のアドバイスのおかげで、エリシアと気持ちを通わせる事が出来ました。もっと早く伝えるべきでしたが、愚かな選択をせずにすみました。

 ありがとうございます」

 とマリウスも二人に頭を下げた。


「二人のすれ違いには全くもって驚いたが、うまくいって良かったよ。結婚式は私達の前に行うのか?」

「はい。招待客はさほど多くありませんので、準備はスムーズに進むかと。

 エリシアが卒業して半年後に行おうと思います」

「楽しみね!エリシア様!

 私の侍女をしながらの準備だと大変だと思うけれど、専属侍女は引き受けてくれるのでしょう?」

「はい、もちろんです!マリウス様と婚姻後もずっとお側でお仕えさせていただく予定です。

 乳母にもなりますね!」

「エリシア…… それはちょっと気が早いぞ……」

 とマリウスが赤くなって呟く。

「ははっ、マリウス!僕も頑張るからお前も頑張れ」

 とクリフがマリウスの肩に手を置いた。



 その後、エリシアとモニカは無事卒業を迎え……


「エリシア、おめでとう。とっても綺麗よ。

 幸せになってね」

「マリウス、エリシア。おめでとう。

 心から祝福するよ」

「お忙しいお二方に参列していただけて、大変恐縮ですが嬉しいです。ありがとうございます」

「今日はありがとうございます。この日を迎える事が出来たのもお二人のおかげです」

 控室に挨拶に来てくれたクリフとモニカに、二人は揃って笑顔で感謝を告げた。

 控室を出た来賓の二人は、ワーグナー家の庭に設置された人前式の席へと向かった。



 控室の開け放った窓から殺気を感じたマリウスとエリシアは目配せをする。

 マリウスは素早くポケットから暗器を取り出してエリシアに渡しながら、エリシアを侍女から見えないようエリシアの前に立った。

 その瞬間、エリシアは窓から殺気の先へ向けて素早く暗器を放った。

 二人は何事もなかったように、微笑んで手に持つブーケについて話し始める。



 庭にいる影達は、自分達の晴れの日であるにも関わらず影として動く二人に、やや呆れつつもその実力に感服し、二人に早く追いつこうと決意を新たにするのだった。




お読みいただきありがとうございます!


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何卒よろしくお願いいたします!(*´ω`*)

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