ユメ
「父さん! どこだよ!?」
カナタは部屋を駆け回りながら叫んだ。目の前に父親がいると思っていた。父親が、ただ部屋の隅に座っているだけだと思っていた。あの日のように、優しい顔で笑ってくれるはずだと思っていた。
でも、誰もいない。
「父さん…返事してくれよ!」
部屋の中には、ただ自分の声が響くばかりだった。何度も名前を呼び続ける。すぐそこにいるはずなのに、何も答えてはくれない。
「父さん、何でいないんだよ…」
手が震えて、頭が痛い。カナタはその場にひざまずき、頭を抱え込んだ。どうして、こんなことに…?
「父さん! 俺だよ! 俺!」
無駄だとは分かっていても、呼ばずにはいられなかった。目を閉じれば、父親の温かい声が聞こえるような気がして、でも目を開ければ、そこにはただの空白が広がっているだけだった。
「こんな、こんなはずじゃなかったのに!」
あの日、父親が言っていた言葉を思い出す。まだ笑顔で言っていた言葉を。
「お前は一人でも生きていける。俺がいなくても、お前なら絶対に大丈夫だ。」
あんなにも確信に満ちて、そう言った父親が、どうしていなくなったんだろう。どうして、こんなにも、空っぽな世界になったんだろう。
「父さん、俺は…俺は、ちゃんとできるよ! なんで、どこにもいないんだよ!」
カナタはもう一度叫んだ。その叫びが何度も、何度も反響して、彼の中で絶望的に広がっていった。あの日の父親の言葉が、まるで嘘のように感じた。
「何もできないじゃないか…俺は、何も…」
そうだ。父親がいなくなって、やっと分かった。自分には、何もできない。あの日まで、何とかやっていけると思っていた。父親がいなくても大丈夫だと思っていた。
でも、今はわかる。自分には何もない。ただ、無力な自分が、ただの空虚な存在に過ぎないということ。
「父さん…どうして、どうして俺を残していったんだよ…」
カナタは力なく呟いた。涙も出ない。ただ、心がひたすら冷たくて、どんどんとその深みに沈んでいくような感覚だけが広がった。
「俺、どうすればいいんだよ…」
声は小さく、途切れがちだった。誰もいない。何もない。この世界に、一人取り残されたような気分だった。
「俺は…」
ふと、カナタは言葉を切った。心の中で、何かが変わった気がした。今まで抱いていた夢みたいなものが、どんどんと崩れていく感覚があった。
「俺は、どうしたらいいんだ?」
この問いが、カナタの心の中で渦巻く。だけど、もう答えはない。父親がいなくなった瞬間、その答えは永遠に消えてしまった。
えーっと、たまきたまおです!はじめましてー!!
まだ決定してないですが、アニメ化が楽しみです!!
これからよろしくお願いします!