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真面目な話をするときには正座で

「こんなところまで来るなんてまさか……」

 ホゾマの姿を見たユウが冷や汗をたらし、唾を飲み込む。

(およ、なにやら後ろ向きな想像が働いていますかね?)

 ルティシアの言葉を聞いたロックが意地の悪い笑みを浮かべながらユウに目線を送る。

「そりゃまあ、自分がぶん殴っちゃった国の重鎮が、直々に自分のいるところ……しかも、こんな地下牢に足を運んでるんだもんなあ?」

「うっ……」

 その言葉を聞いたユウの脳裏に処刑告知を告げられる自分やらなにやら、不吉な妄想が次々とユウの脳裏に湧いて駆け巡る。自身の想像に苛まれたユウは頭を抱える。そんなユウを他所に、ホゾマがロックの元に歩み寄ってくる。変な唸り声をあげながら頭を抱えるユウを一瞥した後、あらためてホゾマの方に目線を向けたロックは問いを投げかける。

「で?なんでお前がわざわざこんな薄暗ーい牢獄に何しに?」

 挑発めいた響きを含むロックの物言いにホゾマはため息を漏らす。

「彼が牢に入ったのを見てこれ幸いと話をしに行こうとする兄さんの気配を探知したから様子を見に来たんだよ。そしたら何やら大事なことを話そうとしているみたいだったもんでね」

 そんなホゾマの回答にロックは肩を竦める。

「俺は捕まったこいつを煽り散らかすために来ただけだが?」

「あ゛ぁ゛ぁ゛ん!?」

 その発言を聞いたユウが吼え、血走った目線をロックに送る。

(ユウさん、ステイステイ)

 そんなユウをルティシアが宥める。しかし、それでも頭の血が抜けないのか、鉄格子を掴みながらユウは犬のように唸る。

(いまのユウであればその気になればこれくらいの鉄格子はすぐに破壊が出来るのだがな)

(その一線は超えない当たり、ブチ切れながらも変に冷静ですよね)

「……」

 エクスとルティシアがそんなやり取りをしている一方で、ホゾマがじっとユウを見る。それからおもむろに口を開く。

「……彼は普通の人間ではないでしょ?特殊な何かの気配を纏っているようだし……。それに常人離れした身体能力も持っている。そんな人物をわざわざこの国に連れてきた上、密談しやすい状態になったらそそくさと足を運んでいる。それでそんなしょうもないことだけして終わり……なんてこともないんでしょ?」

「!」

 予想外のホゾマの言葉にユウ達は驚く。

(あら……ロックさんほど明瞭ではないとは言え、私達の存在も感知していましたか)

 ホゾマの回答にユウやルティシアも驚く。

(伊達にロックの弟ではないということか)

 一方でロックの方は鼻を鳴らす。

「なんだ。思ったよりは出来るようになってるし、頭もそれなりに回るんだな。真っ当で面白みのない回答返しやがって」

「今明らかに面白みとか要らない、まともな回答するべき場面だったよね!?」

 ホゾマの言葉にユウは首を上下に振り、一方でロックはわざとらしく目線を背ける。

「無視すんな!人の話を聞けーっ!」

 ホゾマはそう叫ぶと、ロックの両肩を掴み方を揺する。

「あー、うるせーうるせー」

 ロックが面倒くさそうに小指で耳をほじる。それを見たユウは肩を落としてため息を漏らす。

「……で、全裸。結局お前の用事は何なんだよ?」

「ああ。今後の活動についてちょっとな」

 ユウの質問を聞いたロックが、いつになく真剣な面持ちで振り返る。

「……!?」

 その急な雰囲気の変化に、ユウは一瞬たじろぎつつも問い返す。

「……今後の活動?」

「ああ」

「まず前提として……今日の戦いで世界各地を騒がせているという得体の知れない化け物がこの森にも紛れ込んでいるということが分かった」

 二人の会話を聞いていたホゾマが呟く。

「昼間、クルース達が報告してきた件か……。何やら突如現れた謎の巨人が撃退をしたという……」

 それを聞いたロックは頷く。一方ユウは、ホゾマ達から目線を逸らしながらわざとらしく声を張り上げる。

「イヤービックリシタナー!アノキョジンナニモノダロナー!カッコヨカッタナー!」

 あまりもの下手くそな芝居にルティシアはおろか、ロックやエクスまで呆気に取られる。

(相変わらずごまかすのヘッタクソですね……)

(破壊的だな)

(だまらっしゃい!)

 二人ののリアクションにユウはブチ切れる。その様子を見たロックは小さくため息を漏らしてから続ける。

「ああ。世界各地で魔物が狂暴化しているという話はあったが、その原因は寄生生物のようなものらしい」

「寄生生物?」

「これまでの目撃情報では、どうやらドラゴンやアンデッド等の魔物に寄生し、寄生対象の戦闘能力と狂暴性を向上させていた」

「……続けて」

 ホゾマに促され、ロックは言葉を続ける。

「だが、昼間に見た狂暴化し、暴走していたのは精霊だ。魔物じゃなくてな」

 ロックの言葉にホゾマは目を見開く。

「……!?一般的な魔物のみならず精霊も……!つまり相手は実体がない存在にも寄生できるということ!?」

「ああ、厄介なことにな」

 そう言ってロックは肩を竦める。

「だが、どうやら寄生も完璧じゃないらしい。ドラゴンやアンデッドに寄生した過去の個体と比べると、どうも戦闘能力が低いようでな。巨人は今回出てきた化け物については過去に出てきた狂暴化した魔物に比べたら容易に倒していたよ」

「でも、それで終わりというわけではない……ということだね?」

 ホゾマは真剣な面持ちでロックに尋ねる。それを受けてロックは頷く。

「そういうことだ。ここからが本題だ」

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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