品位を守りながらインターネットミームなんて使えるわけないだろ
シルフィード・ドゥーマが巨大な竜巻を巻き起こし、エクスブレイザーに向けて放つ。
(だったら!)
「ああ!」
それを見たユウが吼え、アネッサが応じる。直後、エクスブレイザーは二本の剣を腰のホルスターに納めると、ローラーによる高速機動からの大跳躍で竜巻を一気に乗り越える。そんなエクスブレイザーに向かってシルフィード・ドゥーマが風の刃を放つ。
『エクスブレイザー・フリーランサー!』
――直後、エクストラスターのけたたましいガイド音声と共に空中でエクスブレイザーの身体がまばゆく輝く。そして、エクスブレイザーとヴァルクスが空中で分離する。
(よいしょお!)
エクスブレイザーは両足でヴァルクスを押し出して、風の刃の軌道から逸らす。さらに自身もその反動で跳躍し、風の刃をかわす。
(いけぇ!)
「食らえっ!」
直後、エクスブレイザーはブレイズショットを、そしてヴァルクスはエネルギー砲を発射する。二体が放った攻撃はシルフィード・ドゥーマに直撃する。そして、シルフィード・ドゥーマが悲鳴をあげ、その体の一部が吹き飛ぶ。
(おおっ!本当に効いてる!)
ダメージが通るのを見て、ユウは思わず歓声を上げる。
(ああ。これなら押し切れる。このまま一気に行こう)
(了解です!)
エクスも同意し、ユウにさらなる攻撃を促す。それに応じてエクスブレイザーの右腕のエネルギー発振器官が輝きだす。
(攻略法さえ割れてしまえばこっちのもんです!おいやっちまおうぜ!やっちゃいますか!?やっちゃいましょうよ!そのための右手)
そんな流れに乗って、ルティシアがどこかのネットミームをそのまんま持ってきたような発言をする。それを聞いてしまったユウは力が抜け、それに呼応するようにエクスブレイザーがずっこける。
(おおう、ユウさん!?)
(その手のネタはマジで……マ・ジ・でやめましょう!女神の品格損なうとかそういうレベルじゃないんで!)
(あらー……ユウさんがツッコミ通り越してマジで焦っている……。わかりました。わかりましたよう……)
いつもにまして真剣なユウの諫言にルティシアはおとなしく従う。
そんなユウ達を他所に、一度着地したヴァルクスが立て続けにシルフィード・ドゥーマ攻撃を加える。さらに、主砲のほかに取り付けられたエネルギー機銃を立て続けに撃ちこむ。それらを食らったシルフィード・ドゥーマが身もだえをし、悲鳴のような鳴き声を上げる。
「いっけえ!」
時折、シルフィード・ドゥーマも竜巻を巻き起こしたり、風の刃で反撃を試みる。
「甘いっ!」
しかし、アネッサは巧みにヴァルクスを操り、それらの攻撃を全てかわしながら反撃をしていく。そんな攻防の合間、アネッサはふとエクスブレイザーの方に目線を向ける。エクスブレイザーは一度ズッコケたかと思ったが、よろよろと立ち上がっている。
「……何をやっているんだ、ユウは……」
彼女は一度ため息を漏らすと、再びヴァルクスを走らせる。そんな様子を見ていたユウは軽く咳払いをする。
(それじゃあ、改めまして……)
そして、エクスブレイザーの右腕のエネルギー発振器官が再び光を放つ。それと同時、エクスブレイザーは駆けだす。
(このぉ!)
ヴァルクスとの攻防でダメージを受け、よろめいたところに追い打ちをかけるようにエクスブレイザーは光り輝く手刀をシルフィード・ドゥーマに叩き込む。その一撃を受けた相手はすさまじい鳴き声をあげながら勢いよく吹き飛ぶ。
(これで終わりだっ!)
ユウが叫ぶと同時、上空に巨大な魔法陣が、そしてそこから巨大な剣が現れる。エクスブレイザーはそれを掴み、構える。エクスブレイザーは構えた剣の柄についたボタンを流れるように押し込む。
『輝け!希望の光!』
それに呼応し、剣からけたたましい音声が発せられる。
『エクシウムブラスター!!』
剣から技名が叫ばれると同時、刀身から光線が放たれる。
「フルパワーだ、いっけぇぇぇぇ!」
その横では、ヴァルクスが主砲から光線を発射する。
二本の巨大な光線がシルフィード・ドゥーマに迫る。シルフィード・ドゥーマは風による防壁のようなものを形成するが、二本の光線は難なく防御を突き破る。そして、シルフィード・ドゥーマに直撃する。シルフィード・ドゥーマは身を捩り、すさまじい悲鳴をあげるが、放たれた光線から逃れることは出来ない。そのまま、シルフィード・ドゥーマは盛大に爆発し、そしてそのまま空中で光の粒子となって消えていった。
(いよっし!)
「倒せたか」
「やったぁ!あの巨人が勝った!」
戦いの様子を離れて見ていたティキが歓声を上げる。
「しかし……あの精霊のバケモンみたいな奴も……巨人も……一体なんなんや……?」
その横でチコは上ずった声で疑問を述べる。それを聞いたアイザインはため息を漏らしながら首を鳴らす。
「さあな。だが、世界中で起きている異変とやらに関係があるんだろう……。この目で見るまでは信じられなかったがな……」
その言葉に、後ろに立っていたエルフ達が、不安の表情を浮かべながらざわつきだした。
一方、上空の爆発を眺めながらロックは鼻を鳴らす。
「やれやれ。とりあえず、ちゃんとやればあれくらいは余裕で倒せるくらいのパワーはあるわけか……。超次元平和維持エージェントとやらは伊達じゃなさそうだな」
そんなことを一人つぶやいていると、エクスブレイザーの姿が消える。
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