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物事の優先順位は大事

「これは一体……!?」

 エクスブレイザーの放つ光線を浴びた直後から、起動した時とも異なる眩しい輝きを放ち出したヴァルクスの中でアネッサは困惑する。

 あの光線はなんだったのか?

 一体あの光線を放つことに何の意味があったのか?

 そういったアネッサの疑問に対する答えが提示されようとしていた。

 ――直後、機体がパーツごとに分離して空中へと飛び出す。そしてエクスの身体とヴァルクスの各パーツが合体していき、新たな姿へと変わっていく。

「合体とは……このことなのか!!」

 アネッサは思わず叫んでいた。


 空中でヴァルクスと合体したエクスブレイザーの新たなる形態、エクスブレイザー•バトルマスターが着地する。轟音が鳴り響き、土煙が上がり、大地が揺れる。


(いやー……本当に初見のメカと合体するとは……。なんでもアリですね)

 ユウは正直な感想をしみじみと漏らす。

(これくらいの即応性は超次元平和維持エージェントをやっていると求められるのだ)

(そういうもんですか……?)

 エクスの回答に釈然としないものを感じつつもユウは新たな形態となったエクスブレイザーを見る。どうやら、分離したヴァルクスをブーツや小手、胸当てのようにまとっているらしい。さながら戦士の軽装鎧のようである。さらに気がつくと、胸のエナジークリスタルが青くなり、通常の状態に戻っている。どうやらヴァルクスのエネルギーによって、エクスブレイザー自身のエネルギーも回復したらしい。

(よし、これなら……!)

 エネルギーと同時に闘志も注入されたのか、ユウは気合を入れ直して構えを取ろうとする。

「どうなってるんだ、これは!?」

 突如、自身の中で鳴り響いたアネッサの声に困惑する。

(あ、そうか……合体したヴァルクスにはアネッサさんが乗ってたのか……)

「!?ユウ!?その声はユウなのか!?」

 どうやら普段ルティシアやエクスとやり取りするための、自身の内面の声は合体したヴァルクスのコクピットにいるアネッサには丸聞こえらしい。

(アネッサさん……。その通り、ユウです)

 諸々隠すことを諦めたユウはアネッサに声をかける。

「やはり……そうだったのか」

 想定通りの答えが返ってきたことで色々と腑に落ちたアネッサは一人納得する。

「色々事情はあるのだろう。……しかし、それについては後程聞かせてもらおう」

 そう言ってアネッサは操縦桿を握る。

「全て敵を倒した後でな」

(……了解!)

 ユウが同意すると同時にエクスブレイザーは構えを取る。その眼前には、大量の巨大スケルトンを従えたアンデッドドゥーマが立ちはだかっていた。

 

「おい、あれを見ろ!なんかくっついちまったぞ!」

 英雄の頂では、出撃していったヴァルクスの様子を見ようと観客達が神殿の外へと飛び出し、エクスブレイザー達の戦いを観戦していた。しかし、ヴァルクスの活躍もそこそこにエクスブレイザーとヴァルクスは合体していたためそれを見ていた者たちは驚きの声を上げる羽目になる。

「よもや、ヴァルクスにあのような能力があったとはな……」

 ティキやルークと共に外に出て来ていたバルトーも予想外の事態に驚いている。

「まあ、あれだけの力を誇るヴァルクスだ。それと一体化した巨人の力……どれほどのものか、見てみようではないか」

 そう言ってバルト―はティキの顔を見る。ティキはバルト―の言葉にうなずくと、エクスブレイザー達に声援を送る。

「がんばれー!そんなアンデッドなんてやっつけちゃえ!」


 エクスブレイザーは腰を深く落とし、片手を地につける。直後、脚部にとりついたヴァルクスのパーツ部分が変形し、ローラーブレードのようになる。直後、ローラーブレード部の車輪が甲高いうなりをあげながら高速回転をし始める。そして、そのまま回転の力を利用し、エクスブレイザーは地面を滑り高速移動を始める。そんなエクスブレイザーの侵攻を阻もうとスケルトン達が動き出すが、それよりも早くエクスブレイザーは駆け抜けていく。

(はあああああああああっ!)

 エクスブレイザーはアンデッドドゥーマに迫ると、腰の両側に備え付けられた二本の剣を引き抜く。そしてすれ違いに斬撃を叩き込む。アンデッドドゥーマの肉片が切り裂かれ、飛び散る。

(このスピードなら……!)

 ユウはクラスチェンジ後の圧倒的なスピードに感心する。エクスブレイザーは180度ターンを決め、その勢いを利用して再びドゥーマへ襲い掛かる。高速の斬撃を再びアンデッドドゥーマに叩き込み、ダメージを叩き込む。

「畳みかけるッ!」

 アネッサはそう叫ぶと操縦桿を素早く操作する。直後、エクスブレイザーの腕部パーツとなったヴァルクスのパーツからワイヤーが取り付けられたアンカーが射出され、アンデッドゥーマに突き刺さる。そして、ヴァルクスのパーツはワイヤーを巻き取り始める。エクスブレイザーはローラーブレードの突進力とワイヤーを巻き取る力を利用してさらに高速で加速しながらアンデッドドゥーマへと迫る。その動きにようやく反応したスケルトン達が連携し、骨の壁になろうとする。その動きを察知したアネッサは咄嗟にワイヤーをヴァルクスのパーツから切り離す。直後、エクスブレイザーは空中でフィギュアスケートのように空中で回転を始め、そして加速と回転の勢いを利用した空中回し蹴りを放つ。エクスブレイザーの蹴りは骨の壁をぶち壊し、そのままアンデッドドゥーマのドゥーマ細胞を根こそぎ吹き飛ばす。

(今だッ!)

「今だっ!」

 ユウとアネッサは同時に叫び、とどめを刺そうとするが、周辺のスケルトンの残骸それを阻もうと無数の腕を形成して掴みかかってこようとする。それを察したエクスブレイザーは咄嗟に飛び退る。


 そんなエクスブレイザーの戦い方を眺めていたルークが感想を漏らし、バルトーも頷く。 

「あの巨人、まるでアネッサみたいな戦い方だな」

「ああ、だが剣筋はアネッサとは異なる。あの巨人は一体何者なのだろうな」

「……」

 バルト―の疑問にリーシェルトは黙り込み、それからぽつぽつとしゃべり始める。

「分からないわ。でも、アネッサは何かを知っていたみたいだったけど……」

「そうか……」

 リーシェルトの回答にバルトーは納得する。今、アネッサの乗るヴァルクスが巨人と合体しているのなら、あの巨人がどういう存在かを知り、アネッサ自身は納得している可能性が高い。そう判断したバルトーは引き続き様子を見守ることとした。


(……くそっ、さっきよりは行けそうだけど、やっぱりあのスケルトンが厄介だな……)

 ユウはアンデッドドゥーマを睨みながらつぶやく。

(ですね。それにしてもユウさん……エクスさん……なんか戦い方がバトルマスターというよりナイトメアフレームっぽいんですが……)

 ルティシアがいつもの調子の発言をしたものだからユウはがっくりと力が抜けるのを感じてしまう。

(なんだ、ナイトメアフレームというのは?)

(……後で説明します。とりあえず、俺も同じようなことは思いましたけど……思いはしましたけど!?)

 そんなやり取りをしているとアネッサは疑問の声を上げる。

「ユウ、さっきから一体誰と話しているんだ……?」

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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