SFCの円卓の騎士の続編出るとずっと思ってた
(このおおおおおっ!)
ユウは裂帛の気合と共にエクシウムキャノンを放ち、その場でくるくると回転をし始める。四方八方にばらまかれた光線が次々とスケルトンを撃ち抜き、砕いていく。
(今だッ!)
スケルトンを殲滅したと確信したユウはそのままアンデッドドゥーマへと飛び掛かる。
(!?)
直後、エクスブレイザーは何かに身体のあちこちを掴まれてその動作を停止させられる。慌てて自身の周辺を見回すと、再生途中のスケルトン達がそのまま自身にまとわりついている。
(げっ!?こいつら……再生途中のまま身体を掴んできやがった!?)
予想していなかったスケルトン達の妨害にユウは思わず悲鳴をあげる。
(ユウさん!エクスさん!)
圧倒的に危機的な状況にルティシアも思わず二人の名を呼ぶ。そんな二人が融合したエクスブレイザーの目の前で、アンデッドドゥーマが魔術を使用する。再び瘴気による巨大な鎌が形成される。それを見たユウは焦りと恐怖から心拍数が跳ね上がるのを感じる。そして、そのユウの焦りに呼応するかのように胸部のエナジークリスタルの明滅が激しくなる。
(まだ……!)
それでも何とか勝機は無いか、ユウは思考する……も、咄嗟には思いつかず、無慈悲に瘴気の鎌が振り下ろされる。その刃が無慈悲にエクスブレイザーを切り裂こうとしたその瞬間……
――突如、戦士の頂の神殿からまばゆい光の柱が立ち上る。
(え……!?)
何が起きたのか理解が出来ず、ユウは困惑する。それはアンデッドドゥーマ達も同様らしく、動きた同様に止まっている。直後、戦士の頂の頂上部が割れ、そこから何かの影が姿を現す。
(まさかあれが……)
姿を現そうとしているものに心当たりがあったユウは一人つぶやく。そんなユウのつぶやきにルティシアが応じる。
(ええ、そうです。戦士の頂に封印されていた神の戦車……)
そして、光の柱が徐々に収まり、神の戦車が徐々にその姿を現す。
(そっか、あれが解放されたってことは……アネッサさん、勝てたんだ……)
ユウはほっと息を吐く。自分が稼いだ時間は彼女にとって意味がある者だったことが感慨深かった。しかし、そんなユウの想いも、徐々に神の戦車がその姿を現すことで吹き飛んでいく。
まず、最初に現れたのは脚である。車輪パーツが複数ついたような足が、一本、二本どころではなく何本も現れ始める。そして、次に昔SFアニメで見たことがあるビーム砲のような砲塔やガトリング砲らしきものが姿を現す。
(……)
神の戦車という名称から何となく想定していた戦車とは異なる外観の戦車らしきものがが出てきたことに困惑し、ユウは言葉を発しかねていた。しかし、そんなユウの困惑を他所にルティシアはノリノリで神の戦車の名を呼ぶ。
(あれこそが、神の戦車と呼ばれた超高速多脚型突撃戦車……VRX-07ヴァルクスです!)
(いや、戦車ってガチの戦車!?しかも多脚型!?SFじゃねーか!世界観どうなっとんねん!)
名称や型番、そして種類などを聞き、ユウは思わずツッコミを入れる。
(まあ、なんていうか素直なファンタジー要素が出ないのは、この世界ではいまに始まったことじゃないでしょう)
(そうですけど……そうなんですけど……)
ルティシアの身もふたもない言葉に頭を抱えながらユウは唸る。
(いやだって……この世界観で戦車って言ったら聖機〇物語の装甲馬車オーキスとかそういうのだと思うじゃないですか!なんかペガサスとかユニコーンとかそういう感じの馬に引かれてそうな感じで!)
(まあ、そういうことならヴァルクスのボディ部分に天馬をあしらったエンブレムがついてますよ)
ユウは吼え、それに対してこともなげにルティシアは返答する。たしかにヴァルクスのボディ部を見てみると、ルティシアの言うような装飾が施されている。しかし、それを確認したうえでユウは項垂れて漏らすのであった。
(いや、そういうこっちゃなくてですね……)
「ここは……」
一方その頃、見慣れない空間の中でアネッサは周囲を見回していた。目の前には何に使うのかよくわからない操縦桿等をはじめとした操作用と思しきデバイスがある。また、周囲はモニターらしきものが配置されている。何故、自身はこのような場所にいるのか、アネッサは記憶を辿る。
「私は、さっき穴に落ちて……」
直前まで、自身はバルト―との戦いを終えて神殿の中にいた。そして、突如足元に穴が開き、そのまま穴の中に落ち、そして気が付けばここにいた。
「あの穴がここにつながっていたということか……?」
そんなことを言っていると、突如として眼前のモニターが点灯し、多量の文字が表示される。それらの文字は見たことが無いものであったが、アネッサは何故かそれを読むことが出来た。
「これは……古代語?ヴァル……クス……?」
どうやら、モニターに記された情報を見ると自身は現在、ヴァルクスと呼ばれる神の戦車乗っているらしい。さらに、そのヴァルクスを操作できるように記憶のインプットも行われたとのことだった。
「記憶のインプット……?つまり、こいつの操作方法を今の私は理解している……ということか?」
そう一人つぶやきながら、操縦桿周辺のパネルを操作する。直後、周囲のモニターに外の景色の情報が現れる。
「本当だ……私はこれの操作を理解している……?」
自身が狙った通りに操作が出来たことに驚きながら、アネッサはモニターに映し出された周辺の景色に視線を走らせる。そして、すぐさま危機的状況に陥っていると思しきエクスブレイザーを視認する。
「!?まずい!!」
アネッサは操縦桿を握り、操作し、機体を走らせる。
「待っていろ、ユウ……!今、助ける!」
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
皆様の応援が執筆の励みになります。
もしよろしければ評価ポイントやブックマークをしていただけると幸いです




