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アカウント3

続き。


物事というものは、知れば知るほど自身の無知を知り、ある程度納めたかと思っても更に先がある。世の中には天才と呼ばれる人達が居て、凡人の私なんかには到底、追いつける筈はないのだから、一生をかけても全てを理解することは不可能だ。それは創作の面でも同じことが言え、何度読み直しても粗が見つかる。執筆者である自身の目から見てもそうなのだから、天才が私の作品を「不出来である」と断じる事は、容易に想像がついてしまう。

平たく言うと「自分は無才で無能だ」といった負け犬意識を心得ている私は、自身の作品を他人様に勧めるという事をしていませんでした。私にとって「活動報告」は日々起こる事を載せるだけの場であり、自作の宣伝は一切行っておりませんでした。現に今でも、このエッセイは活動報告や他媒体での宣伝は行っていません。(余談となりますが、それはあまりにも卑屈になり過ぎている、と意識を変え「小説作品」に限り更新通知を流しています。この牛の糞にも劣るエッセイは、恥ずかしすぎて広報活動の一切を行っていません)


ある時、私の創作キャラである、ケイジとエイコのクロスオーバー作品を書きました。ケイジは処女作である「安奈」に登場するキャラで、エイコは「シノトキ」という短編集に登場した、ポッと出のキャラです。その時はごくごく気まぐれで、なんの気なしに活動報告でこの作品の宣伝を行いました。時期が学生の夏休み期間という事で、冗談混じりに「この作品で読書感想文を書いたらいいじゃないか」のようなニュアンスの投稿をしたように記憶しています。するとある程度の反響を頂きまして、嬉しくなり「エイコ」を中心とした作品を書くに至りました。それが「メーデー(○○しい人間賛歌)」です。

この作品を形にしていくにつれ、どういう訳か大量の感想を貰うに至りました。その中に、今でも尊敬しているし、大変面白い作品を執筆なさっている、とあるサークルに所属している方がいらっしゃいまして、興味を持った私は特に深い事を考えず、そのサークルへと入会致しました。

活動内容を詳しく書いてしまうと、相手方の迷惑となってしまう可能性があるので、ここでは曖昧に書かせて頂きます。とはいえ、月に一度、お題をもとに短編作品を執筆し、サークルメンバーで一斉に上げるという、ごくごくありふれたもの。

はじめてのオンラインによるサークル活動。私の認識としては「仲間が出来た」程度のもので、ただただ喜んでいました。しかし日常の生活もあり、たいしたアイディアが浮かばず、私の目からは不出来に映る作品が出来てしまいました。締切もあるので、仕方なくその作品を投稿したのです。(そもそも過去の経験から着想を得て作品を作るタイプのナガスには、お題に沿った架空の話を作るのは向いてなさ過ぎると悟ったよ)

しかし不出来なソレは、文芸部門で瞬間的とはいえ、一位をとってしまいました。サークルのメンバーがわざわざスクショを撮ってまで、その事を知らせてくれました。おそらく私が喜ぶだろうと思った上での行為なのでしょう。普通の感覚であれば「喜ぶ」という反応が当たり前なのだと思います。


しかし私は、愕然としました。そして同時に、恐怖しました。

これが、集団というもののチカラなのか。これじゃあ、組織票じゃないか。その恩恵を、私が受けてしまった。しかも、たいした作品ではないのに……そのように思ってしまいました。

勘違いして欲しくないのは、これが不正と言い切る事は出来ないということ。当然、示し合わせてサークルメンバーの作品を高評価した訳ではないのです。しかし一斉に投稿し「暗黙の了解」でサークルメンバーが相互に評価していくその構図は、私には酷く居心地の悪いものに感じてしまいました。

当時からランキングの不正は問題になっていましたし、その仕組みも知っていたつもりでした。それなのに、無自覚とはいえ類似するような行為に加担し、あまつさえ恩恵を受けてしまった……その意識が私に創作活動をする意欲を奪い、結果として自主的にアカウントを消すに至ったのです。


それからしばらく経ち心機一転、新たにアカウントを作り、今までの作品を載せ直し、「メーデー」を「○○しい人間賛歌」と改題して、完結した筈のエイコの話の続きを書き始めました。

当然、以前と比べると反響は、非常に少なくなってしまいました。それでも心やアカウントにやましいモノが無いというのは良いもので、のびのびと執筆が出来、自分で言うのもおかしいのですが、あの作品は良い出来だなと、六年経った今でも思えているのです。


以上、ナガスのアカウントについての独白でした。最後までお付き合い頂けた方に、なにかしらのいい事が起こりますように。


追記。

脳が回るうちに、書きたいものは書いておくべきだね。

つい先日、資料をたんまり溜め込んだSDカードを誤ってフォーマットしちゃって、あーもうナガスの脳は老化してんだなーと実感したよ。なので取り急ぎ、書き残しておきました。

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