聞き間違い
本編に入る前に、ひとつだけ。
愛国心なんて微塵も持っていないつもりでも、今日という日を特別に感じるという事は、カスみたいなものは残っているのだろうなと思う。
英霊たちよ、あなた達のお陰で今生きてます。ありがとう。
さて本文。
幼い頃、ナガスはよく聞き間違いをする子供だった。とはいえ、聞き間違いをするのは家族限定だった。しばらく家族と会っていないから、今でも聞き間違えるのかどうかはわからない。
なんて言えば伝わるのかわからないけど、例えば「(テレビの)ボリュームあげて」と言われた時は「バリュウム飲んで」と聞こえて、それを「バリュウム飲んでってなに?」と聞き返して怒られる。みたいな。
母親から面と向かって「お前の脳はおかしい」「聞く気がないから聞き取れない」と言われたよ。その時は「ナガスの耳が悪い」や「貴方の発声が悪い」と本気で思ってた。だって家族以外の声はちゃんと聞こえているし、意味も理解していた。聞き間違いが原因で他人との間に軋轢が産まれた事はない。
だけど今思えば、心の病にかかっていたのかなぁ……大人になり知識欲が産まれて色々と調べていると、そう思えてくる。ナガスは本当に、ちょっとおかしいからね。おかしいっていう事を自覚したのはかなり大人になってから。処女作の「安奈」を書いている時だから、22〜23歳の時かな。ストレスに非常に弱いという事を思い知らされたよ。詳細はナガスの深部に迫る事になるから詳しくは書けないけど……ナイフを集めるのが趣味だった。特にでっかいヤツが好き。マチェットやククリナイフを何本も持ってた。リディックという映画の主人公が持ってる、特殊な形状のナイフも持ってたよ。そこから先は書けないが、誰かに危害を加えたとかはない。
ナガスは心身ボロボロで人が嫌いになり、自傷もしたしODもした。この世に救いは無いんだと思い、身近な存在の人達をモチーフにしたキャラを作り「安奈」という救いのない世界に放り込んだ。
どう考えてもあの時のナガスはマトモではなかったよ。ナガスが「安奈」を創作した理由を言葉にすると「悪意の伝播」になる。「〇〇しい人間賛歌」とは真逆でウケるよ。
その果てに得たものは「優しくなりたい」「いつ死んでもいい」という意思だったのは、出会ったモノに恵まれたからだと、今だと思える。その話もまたいずれ。
ただナガスが言いたいのは、親御さんはどうかお子さんに愛を与えて下さいってこと。それは金銭面や食事面、教育面ではなく、もっと根源的なもの。触れて、撫でて、抱きしめる。そして恥ずかしがらずに「愛しているよ」と言葉で伝える事。きっとそれだけで子供は満たされるから。ボーっとしている子、聞き間違いをする子がいるなら、どうかどうか、愛を伝えてあげてください。それが一番の回復剤。




