クソガキ時代の自分語りと行き着く思想について
ナガスの思考史。
まずナガスが思った事は「他我について」だった。
ナガス以外の人間に心はあるのか? 思考しているのか? というもの。とはいえ所詮はガキだったから「これが夢じゃない証明は出来ない」程度の認識だった。
何故、そう思うようになったか。もちろんキッカケがある。
何を隠そう、ナガスは小二の時に告白されてる。それも同じ人から二回。やたらベタベタくっついてくる女の子がいて「なんでくっついてくるの」と問うたら「ナガスの事が好きだからだよ」と言われて、今まで感じた事のない衝撃が全身に走り、脳が思考を停止し真っ白になったのを覚えてる。
休み時間の教室で同級生が沢山いて、普通の会話をするような流れで、さも当然のようにそう言ったんだけど、所詮はガキだから状況を整理しきれず黙り込んでしまい、無視するような形になっちゃった。いや、ムリムリ。今でもどう受け止めていいのかわからんのに、小二のガキには何も出来なくて当然なんだって。情けないとか考える必要なし……だと思うようにはしてる。
それからはなんか変に意識しちゃって、その子と上手く話せなくなったんだけど、しばらくしてその子が、ナガスの耳に口を近づけて「ロケット鉛筆あげようか」って言ってきて、ドッキドキしながら「なんで?」って聞き返したら「ナガスの事好きだから」って、また言われたんだよ。
……この時に「ナガスがこの人に好かれるなんておかしい」と思ったのがキッカケだと思う。最初に告白された後、全然話して無かったもん。好かれる理由がわからなかった。だから「これは夢なんじゃないか?」と思うようになり、断片的な夢と、地続きになっている夢とがあり、これは地続きになっているタイプの夢だ。この人はナガスの脳が勝手に作り上げた、都合の良い存在なのだ……と思っちゃったよね。それに伴い「他我」を疑うようになった。
……ん? その子とはどうなったかって? どうにもなれへんわ! ナガスに甲斐性を求めるな野暮だぞ! 二回目の時もダンマリや! 当然やないかい! タイムスリップ出来るならあの時に戻りたいわ! あー思い出したら切なくなってきた! ダンマリしてごめんなさいって、すっげぇ謝りたい!
「他我を疑う」というのは、マセた考えだと思いますか? いやいや、ガキの頭なんてこんなもんよ。字面で難しいように見せてるだけ。漫画やゲームの影響だと思うけど「このゲームのように、自分の人生はフィクションであり、観測者がナガスを観て楽しんでいるんだ」とか、普通に考えてたもん。今思えばアレが中二病。その後にトゥルーマンショーが公開された時「ああああ! このイメージがあの頃感じていたものだ!」と思ったものだよ。
長くなっちゃったので、今回はこのへんで。とりあえず「他我を疑ったからこそ、他我を題材に創作出来ている」という事が言いたかった。続きはまたいずれ。
んで、これは余談。読み飛ばしてくれて構いません。
小二の時のあの子、今思うとちょっと変わった子だったな。人の輪には入るんだけど、どこか一歩引いてたというか、賢いというか……狡猾というか。彼女の顔を思い出したら、笑顔ではなく眉間にシワを寄せた表情なんだよ。不思議な子だったなぁ……今はどんな性格をしているのか、とても気になる。
初恋の相手ってワケじゃないけど、生涯で初めて好意を寄せてくれた存在ではあるから、忘れられない。彼女を題材にした短編でも書いてみようかな。
作家はさ、経験した事しか書けないって言うじゃん。多くの人がソレを否定するけど、ナガスは半分正しいと思ってる。ナガスの作品に登場する人物の大半が、現実にモチーフがいるもん。それも、ナガスにとって身近な人達。例外はローラとエイコだけ。
作品が増えてもキャラが増えない、むしろキャラを使い回すのは、ソレが原因だったりする。名前変えれば済む話なんだけど、名前変えたらナガスが混乱するんだよ。「アレ、この人格は○○のハズなのに△△と名乗ってる」と思っちゃって、創作どころじゃない。
改めて読んでみたら、なんかモテモテ野郎に見えたので追記。
えー、別にナガスはモテません。小二のこの時に、初めて告白のようなものを受けただけで、次に告白されたのは18歳の時です。初の告白受けてから、十年は告白されてませんからね。彼女はいましたが。
ただこの出来事が、ナガスの作品に影響を与えたのは言うまでもない事ではある。やっぱ作家ってある程度、経験したことを元に創作してると思わされる。




