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ずんだもん

YouTubeで「カップラーメン依存症になったずんだもんの末路」という動画を見て泣いた。

いやね、自分でも涙腺緩すぎと思うけど、年取ったらホントに涙脆くなって嫌になるわ。別にずんだもんの事好きじゃ無かった筈なのに、これには参った。

誤解のないように言っておくけど、ずんだもんに襲いかかる不幸に泣いた訳でも、オチに感動した訳でもない。むしろそこに至るまでの過程が感情をえぐってくる。


あの動画の何が涙誘うかって、他のずんだもん動画と違い、チカラ無いずんだもんの声色と、食事以外に楽しみを見いだせない姿。そしてその食事ですら質素なものという現実。言い方悪いけど、カップラーメン「ごとき」に感激するその様に魂の欠損を感じさせられ、ナガスにとっては肉体の死よりも悲しく感じるよ。そして独り言の「僕は大丈夫なのだ」という台詞でゴボッと感情と涙が共に溢れ出たよ。だって絶対に、大丈夫じゃないから。


キルケゴールが提唱してる「死に至る病」には三段階ある。簡単に書くと一段目は「自認してない絶望」で、二段目は「自認した絶望」。そして三段目が「神を知りながら否定する罪としての絶望」なのね。神をフィクションと捉えてるナガスが言い換えると「救いを拒絶する孤独の絶望」かな。しかも基本的に人は絶望に抗えないとされてるし、死んだ後も絶望し続けるらしい。とはいえ、キルケゴールの言う「死」は、キリスト教の教えである「いのちの書」からの除名の事を言ってるっぽい。

ちなみに絶望の内訳には色々あるんだけど、ここでは割愛。気になったならご自身で調べてみて下さい。面白いですよ。

この階段を登っていく姿は、非常に心に来るものがある……死亡した二十代、三十代の死因は、二人に一人が自殺。そして一時間に三人が自殺してる計算になるこの国で、絶望の階段を今まさに上り詰め、そこから身を投げようとしている人が居ると考えると、決して遠い世界の話ではないなと思えてしまうよね。

絶望によって魂が傷つき、場合によっては感情の一部を失い、知らぬうちに死に向かっているから、ナガスは死よりも魂の欠損のほうが悲しいと感じるよ。だってさ、死んだらどうなるのかはわからない。良い所に行けるかもしれないし、消滅かもしれない。だけど絶望に苦しみ「僕は大丈夫なのだ」と自分に言い聞かせ今も戦っている人は、実際にいるじゃんか。今回観た動画はフィクションではあるが、そういった現実を思い出させてくれた、とても意義のある時間だった。感受性が少し復活した気がする。


感受性といえば。ロバがムチで打たれてる姿を見て、そのロバへと泣いてしがみつき、気が狂ったニーチェの域へと、死ぬ前に達せればなと思う。

死ぬ前に狂ってしまいたいよね。そうすれば生きる苦しみも死への恐怖も、少しは薄れるかもしれない。あーメンヘラ……とはいえ、今死んだら表現したかった事を表現しきれなかったなと、心残りかな。

こんな思想や思考は危ないモノだから、若い人はどうか、こうはならないでと、伝えたいです。




余談。キルケゴールが「死に至る病」を出版した時に使用していたペンネームが「アンティ=クリマクス(Anti-Climacus)」なんです。どういうつもりでこの名前を付けたのかは知る由もないけど、ナガスが多用してる言葉のアンチクライストとは違うのかな。

これはアレかな、読者が勝手に考察して理由付けるという、あの心理効果かな。踊らされてるだけ?

なら考えるのやめよ。


追記。とうやらクリマコスという聖人がいるらしい。その聖人が唱えている事に対するアンチテーゼとしての内容だからこのペンネーム? この聖人、古すぎてよくわからんかったよ。

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