表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
癒しの村 プロローグ  作者: yuriko
13/33

13.アキヲの疑問

「うん。人工呼吸器や酸素も電気で動いていたよ」


 私は頷いて、草原の家で見たもの、聞いたものを話す。


「おかしくないか?」


 アキヲは、訝しげに眉間に皺を作って、不審そうに私に問いかける。


「何が?」


「この村は、自給自足で金という流通がない。村に金がないはずなのに、人工呼吸器の稼働費用や酸素代、電気代、もろもろその施設には金がかかっている」


 アキヲは、皿に盛られた具材に視点を集中させ、深く考えるように顎に手を当てる。


「そうね、どこからお金がでてるのか、不思議ね。人工呼吸器や酸素、それに吸引セットもあったわ。けっこうなお金がかかるわよね」


 確かに言われてみれば、アキヲの言う通りに思え、私は頷いて言う。


「そうだろ?それに、重症心身障害児は、脳性麻痺であることが多い。生きるために、薬代もかなりかかる。常に医師に診てもらわないと生きられないはずだ」


 アキヲは、自分に言い聞かすように話した。


「そうなの?アキヲ、詳しいのね。でも、医師は見かけなかったけど」


 もしかしたらどこか別の部屋にいたのかもしれない。明日、ミサトに聞いてみようと、私は考える。


「この村は怪しい。多額の金をどこかで生み出しているはずだが、正統法でそんな方法が、あるはずない」


「じゃあ、犯罪とか?」


「どうだろう。まだこの村に来たばかりだ。探ってみないといけないな」


 アキヲはそう言うと、ちらっとナミを見て、また箸を動かし始めた。


「ハンザイってなに?」


 ずっと黙って座っていたナミが、ぽつりと口を開く。


「犯罪はね、法律で禁止されてること。簡単に言うと、悪いことをするっていうことよ」


 私は、ナミの反応を伺いながら答える。


「ナミのまわりに、悪いことする人いないよ」


 ナミは、無表情で言った。白い肌と黒髪が日本人形のように映る。


「そうね。きっと考えすぎよね。変なこと話してごめんね」


 ナミの無表情な顔に不気味なものを感じ、背筋がゾクッとする。


 しばらく三人で囲炉裏を囲み、私とアキヲは黙々と皿に盛られた、シイタケ、エノキ、ハクサイなどの野菜を口に入れる。


 もくもくと鍋から吹き出る湯気が、目に染みて入る。


「明日から、私、草原の家に通うね。ミクちゃんやケイコさんのお世話をするの」


 あらかた鍋を食べ終えると、私はアキヲのほうを向いて言った。


「そう、働く先を見つけたんだな」


 アキヲは、そっけない口調で言った。


「アキヲはどうするの?」


 私は、アキヲの顔色を見ながら聞く。


「まだわからないけど、畑作業を明日見に行ってみるよ。ルールだからね、仕方ないな」


 アキヲは溜め息をついて言った。


「私、当分はこの宿から通うからね」


「好きにしたらいいよ」


 アキヲは特に嫌がりもせずにそう言った。私は、アキヲに受け入れられたように感じられ、じんわりと心が和む。


 アキヲの面長な顔に、太い眉根、切れ長の目。ひょろっと長い手足。言葉は少ないが、意見をしっかり主張できるところに、引っ張られる。


 その夜、それぞれの布団に入ると、アキヲは静かに私に話しかけてきた。


「草原の家を探るんだ」


「さぐる?さっきの話の続き?」


「そうだ。この癒しの村には、きっと秘密がある」


「でも、草原の家の何を探るの?」


「どんな設備があるのかと、どんな人が家に出入りしているのか、まずはそれを探ってくれ。怪しそうなものを見たり聞いたりしたら、すぐに言ってくれ」


 アキヲは暗闇に呟くように話した。


 私は、アキヲの人を引っ張っていく力にはあがなえなかった。


「わかった。できる範囲でやってみる」


 私は頷きながらも、なぜアキヲは、癒しの村に対して反抗するようなことをするのだろう、と疑問に思いながら目を閉じた。


感想よろしくお願いします(><)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ