表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
癒しの村 プロローグ  作者: yuriko
12/33

12.私の居場所

「よろしくお願いします」


 ミサトの誘いに、私は自然とそう答えていた。境界性人格障害の病気をもつ私が、お世話などできるのか、不安ではあった。


「嬉しいわ。新しい仲間ができた!気を楽にしてね。すぐに慣れるわ」


 ミサトはチャーミングに瞳をくるりと回して言った。


「ここに住まないといけないの?」


 行きがかり上、アキヲの顔が浮かんでく

る。アキヲと離れることに、不安があった。


「佐藤さんの宿に泊まっているのよね。ここからそんなに遠くないから、今のままで、大丈夫よ」


 ミサトは、ニッコリ笑って言う。


「ありがとう。しばらくは、今のところから通うね」


「リサの自由よ」


 ジユウ、という言葉にドキンと胸が高鳴る。今まで、私にはどれほどの自由があったのかと振り返る。


「なかったかもしれない」


「え?」


 ミサトは、怪訝な表情で、私の呟きに反応する。


「自由という言葉を聞いて、今まで私には、自由なんてなかったなと思った」


 今まで、牢の中に閉じ込められているような人生であったことが、走馬灯のように思い出される。


「じゃあ、これから、自由になりましょう」


 ミサトは、優しく微笑んで言う。


「できたら良いわ」


 私は、自由の鐘が頭に鳴ったように思えた。胸がどんどん高鳴っていく。


 ミサトが、力強く頷く。とても、うつ病の人とは思えなかった。


「今日は、もう夕食になるから、また明日来て」


 ミサトがそう言ったので、私は頷き、元来た道を引き返した。


 夕陽が沈む頃だった。山頂辺りであるから、沈む陽も早かった。


 茜色の光が眩しく目に差してくる。


 胸にじわりと夕陽が滲んでくる。風がふわりと髪を揺らす。


 草原に陽が落ちていく、その風景が美しいと感じられる。景色が美しいと感じることが、初めての経験だと気づいた。


 宿に帰ると、ナミが玄関まで迎えてくれる。


「よく帰る時間わかったね」


「うん、お姉ちゃんの足音、聞こえてきたから」


 ナミは私の靴を玄関に並べ、整えてくれる。


「遠くから聞こえるの?」


「うん、目が見えないから、耳は良いの。あと、勘も良いの。お母さんが、言ってた」


 ナミは、白い歯を見せて笑う。あどけない少女のように見える。


「すごいね。人が聞こえない音が、聞こえるなんて」


「うん、褒めてくれてありがとう。だから、お姉ちゃん好き。夜ご飯、できてるから来て」


 ナミは、少し照れたように頬をピンク色に染めて、囲炉裏部屋へと先に歩いて行く。


 私はナミの後ろについて、囲炉裏部屋に行く。


 囲炉裏部屋には、アキヲが先に座って、昨日と同じように、鍋を食べていた。


 アキヲは私を見ると、そっけなく顔を背ける。


「おかえり。先に食べてるよ」


 アキヲは鍋から、もう一杯よそいながら言った。


 私はアキヲの隣に座る。ナミが皿に鍋の具材をよそってくれる。


「今日は、キノコ鍋だよ」


 ナミは、私に箸をのせて、皿を渡してくれる。皿には、エノキにしめじ、シイタケが白菜と煮込まれいた。


「この先の草原で暮らしている人たちのところに行ってきたよ」


 私は、キノコを頬張りながら、先程のサトミや重度障害をもつ人たちのことを話し始める。


 キノコ鍋は、和風出汁の味が染みて、あっさりとしている。歩いてお腹もすいていたようで、どんどんと口に入っていく。


「そこだけ、電気が通ってる?」


 アキヲは、小屋に電気が通っていることに驚き、声をあげた。

 

感想よろしくお願いします(><)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ