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Episode01

 不可思議な後輩との邂逅を果たした翌日。

 まるで、昨日の出来事が夢だったのではないかと思ってしまった。

 私にとっては、それほど衝撃があった出来事だったのだ。

 なので、私は今までどおり話しかける相手が少ない三浦海岸高等学校の中に足を踏み入れる。

 自分の教室を開けて、ほとんど会話を交わさないクラスメートを素通りして、自分の席に座る。

 前の席に座るクラスメートが椅子を逆向きにして座り、こちらに視線を移す。


 そこにいるやつは、私を一ヶ月で振ったいけすかないクラスメート。

 クラスメートの女子がひとり私に近寄る。


「どうしてけん太くんを振ったの? もったいないじゃん」


 クラスメートのひとりが横やりを入れてくる。

 うるさい。うるさいうるさいうるさい。

 余計なお世話だ!

 言いたくもない。

 しかし元カレは口を開いた。


「こいつさ、一ヶ月も付き合ってやったってのに、一回も抱かせてくれなかったんだぜ?」


 元カレがオブラートに包まずそんなことを言う。

 なんていうグズ男なのだろう。

 性欲処理にしか見ていないのがあからさますぎるんだ。


 振った理由は、肉体関係を一月で迫られたのが怖くなり断ったら振られた。

 ただそれだけど……。


 男ってみんなそうなのかな……?


「お姉さま~!」

 

 辺りをキョロキョロしていると、教室の出入り口から西園寺月が教室内を覗いていた。


「いきなり何の用?」


 月に歩み寄りながら月に問いかける。

 神出鬼没で二年生の教室に現れた西園寺月。案の定、私以外の男女はちやほやしている。

 見た目がかわいいって理由で相変わらずみんなに好かれているのだろう。

 逆に私はヤンキーだと勘違いされるような容姿のせいで、普段からあまり話しかけられることはない。


「お姉さま! 洗濯物乾きましたよ! 後で渡しますね!」

「今渡してくれればいいじゃん……」



☆☆☆☆☆



 

 なんだかんだ悩みながらも、結局月と帰宅することになってしまった。

 

「お姉さま、これが洗濯した制服です」


 月からきれいに洗われた制服を渡してもらう。

 持っていたなら最初から返してくれればいいじゃん。

 最悪返ってこなくてもどうでもいい。と考えていたけれど、さすがはお嬢様。綺麗に畳まれてピカピカになっておられる。

 それに限っては感謝の言葉もない。


「あ、ありがと……じゃあ制服も受け取ったことだし、ぱぱっと退散しますか」


 しかし月はもじもじしており、まだなにか言いたいことがあるのだろうと察してしまう。


「あー……私になにか他にも用事があるの?」


 率直の疑問をぶつけた。


「……その、あのーーお姉さま」月は一旦言葉に詰まると緊張しているのか、新たな提案を口にした。「お姉さま海好きですよね? 近場で行けるどこか綺麗な海に連れていってください」

「へ……」


 そんなこと初めて言われた。


「受験勉強をそろそろ始めなきゃいけない期間だし、あまり遠出は……」


 勉強もあるし友達づきあいもある中、月のためだけに海を見に行く暇なんてない気がする。

 あくまで私が勉強の合間に近場の海岸に顔を出していただけなのだ。


「受験が終わったら海に行かない?」

「私はすぐにお姉さまと海を眺めたいのです!」


 月は一年生。まだ受験勉強の大切さがわかっていないのだろう。


「わかった。わかりました。海に行けばいいんでしょ?」

「はい!」


 月は明るく溌剌とした表情で力一杯頷いた。




☆☆☆☆☆



 ーー翌日。


 放課後催した私はトイレに駆け足で向かった。


 ……そこには仁王立ちしながら私を待っている西園寺月がいた。 

 ここまで来ると、自分のいる位置を把握しているのではないかと月に違和感を抱いてしまう。

 毎回行く先々で月が待機しているのだ。


 どうやら無性になつかれてしまったらしい。

 見た目がかわいいし、背丈も控えめ、男子からは絶大の人気を誇っているのだとか。なら男子からチヤホヤされていればいいじゃん……。


 仕方なく月と連れションに行くことになってしまった。


「お姉さまは……風の噂を聞いたのですが、付き合っている男子がいたんですよね……」


 トイレから出たのを確認し、月は私に問い質す。

 私は少し黙ろうかと思ったが、月相手になら隠す必要ないか……。


「当時、そこそこ顔の整った、所謂イケメンに告白されたんだ」

「へぇ……美女とイケメン、相性一番いいのでは?」

「でもさ、付き合い初めてから軽い性的なスキンシップを取ってくるようになってさ」

「はぁ……」


 月はこの段階だと、まだいまいち理解が及ばないでいるのが反応を見ればわかる。


「一ヶ月経ったある日、エッチしようと言われたんだーー。それに対してまだ一月しか経っていないのに肉体関係迫ってこられたから、それって本当に恋愛なのか遊ばれているだけなのか、わからなくなっちゃってさ……性行為はお互いに経済力がない時期にやるのは、私はぜったい嫌だーーっていうのが率直の意見。それを説明したら振られたんだよ……」

「その彼氏は絶対にヤリチン野郎です! 断って大正解だと思います!」

「ありがと。友達に言われると元気でるよ」


 月のことは奇人だと思っていたが、月の返答のおかげで少しでも気が紛れるようになった気がする。感謝してもしきれない。


「お姉さま! 今度の休日は千葉県の綺麗な海を見に行きましょう!」

「気が向いたらね……」


 私も海や海岸、海から流れてくる潮風、海の匂い、透明度の高い海すら好きだ。

 千葉の海は江ノ島や三浦海岸より綺麗だともっぱらの噂だ。

 電車で向かうにしては時間を喰うが、たまには私も綺麗な海を見たいと体が疼いて仕方ない。


「じゃあ予定が合致したときに行こう」

「はい!」


 こうして、あまり関わらないでいるつもりの月と千葉県という近場の県にある綺麗な透明度のある海に連れていく約束をしてしまった。

誤字脱字多すぎて一人じゃ手が足りません!

どなたか優しい方、おかしな誤字を発見したら誤字報告をお願いします。助かります。

また、ブクマ、評価、感想、レビューを書いてやってもいいといった神様がいらっしゃいましたら、何卒よろしくお願いいたします。

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