日常化した朝の光景。
朝一番に会うのが変態って・・・どうなの?
雲一つない突き抜けるような青空。うん、最高に良い天気。そう、朝起きて学校の校門に差し掛かるまでは、とても良い気分だった。
目の前に現れた人物・・・いや、アイツなんて虫で十分そう人類の天敵黒いテカテカしたイニシアルGのあれと一緒で湧いて出た現れたなんて言わない湧いて出たんだ!!
「悠紀~今日も可愛いな~愛してる~♡」
なんて世界の中心では無く、校門の前で愛を叫ぶ変態馬鹿さえ居なければ気分は上々だった。そして叫んだ言葉は気持ち悪い。変態の言葉なんて受け付けたくない絶対に!!
叫んだ勢いそのまま出かけてくる変態が避ける間もなく抱きついて首筋をなで上げてきた変態こと、東条咲良・・・。
ゾゾゾという悪寒を感じ思い切り突き飛ばし蹴り上げる。
「てめぇは何しやがる!!」
首筋を抑えて叫ぶも相手は、ニコニコと笑っている。あぁ後で消毒しなくちゃと思いながらもヤツを見て後悔する。
ダメージすら快感に変える様に嬉しそうにうっとりしながらだらしない顔で笑っている・・・変態を前にどうしていいか解らなくなる。どんな態度が正解なの?誰か教えてくれよ!!
そっと視線を巡らせても、周りは遠巻きに見ているだけで誰も助けようとか思う奴もいない。しかも目を逸らしやがるんだ。
孤立無援で泣きたくなる。
「い~や~だってぇ♡俺の愛が溢れちゃって、愛を叫ぶだけじゃ足りなかったんだも~ん♪」
「・・・ば、馬鹿言ってんじゃねーよ!!この変態野郎!!」
青褪め叫んだついでに思い切り鞄で殴って昇降口に駆け込んだだってなんか素手ではもう触りたくなかったんだよ触っちゃダメな奴だったんだよ。
痛みでちょっと涙目でそれを見送る咲良。
そのやりとりをちょっと離れたところで見ていた腐れ縁の貴李が呆れて声をかける。だがその眼は冷え切っている。うっかり人一人くらい殺してそうな視線の鋭さだったと誰かがの後日語っていた。
「そこな変態、朝から後輩に変態行為を働くんじゃねぇよ!つか、頬抑えてうっとりした顔で笑うな気持ち悪い(--〆)」
「いよぉ~おはよ~ん貴李~って誰が変態よ?笑うなっつっても無理だしだって悠紀の愛情表現だもん。ツンデレなんだよ!!」
「ツンデレ?ツンしかないだろ?っていうよりアレだけ拒否られてるのに何でそんなに前向きなんだよ?ポジティブにも程があるだろ!!どMの変態が!!」
白い目でツッコミを入れる。鉄拳も忘れない。鞄の角だが。
「ちょっ!貴李。痛いんだけどめっちゃ痛いんだけど゜(゜´Д`゜)゜」
「( `д´) ケッ!俺の愛情表現だ!有り難く受け取っとけ(`・ω・´)」
「いや~ん(*´д`*)そんな痛い愛は要らないの~痛い愛はボコり愛は悠紀ちゃんだけ限定の受け取りなの!!」
「・・・黙れ(--〆)そのムカつく口を閉じろ・・・永久に閉じとけ」
「いや。無理。だって悠紀に愛を叫ばないと俺死んじゃう」
「・・・その口縫い付けてやるからおとなしくそのまま死んどけ( `д´) ケッ!」
もう既に日常の会話になりつつあるそんなやり取りをしながら教室に向かった。