まりちゃんのなくしたもの
「ままぁ……。なくなっちゃったぁ……。」
まりちゃんが泣きながら私の方に歩いてきました。
「まりちゃん、何か無くしちゃったの?」
私がそう尋ねると、まりちゃんは頷きました。
「あのね、だいじにもってたのになくなっちゃったの……。」
「じゃあ、ままと一緒に探そっか。」
「うん!ままといっしょにさがす!」
まりちゃんは元気に返事をしました。
まずはまりちゃんが無くしたものを聞かないといけません。
「それで、まりちゃんは何を無くしちゃったの?」
「あのね、すっごいきらきらしてるの!」
きらきらしているもの。もしかして、おもちゃの宝石でしょうか?
やっぱり!まりちゃんのおもちゃ箱にルビーの宝石がありません。
「じゃあ、まりちゃんは床に落ちてないか探してくれる?」
「わかった!」
「ままはタンスの後ろを探すね。」
タンスの後ろを覗くと、何か光るものがあります。
手を伸ばして取ると、それはまりちゃんの無くした、おもちゃのルビーの宝石でした!
「まりちゃん!あったよ!」
「ほんとー!」
まりちゃんはすごい笑顔でこっちに走って来ました。
だけど、私の持ってるものを見ると、まりちゃんはまた泣きそうな顔になってしまいました。
「ままぁ……。これじゃないよぉ……。」
「まりちゃんの無くしたもの、きらきらしてる宝石じゃないの?」
違ったみたいです。てっきりおもちゃの宝石だと思ったのですが。
「あのね、もっとしろいんだよ。」
「白いの?」
「うん!」
白くてきらきらしたもの。そんなのあったでしょうか?
そうだ、まりちゃんは魔法のステッキを持っていました。
白いステッキですし、1番上には星が付いているのできらきらもしています。
これに間違いありません!そういえば昨日お姉ちゃんが、まりちゃんの魔法のステッキで遊んでいました。
「まりちゃん!お姉ちゃんが持ってるかも!」
「おねーちゃんがもってるの?」
「今からお姉ちゃんのお部屋に行ってみよっか。」
「いくー!」
部屋にお姉ちゃんは居ませんでした。お手洗いにでも行ってるのでしょうか。
でも、お姉ちゃんのおもちゃ箱の中には、まりちゃんの魔法のステッキが入ってました。
「ほらまりちゃん、魔法のステッキお姉ちゃんが持ってたよ!」
「あー! まりのまほうのステッキ!なんでおねーちゃんがもってるのー!」
「きっとお姉ちゃんも遊びたかったんだね。」
これでようやく解決です。
そう思ったのですが。
「でも、これもちがうよぉ……。」
「え?まりちゃんの探しものこれじゃないの?」
「うん。もっとひんやりしてるんだよ。」
「ひんやり? 冷たいものなの?」
「そうだよー!」
きらきらしていて、白くて、冷たいもの。 一体まりちゃんは何を無くしたのでしょう。
駄目です。いくら考えても分かりません。
「まりちゃん、無くしたものの名前は分かる?」
「んー、わかんない……。」
名前が分からないとなると、いよいよ困ってしまいました。
「ままがまりちゃんにプレゼントしたものかな?それともサンタさんに貰ったもの?」
「どっちもちがうよ!」
「どっちも違うの?じゃあ、パパがプレゼントしたものだね。」
「ううん。ぱぱがプレゼントしてくれたものじゃないよ。」
まりちゃんは首を大きく横に振って言いました。
「パパのプレゼントでもないの?」
てっきり無くしたものは、まりちゃんのおもちゃだと思ったのですが違うのでしょうか。
「あのね、きのうおそとでとったの!」
「お外で取ったの?」
「うん!だけどあさおきたらなくなっちゃった……。」
外にあって、きらきらしてて、白くて、冷たいもの。
「あ、まま分かっちゃった!」
「ほんとにー!」
「じゃあ、ままと一緒にお外に探しに行こっか!」
「さがすー!」
まりちゃんと一緒に外に出ました。
今日は朝から晴れてましたが、良かったです。まだ残ってました。
「あ、まりちゃん!あそこ見て!白くてきらきらしてるものがあるよ!」
私はそこに積もっていたものを指さして言いました。
「あー!まりのなくしたものあったー!まますごいー!」
まりちゃんは、元気にその場所に走って行きました。
「まりちゃんこれはね、『雪』って言うんだよ。」