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白猫とお嬢様

あの後どうなるのか気には成るけどそれよりも今はこのままメアリーの家でお世話になりっ放しで良いのか?って事…だってねお世辞にでも儲かってるとは思えないのに居候が1人増えたし、しかもその居候は役立たずのタダ飯食いなんだもの、申し訳なくって………。


(何か仕事探さないとな。いつまでも居候じゃ申し訳ないよね。)

[気にし過ぎだよ、親父も妹もそんな事気にして無いよ]


(それは、ウイレムは家族だしでも、私は赤の他人なんだよそれに騙してる様な物だし申し訳なくって。本当に占い師に成ろうかな……。それともこの世界でなら漫画も受けそうだよね。)

[うけるかも知れないけど女の子が1人で暮らしたり、商売するのは危険だよ。俺は反対だ!そもそも漫画って何だ!本を出すのもお金が掛かるんだぞ。しかもかなりの金額が!]


これだといつまで経っても押し問答に成りそうだから黙ったけどウイレムには考えただけでもわかってしまうからそれも出来ない。結構ストレス溜まってきちゃう。

お店の昼休憩中に私はそっと外に出た。


(ウイレムは付いて来てないよね?ハァ、どうしたら良いんだろう何処かに良い仕事無いかな?)




「ねぇ貴女」

「わたしですか?」

「えぇそうよ、この辺で真っ白い仔猫見掛けなかった?」

「白い仔猫ですか?…ごめんなさい見掛けませんでした」

「そう、もし見掛けたら私はこの先のお屋敷 バンデロード家の家政婦なのだけど教えて下さると助かるわお礼は出しますからよろしくお願いね」

「わかりました、見付けたら教えますね」

「ありがとう、よろしくね」

「仔猫探しかぁ、お礼が出るって言ってたしお店終わったら少し探してみようかな?」





その日お店を閉めてから昼間聞いた仔猫を探しに外に出た。

(まぁさ、そんな直ぐに見つかる訳無いよね……。ただ、お腹空かしてるんじゃ無いかな?心配だよねそれとも もう見つかったかな?)

そんな事を考えながら歩いていると前方で影の薄い男の子がしゃがみ込んで片方だけの長靴の中を覗き込んでいるのがみえた。

(お〜、見えないフリ!私は何も見て居ません)チラッ


『お腹空いてるの?困ったな 何処から来たの?早く飼い主さん見つかると良いね』

(!もしかして……男の子には気が付いてないフリしながら長靴を覗き込むと…

ヤッパリ!見つけた仔猫ちゃん あ、でも気持ちよさそうに寝てるね。スッポリと入り込んでるし、仕方ないこのまま連れていこう)


長靴を持ち上げると男の子が嬉しそうに『良かったね猫ちゃん飼い主さん見つかって、僕も早く行かないと…』

そう言うと男の子は急に光り出しスーッと上に登って行き消えてしまった。

ウイレムは消えないよね………。

(あの子は上に帰ったのかな?そうだと良いな 仔猫の飼い主が見つかるまで見守ってる優しい子ならきっと……。)そんな事を思いながらその場を後にした。


この仔を早く飼い主さんに渡してあげようきっと心配してるに違いないもの。そう考えた私の足はいつの間にか早足になって居た

そんな私の後ろからウイレムが付いて来てるのも気付かずに。

家政婦さんが言っていた家の前まで来ると急に


[あかり!何でこの家に来たんだ?どうして?]

(え!?ウイレム?どうしてここに居るの?)

[いや、それを聞きたいのは俺の方だし、この家に一体何の用があるんだ?]

(え?私はこの仔を届けに来ただけだしそれよりも、ウイレムはどうしてここに?)そう言って長靴の中で気持ち良さそうに寝ている仔猫をウイレムに見せた


その時ドアが開き中から家政婦さんが出て来た。

「あの、昼間はどうもお探しの仔猫だ思うんですけど届けに来ました。」

「あらまぁ、私も今からまた探そうとしてた所なのよ有難うね 間違い無いわこの仔だわ」

長靴の中を覗きそう言って手を出したけどその手を後ろから女性が制したた。


「ねぇ貴女まさかとは思うけどその長靴の中に入れて持って来たとは言わ無いわよね?{そうだとしたら冗談じゃないわよ汚らしい}」


「わざわざ入れて来た訳じゃ無いけど余りにも気持ち良さそうにこの中で寝てたから。」


「貴女馬鹿じゃ無いの?そんな汚い物に入った猫なんてもう要らないわよ、探し賃はあげるからさっさとその猫を持って帰って頂戴!あぁ、もうだからちゃんと血統書のついた子を飼うべきだってお父様に言ったのに野良猫の産んだ子なんて所詮こんなものなのよね、あぁ嫌だ嫌だ」

そう言ったお嬢様は言うだけ言って奥に消えてしまった……。


残された家政婦さんが ふぅ〜っとため息を付いて

「全くお嬢様にも困ったもんだわ、仔猫を飼いたいと散々我儘言っておいて猫ちゃんも可愛そうに。ごめんなさいねお嬢様は言い出したら聞かないのよ。申し訳ないけどその仔の事お願いね」

「え!ちょっと待って 無理です」

そう言って私に3万Gを無理やり握らせると仔猫を残しドアを閉めてしまった。


「いや、ちょっと私だけでも申し訳ないのに仔猫までだなんてメアリーとお父さんに頼めないよ……どうしよう」

そう言いながら申し訳なくウイレムを見ると彼は唖然とした顔をしながら閉められたドアを見つめて[あれが彼女の本当の姿なのか?]と言って項垂れてしまった。


「ウイレム?どうしたの?」

[どうしたも、こうしたも無いよ…俺が振られたのはあの子にだよ]

「ゲッ!ウイレム貴方 どうしてあの人なの?見る目無さすぎだよ!」

[それ、今言う?追い討ちかけられたらもう俺はどうすりゃ良いんだよ……]

そう言って頭を抱えながら座り込むウイレム


「付き合う前に振られて良かったじゃ無い、あんな子と付き合ってたら振り回されるだけだったわよきっと」

[あぁ、女って怖いな……いつもはあんなんじゃ無かったよ。美人だし優しくてよく気が利いて、まるで天使の様な子だと思ってたのにな]

「あ〜そう言う子居るね、男の子の前と女の子の前だと全然違うって子。でもさ、あの子にウイレムは勿体無いから良かったのよこれで」

[ふっ、ありがとう…あかりは良い奴だな]

「で、この仔猫どうしようかウイレム」

[オイ!今の俺のセリフ取り消しな!]




洋品店に帰ると私はお父さんと、メアリーに済まないと思いながらも事の事情を話し早急に飼い主を探すのでそれまで飼うことを許してもらおうとしたのだけど、もういっその事家で飼いましょうと言ってくれた これもきっと何かの縁よと。

勿論頂いたお金は全部お父さんに渡した。これでこの仔の将来分には足りないでしょうけれど、後は頑張って私も働くので許して欲しいです。


小さな仔猫はメアリーの膝の上であくびをしながら眠ってる

本当に申し訳ないです………ただ飯食いがまた増えてしまいました





次の日ウイレムの見舞いに家族で行くとそこには昨日のあの、お嬢様が待ってましたとばかりに待ち構えて居たのです。

ウイレムも私もなんでここに?としか言いようが無かったよ。

そして次の瞬間彼女の言った一言でとんでも無い事になってしまったと思ったの!


そう、「お初にお目に掛かりますわお父様 ご挨拶が遅くなり申し訳ありません私ウイレムとお付き合いさせて頂いておりますサーシャ・バンデロードと申しますよろしくお願いしますわね。」と言い出したからさぁ大変!


お父さんと、メアリーの2人が一斉に眠っているウイレムを凄い顔で睨んでるよ!

私の隣に居るウイレムが物凄い勢いでブンブンと首を振って居るけど残念ながらお父さん達には見えないんだなぁこれが…………

ウイレム別の意味でご愁傷様です。








次回 寝てるウイレム の前でウイレムが泣く!

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