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厄介な客

病院の一室で

「いや〜しかし驚きましたなぁ。」

「あの、兄は目を覚ますでしょうか?傷口とか大丈夫なんですか?」


「正直言っていつ目覚めるとか解りませんな。傷口は運ばれて来た時に一応処置はして有りますよ そのままご家族にお渡しするのは気が進みませんのでね。それよりも日も経っていたのにも関わらず身体の腐敗化が一切無いという事と、かなり出血もして亡くなった筈なのですがそれもまるで眠っているかの様な状態まで戻っておられるのですよ、これは、奇跡以外の何物でもないですな。」


「そうですか…、それで息子はいつ目覚めるともわからず寝たままに成るのですね。ですが食事とかはどうすれば良いのですか?」


「それも、正直わたしには解りません。なにせわたしもこんな症例は初めての事ですので……。申し訳ない」

そう言ってドクターはお父さんとメアリーに送られて病室を出て行った。


(ウイレム身体の中に入るとか出来ないの?)

[どうなのかな?]

(試してみたほうが良いんじゃ無い?やれる事はやってみようよ)

[う、うん わかった やってみよう]

そう言って眠っているウイレムの上に重なって居たけど

[………………] (………………何も起きないね)

[うん…………]


[心臓が動き出したのは、確か……あかりが俺にキスした時だったよな?もう一回したら目が覚めないかな?]

(!しろって言うの?)

[やれる事はやろうって言ったのは あかり じゃないか……]


(で、でもね 好きでも無い子にキスされるのは嫌でしょ?)

[この際何でも良いからやってみようよ、それにもう2回目だし]

(え〜、本人の目の前で本人にするのって………それに何だろう軽い気持ちでする事じゃ無いよね。)

[頼むよ、気持ち悪いかもしれないけどこの通り] ウイレムに拝まれたけど

(わかった……するけどせめて後ろ向いていてくれないかな?)



[これで良い?]そう言ってウイレムは後ろを向いた。

(仕方ないよね、試そうって言ったのはわたしだし。)

後ろ向きのまま[有難うごめんよ]と謝ってた。


チュッ! 視線を感じ横を向くと…… (ハッ!お父さんとメアリーが見て居た!)

微笑ましげに見つめる2人の顔………

「そんなに兄を思ってくれてるのねありがとう、あかり」

「あぁ、ウイレムも幸せ者だなぁ、こんなに思われてな。」


(は、恥ずかしい……一番見られたく無い状況で2回も見られた!)

[気にするなよ2人は木だと思うんだ…………]


[ハァ、駄目か…もうお手上げだな、このまま朽ち果てるのかな?]

(もしかして このままだと干からびてミイラに成っちゃうとか有るのかな?……)

[ミイラって何。] (そこから説明しないとなのね……)仕方なく本当に仕方なく説明した。面倒な訳では無いはず。


(不思議よね、息もちゃんとしてるし本当にただ眠ってるみたい、でも少し痩せたかな?)と、横に居るウイレムと見比べてみる

ツンツンと眠るウイレムの頬を突いてみたけど、動かない

[オモチャにだけはしないでくれ……]


[俺ってこんな感じで寝てるんだな。自分の寝顔なんて 普通見れないんもんな変な感じだな]

(何感心してるのよ、私の居た世界ではこんな色の髪自体普通なら無いから不思議だわ)

[え?私が居た世界?どう言う事、あかり]

(そっか、ウイレムになら話しても良いよね、実は私ね……)ウイレムに今までの事を話して聞かせた。


[凄い体験したんだな!でもそれじゃあ不安だっただろ?もっと早く聞いてあげればよかった……俺自分の事ばかり…誰も何も解らない世界にポンって放り込まれたんだもんな。ごめんよそれなのにこんな事にまで巻き込んじまって……辛かったよな]

(ううん、何も疑わないで信じてくれるのね。何だかね今考えるとそのお陰で寂しいとか辛いとか考えてる暇も無かったし助かってる気がする。メアリーやお父さんに知り合えてこうして住む場所も与えてもらえたし、ウイレムと言う喧嘩友達出来たしね)


[俺だってそうさ、あかりのお陰でアランが助かり親父達も悲しむ事も無くいられたんだしな………そうだよ友達だから………]

(そっか) [そうだよ]





夕飯の時は昨日よりも3人共話が弾んだ楽しい食事になった。

きっといつかウイレムは目を覚ましてくれるとみんな信じているから。

横でウイレムも楽しそうでなによりだよね。


次の日とうとう来たよ頭痛の種カレンさんと、アリスさんが彼氏を連れて……。

「ねぇねぇキレフこの洋服なんかどう?似合うかしら」

「良く似合ってると思うよ………」

そんな話をしてるけど、アリスさんはチラチラと私を見ながら目でお願い早くと訴えてるのよね。


(浮気ねぇ……キレフさんの近くに話を聞けそうなそれらしい幽霊さん見えないんだよね誰に聞けば良いのよ。)

[大体こう言うのってさ本人同士で解決するべき事だと思うんだ俺。]

(そうよね、占いとかに頼るって良く無いと私も思う。占いじゃ無いけどね。)

一応仕事だし声はかけないといけないよね。


「とても良くお似合いですよ」

「そう?でも彼が気に入ってくれるかそっちの方が私には大事なの」

「僕は似合うと思ってるよ(あれ?キレフさんなんか嫌そうな顔してる?)

でもね、アリス何故僕がついて来ないといけなかったの?正直言ってこう言うのは困るんだ。確かに君は婚約者になってたけどそれは親が決めた事で僕は断ったよね?それに僕は今それどころでは無いんだって言ったよね。だからこれっきりで勘弁して欲しいんだ。頼むよ」

(え?浮気どころの騒ぎじゃないんだけど!これって下手したらストーカーに成っちゃうじゃない)


「親が決めた事でもわたしはキレフの事愛してるわ、それに子供の頃は将来結婚しようねと言ったじゃ無い……だから私は貴方と結婚する。その事は決まりなのよ浮気は許せないわ!」

(イヤイヤ、この場合浮気うんぬんじゃ無いよね?)


「もう、良い加減にしてくれないかい?今日はハッキリさせるって言うから来ただけだよ。それに、子供の頃の約束だろ?話し合うつもりが無いなら僕は帰るよ本当に今はそれどころじゃ無いんだ済まない」

「あ!キレフ待って……」(この人ヤバイ人なんじゃ無いの?)

「ねぇ、どうだった?やっぱり彼浮気してるんじゃないの?」


「へ?浮気じゃ無いですよね?アリスさん婚約解消する、しないの話じゃ無いんですか?」

「何言ってるの?彼は私の事を本当は愛してるのよなのに……横から彼を奪おうとしてる女が居るって事でしょだから彼は結婚を渋ってるのよ?それを証明して欲しいのよお願いよ!」


わたしは、カレンさんを手招きして

「カレンさん、こんな事言っては何ですけれどこれは浮気とかの話じゃ無いですよね?このままにして置いたらアリスさんは、キレフさんに何するか解らないですよ?早めに医者に行く事をお勧めしますけど。」

「えぇ、私も今聞いていてゾッとしたわ。こんな話だったなんて…直ぐにアリスのご両親にお知らせするわ。御免なさいね失礼しますわね……アリス今日は帰りましょうね」

「え?まだ占ってもらってないわ」

「今日はお忙しいらしいからまた今度ね、それにキレフさん帰っちゃったから占えないでしょ?」

「でも……」

「良いから帰るわよ!」

そう言ってカレンさんは、アリスさんの腕を取り引っ張る様にしながら帰って行ったけど大丈夫なのかしら………。


ちなみに、わたしは占い師じゃ無いからね!








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