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棺の中のウイレム

その日の夕方「ここなのよぉ〜、凄いのよ!よく当たるの。今日教えて貰わなかったら火事に成ってたわよ!」


お店の前で何やら騒ぎが起きていた。

メアリーが「あのぉ、何かあったんでしょうか?」

「ねぇねぇお宅にいる占い師さん呼んで頂戴よ、今日のお礼を言いたいの!」


(ねぇ、ウイレムあれって昼間いらしたご婦人よね?何の用なんだろう…なんか嫌な予感がするよ)

[だから俺言っただろ…知ら無いからな!]

(ウッ、いいもん、そうよ私が悪いんだもん…)


「占い師ですか?え?誰の事?」

「ほら〜今日店番してた子よお昼頃居たお嬢さんよ。呼んで頂戴」

「え?まさか、あかりの事?」

「あ!あの子よ あの子〜」と言いながら私を指差すカレンさん

(やっぱり目当ては私かぁ…)天を仰ぐわたし


「あかり、占いも出来るの?」

「え〜と、あ、そうそうこの指輪をしてからウイレムの声が聞こえる気がして、あくまでも気がするのよ?」(何故か占い師にジョブチェンジしちゃってるよ)

「凄い兄さんの声?それじゃあもしかして昨日の事も兄さんが?私も後で聞いてもらってくれる?{兄さんそんなに あかり さんの事や私の事が心配だったのね}」

「あの、調子の良い時と悪い時が有って…(何だかどんどん変な方向に向かってる気がする)」


「そんな事はどうでも良いのよ、ねぇこの人の事も占ってあげてくれない?困ってるのよ」

「えぇ〜急に言われても……私占い師じゃ有りませんし」(この国の人達ってこんな感じで人の話聞かない人が多いのかな?

「よろしくお願いします!本当に困ってるんです。{絶対に占って貰うまで帰らないからね}」

(うぅ、どうしよう…)

[だから言わんこっちゃ無い、放って置けば良かったのに…]


『あのぉこの人知ってますよ』ってカレンさんに付いてたおばさんが

(え!本当?)

『はい、カレンの従姉妹のアリスさんです。』

(何に困ってるのか知ってますか?』

『えぇ、婚約者が浮気してるんじゃ無いかと確か話してたわ。』

(なるほどぉ)

[おい、待てよ それを言ったら余計にこじれないか?占い師確定しちゃうぞ!]

(そうだよね、ここはわからないですって言うべきだよね)

[あぁ、これ以上辞めといた方が良いと思うよ]


「ねぇ、わかるのよね?じゃ無いと私がまるで嘘を付いたみたいじゃ無い。あの時はどうして解ったの?」

「はぁ、体調が良かったから?かなぁ〜」

「じゃあ、今すぐ体調治して頂戴よ、本当に困ってるんだから」

「でも、相手が浮気してるかどうかなんて私にはわからないですよ」

「!!凄い!そうなのよ、彼が浮気してるかどうか占って欲しいのよ」

[馬鹿!何乗せられて喋ってんだよ………!]


(あわあわ、どうしよう あ、そうだ)

「えっと、相手の方の事だとしたら本人が居なければわかりませんし……わかるのは、貴方の事だけです」(これで諦めて!お願い)

「それじゃぁ、相手を連れて来て占ってもらえば良いのね!浮気かどうか言わなければ一緒に来てくれるでしょうし、そのお時に内緒で占ってもらえば良いのよね。そうしましょ、アリス」

「えぇ、後日改めて彼と来るからお願い彼が浮気してるかどうか占ってね!{逃げたらタダじゃ済まないからね}」

そう言って勝手に納得し2人は帰って行った。


「私占い師じゃ有りませんから」ってもう居ないし

[あかり……どうするの?]

(もう、わかんないよ……どうにでもなれ!て言うかあの人少し変だったよ怖い)

何故かウキウキ顔のメアリーも怖い




その日の夕方やっと葬儀が出来る様になったと知らせが来た

夜メアリーと夕食の準備をしていた時

「ねぇ、あかり 明日は兄の葬式だけど もし良かったら出席してもらえる?その方が兄も喜ぶと思うの。婚約者とか彼女とかまだ紹介もされてなかったけど、お父さんもそのつもりだし良かったら是非。」


(ウイレム 、わたし出ても良いの?)

[そうか、俺死んだんだよな……なんかさ こうして普通にあかりと話してるから死んだって実感が中々湧かないけどね。妹もあぁ言ってるし良かったら出席してくれよ]


「わたしも、出て良いなら是非お願いします。メアリー」

「もちろんよ、こちらからお願いしたんだし兄もきっと喜ぶわ……。」


夕食を食べながらお父さんと、メアリーからウイレム の幼い頃の話とか一杯聞かされた。

話しながら時々涙ぐむ2人を見てもらい泣きしたけど

当の本人は [もう、辞めてくれ〜〜恥ずかしい〜]ばかりだった。



朝メアリーが「あかり、喪服無いでしょ?良かったらこれ着てね」と喪服を貸してくれたけど、喪服を着た途端母の事を思い出し涙が止まらなくなってしまった。


(もっと親孝行してあげれば良かった、もっと母と話したかった)

[あかりも、母さん無くしてたんだな…。]

(うん、つい最近事故でね。急だったから後悔ばかり有る)

[そうか、きっと誰しも急に自分の知り合いとか大事な人が居なくなるなんて思いもしないだろうしな?後になって来るのは後悔。でもさ、こうして悲しんでくれる人が居るのは幸せだと思うよ。]

(ウイレム 、ありがとう)


「あかり、ごめんなさい兄の事そんなに愛してくれていたのね…兄はきっと幸せだった筈よこんなに可愛い彼女が最後に出来たんだもの…用意できたら降りて来てね」そう言ってメアリーは階下に。


「え?もしかして誤解されたのかな?」

[完全にされてるね。まぁ良いんじゃない?一応俺の彼女なんだし。でもさ、俺の扱い酷くね?そりゃぁ俺はモテなかったけどさ………]

(でも、昨日話しながら2人とも泣いてたよ)

[あぁ、途中から泣き笑いだったけどな。]

(……………。)





外国の葬儀とか映画で観た事有るけどこの世界も同じ感じだった。

棺の中のウイレムはまるで寝てるようで、今にも起き出して笑い掛けてくれそうな。


(不思議ねここに寝ている貴方が今私の隣で立っているなんて。こうしてよく観てみるとウイレム って結構ハンサムよね)

[そんな事言われた事も無いけどな。自分がこの後冷たい土の中に埋まるのかと思うと何とも言えない気持ちだよ]

その時何故か薬指にはめておいた指輪がウイレムの棺の中に落ちてしまった。


(え!やだ〜、指輪が……ウ、ウイレム 少し貴方に触れていい?指輪が落ちちゃったよ。)

[はぁ?何してんの、良いから早く取れよ]

(うん、それじゃあ失礼します。)

指環を探すために手をウイレムの背中の下に潜り込ませる と ズルリ滑った

(え!) プチュっ ウイレムの死体にキスしちゃったよ!

側で見ていたメアリーと、お父さんがビックリ眼!!


「あかり、兄さんきっと喜んでるから!うん、私達のことは気にしないで良いからね」

と、若干赤い顔で言われても どうするよコレ。


「あ、あの ごめんなさい あの、これは、その………」

[あかり………俺のファーストキス………]

(私だって初めてだよ!初が何で死体!)

しばらくすると、 ⁂ドクンドクン⁂ と音が聞こえて来た


「「「!」」」

「え?何、………」思わず3人でウイレムを見ると少しづつだけど、顔に赤味が差して来た。


「「「ド、ドクターーーーー!」


それからはもう、てんやわんやの大騒動になったウイレムは、まだ私の横にいる なのに身体は生き返った!


ドクターいわく、確かに心臓は動いてるし生きてるでも、意識が戻らない状態らしい。

お父さんもメアリーも喜んだけど、いつ目覚めるかわからないと言われて今度は落ち込んでしまった。


そして次の日奇跡の生還として新聞沙汰になったよ!








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